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施設を増やさなきゃ介護士の給料は上がらないという真実

介護事業の売上には上限がある

こんにちは。介護経営コンサルタントの糠谷です。

訪問介護、訪問看護などは別として、特養、老健、GH、有老、デイサービスなどなど、定員がある事業は、売上に上限があります。

売上は「客数」✕「客単価」であらわされますが、介護事業の場合には「客数」は定員でしばられ「客単価」は全国一律で報酬単価が決まっています。

つまり、定員いっぱいになったら、売上を上げる方法がほぼない。

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上の図をご覧ください。定員30名の施設で、30人の利用者がいたら、売上は上限に達しています。

その使いみちは「人件費(10人)」「コスト(家賃、リース、消耗品等)」「利益(将来のための貯蓄」の3つに分けられます。

さてこの状態であなたが経営者だったら、スタッフの人件費を増やすためにはどうしますか?

コストを減らす?
大家さんに交渉して家賃を下げてもらって、送迎車の車を値切って安く買って・・・限界ないですか?

では利益を取り崩して給料を上げる?
令和2年の「経営実態調査」では、税引き後の利益はたったの2.1%です。

これを取り崩したら、ジリ貧になります。将来、また感染症が起きたり、急に利用者の逝去が増えて稼働率が下落したら、そのときどうしますか?

そんなリスクは負えませんよね。

では、10人いるスタッフを9人にしたら、1人あたりの給料は増えるかな?

実際そうかもしれないけれど、人員基準があるし、人手の数とケアの質はどうしても比例する。リストラもできせんよね。給料上げるには最も効果的だけど難しい。

施設を増やして給料を上げる

ここまでで察しがついたと思いますが、一度、売上が上限に達したら、そこに所属する職員の給与は上げられないのです。

そもそも、まだ稼働率が上限に達していないとか、これまでとれていない加算を算定するとか、伸ばせる余地があるなら別ですが、できることをしてしまったら、給料は現状維持。それしかありません。

ではどうするか。応えは一つ。施設を増やすしかありません。施設が増えれば、新たにポジションをつくれます。既存職員は、役職につくことができます。新卒、中途の新人は、既存の職員よりは給料が低いでしょうから、それでバランスが保てます。

つまり、施設を増やして給料の安い人を雇い、そこで生み出した人件費予算を既存職員にあてて昇給する。これしかないのです。

これが「介護業界の真実」なわけです。だから企業、法人は躍起になって、施設を増やすのです。厚労省が、いくら総量規制をしてもダメ。自分のとこの職員をなんとかして守りたい。

ですから、規制したら、どこか抜け道を探して新たに建てる。企業としては、正しい姿です。

それ以外の昇給方法は?

さてこの真実を知って、全国の政治にかかわる方々は、どのような方策を立てていくでしょうか?

介護職は、一生給料が上がらなくて良い?

まさか、そうではないですよね。それに、日本の経済が停滞している間に、海外は発展しています。

当然、海外からの輸入コストは高くなる。食品、建築資材は高騰して、近い将来いまの給料ではやっていけなくなります。やはり昇給できる仕組みにしないと。

では、処遇改善加算を上げ続ける? 

それも限界ありますよね。これも介護保険、税金が財源ですから、青天井に拡大することはできません。

それに処遇改善加算という名目で、お金を会社に直につっこんで、その会社の昇給をコントロールするの、そろそろやめませんか?

介護事業経営において、人件費のコントロールは、採用、教育、定着、サービス向上の全てにかかわってきます。そこを制度で縛るのはやめてほしい。

それが、介護事業者の本音だと思います。

こうなると、企業単位で考えたら、施設を増やすしかない。それで施設数がどんどん増えて、社会保障費が増えていってしまうと心配する方がいますが、需要は極端に増えることはありません。企業間競争で淘汰される施設もあります。自然競争に任せれば良いでしょう。

それか、介護報酬を補助金にして、売価を事業者がごとに決められるようにしては?高い費用をとるところと、安い費用のところが出てくると思います。

例えば、デイサービスの1日の利用料が3万円なんてとこが出てきても良い。保険7000円、自己負担23000円という具合です。

もし費用の高騰が起きて使えない方が出てくる恐れがあるなら、そこは課税されない社福の役割にするとか。

これは極端な例として、せっかく介護事業を民間開放したのですから、規制を強化するのではなく緩和して、競争の中で最適な状況をつくるということで良いのではないでしょうか?

皆さん、どう思いますか?


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糠谷和弘【介護経営コンサルタント】
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