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神々の遊ぶ庭

カムイミンタラ
アイヌ語で「神々の遊ぶ庭」というのが
その場所の名前です

夏に一時帰国していた息子と旭岳に行ってきました


山歩きに慣れた人は、残り少ない滞在の間で2人でどこかに行こうという日に、わたしをこの別世界へ誘ってくれました

山と言ってもロープウェイで5合目まで登れるので、そこから頂上を目指してもいいし
辺りの池周りをしたり、時間と体力で決めようとのこと

前日の夜、ポカリスエットとクエン酸を混ぜたドリンクを作り、着る物や靴を整え、わたしはカメラひとつ下げて歩くというお気軽登山

おにぎりとおかずを用意して早朝に出発して大雪山を目指しました


ここがロープウェイ乗り場


登山道などの保全のための募金をすると
もらえるというポスター
次はこれを貰いにまたいく予定


直前まで雨も降ったりしていたけど
山からは雲海が美しく
ここはもう別世界
短い手で背景を入れて撮るのは難しい
ゆえに顔が必死すぎ


難しくも危なくも無いけれど
安心なプライベートガイドがいることでの
のんびりな山歩き

わたしには想像もできないたくさんの経験をして
小さかっためんこはすっかりと頼もしくなり
今はもうしてあげることはご飯を作るくらい
してもらうことの方が多いし
心配も、どうやらだいぶかけているみたい

遠い国に暮らし
自分たちの生き方を選択する姿に
すぐに会えたりしない寂しさはあるけれど
こうして会えた時に受け取るものは思いがけず大きく、充実していることや、出会いを大切にしていること、丁寧に生きていることを感じて
それがまたこれからの彼らの生き方を遠くから楽しみにする糧になる

石室(いしむろ)という山小屋
まるで異国のようなかわいさ
お話の世界のような景色
ここがとても好きな眺め



頂上を目指すかどうか
お昼ご飯を食べながら相談


結果、わたしの体力は意外とまだ余裕
ここから見える急斜面のところまで行きたいと言ってむかうことに


この辺りに来るとすっかり雲の中
お昼ご飯を食べた池のあたりから岩斜面を歩く


天気がちょうどよくて
わたしが思いのほか疲れず元気

荷物をひとつも持ってないせいもあるのだけど


帰りに温泉に寄ること
彼の古い愛車がちょっと心配なこと
を考えて頂上までいかず下山することに

体力にゆとりがあったのは
天候に恵まれたことと
安心お気軽登山のための心身の疲労が少なくて済んだこと

暑さや寒さ、焦りも辛さもなく
ただただ思いのままに岩山を歩く気軽さ

いつかチャンスがあれば頂上まで行ってみたいな


なんだかすごい登山のようにみえるけれど
ここにいるとあまりそんな感覚もなくて
ただ「歩いている」というだけのこと
火山でもあるので
あちこちに噴煙が



空き地を散歩して
スーパーの買い物とバレエくらいしか出かけず
ちょっと美味しいものを食べたり
仕事終わりに海辺まで行ってみる
1日のほとんどを机に向かい
手のひらの中で世界が作られるわたしの日々

十分に満たされて楽しくもあり
限られた体力や時間の中で
それでもたくさんの喜びがあるのだけど
こうして思ってもいなかった1日を過ごせば
そこにはちょっと想像もしていなかった世界がありました


山を歩く人たちの気持ちは
きっとそんなことの連続なのだと思う
わたしのように、手ぶらでも無いしお気軽でもなく、時には命と真剣に向き合うこともある山を行くこと
とにかく安全に、無事にと願うばかりだけれど
そこにある豊かさのかけらを
こうして歩いてみると肌で感じる


29年前 真夏の暑い日に
彼がわたしの元に「我が子」としてやってきて
わたしは毎日100回くらい
「かわいいねぇ、かわいいねぇ」と言っていました

まだ人としても幼く、親らしいこととは何かもよくわかっていないけれど
この子にとって、大切な大人であることはとても強く意識していました
親だから偉いとも思えなかったし、何かを教えて彼を育てていくという気持ちはほとんどなくて
できるだけ丁寧に説明したり、何があっても絶対に投げ出さず、いつも彼の人生が豊かであることを願っていました
(振り返れば後悔も反省も山積みなことはもちろん)

他のお母さんたちは、大抵のことはどっしりと構えてもっと強くて頼り甲斐があるのに
どうやらうちは違うらしいと、彼が中学生の頃に気づいたらしく、そんな時は
気づかれてしまった、ごめんごめんと素直に謝りました

彼が再び旅立つ日の前日の夜、わたしはとうとうコロナになって
最後の食事も一緒にできず
見送ることもできずに寝込んでしまって
今日はそこから2週間
ようやく少し体調が戻りブログを書いています

帰り道は広い空が少しずつ染まって
山道のカーブを曲がると
向こうの空が真っ赤でした


熱が下がり、ようやく散歩に歩き始めてすぐに
足元に転がっていた小石

もうこれは山です

彼曰く「独峰」といって、富士山や羊蹄山のように単独で聳え立つ山


これは昨年
山の刺繍をしたものを彼に贈り物として作った時の練習
そして帰ってきた時に来ていたTシャツ


いつかこんなふうに山の刺繍をして鞄にしてもいいかなぁ

わたしの中に、感じた空気や感覚が
降り積もってかたちになると楽しいなと思います


またいつの日か、どこかの山に連れていってもらえるようでいなくちゃ
コロナは思ったよりも回復に時間がかかります
どう説明したらよいのか、ぴったりの言葉がなかなか無いけれど元々体の弱かったわたしにはまぁまぁこたえました

座ってできる仕事だから5日目くらいからは復帰していたけれど、散歩も買い物もゆっくりとじゃないとできなかったし、1人では出かけるのも心配になるほど
バレエも来週からはどうにか行けるかな

インフルエンザも流行ってきたようです

どうぞみなさん、気をつけてお過ごしくださいね

来週には百草の庭さんへの発送
10月には名古屋のギャラリーさんへ
11月にはヒナタノオトさんでの企画展と
次々に制作を進めています


熱が下がり、思い描いていたものたちがたくさんあって、昨日はひと仕事終わった後に夜作業で試作をしてみました


冬の贈り物になるようなアイテムをいくつか考えています
かたちになったら、どうぞお手に取ってご覧ください

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