四月は君の嘘

何が悲しいって
2人とも自分の気持ちを伝えないまま
離れ離れになってしまったこと

だからこそ
最後の手紙が際立ち涙が出てきてしまう...

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夫を亡くした自分が
なぜ、いつまでも何年たっても苦しみを手放せないでいたのか

夫と出会った税務署
夫と立ち上げた税理士事務所
夫が打ち込んでいた税理士の仕事

公生とかをりが
音楽を通じて出会い
音楽をそれぞれ演奏してきた演奏家だったように


私と夫も、
税務を通じて出会い
税務をそれぞれが仕事としてきた公務員だった

もし音楽をやっていなければ2人が出会わなかったように

かをりが公生の音楽に惹かれて一緒に演奏することが夢になり頑張ってきたように

もし税務を選ばなければ夫と出会っていなかった

私は先輩である夫の仕事に対する真摯な姿勢や周囲を尊重する態度に惹かれた

公生が、ピアノを弾けなくなったように
夫も、いつしか仕事がうまくいかなくなり文句ばかり言うようになった

あの頃のように
輝いてて憧れた彼に戻って欲しかった

まっすぐに向き合って
周囲を巻き込むほどに打ち込む姿を
もう一度見たかった

もしかしたら
かをりもそうだったのかな。

私はかをりのように
全身全霊でぶつかっていったつもりだったけど

かをりのように
彼をもう一度輝かせることはできなかった

彼の情熱を取り戻させることはできなかった

そうして
自分の命さえ要らないから、
彼をどうか生かして欲しいと祈ったのに、届かなかった

裁判の決着が着かないまま突然亡くなってしまった彼

「君嘘」を見ていっぱい泣いた。
同じように君嘘を見た人の感想の中に

「何が悲しいって2人とも想いを伝えないまま離れ離れになってしまったこと」

って書いてあるのを見て

ああ、そうか
私、自分の本当の気持ちを伝えないまま、彼の気持ちを聞かないまま
突然、手の届かないところへ逝かれてしまったことが悲しかったんだ、

と気づいた。

そしてもう一つの感想


「何かを得て成長するのではなく
 何かを失って成長することの凄さ」

「いなくなるからこそ、1つ1つのシーンが輝く」

ああ、本当に
その通りだね、
人はそんなふうに生きていくんだね

ありがとう、「君嘘」
「四月は君の嘘」という作品のおかげで自分の内側にある感情に気がつくことができた。

深いところにある感情に。

気がついてあげられたら
きっと
この悲しみも
やがて
溶けてゆくのでしょう


消えて思い出せなくなる前に
書いておきたかったので
ノートに書きました

2024.5.25(土)


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