MARVEL SNAPはPay to Winなのか?~課金システムを考える~

MARVEL SNAPは非常に独特な課金システムを採用しており、批判の対象となることも多いと感じている。今回は改めてMARVEL SNAPの課金システムを考えてみたい。

他のDCGとの比較

MARVEL SNAPの課金システムを考える切り口として、他のDCGとの比較という形で見てみたい。私自身がもともとハースストーンを主にプレイしていたので比較対象はハースストーンをイメージしているが、他にいくつかプレイしたDCG(MtGA, シャドウバース,ライバルズなど)も似たものが多いので、概ね一般的なDCGとの比較になっていると思う。

課金システムを考えるときに、どの程度の課金かイメージしやすいように、課金者をだいたい4つくらいのカテゴリに分類しておく。以下の4つだ。

  1. 無課金者(ゲーム内で入手可能な資産に限る)

  2. 微課金者(シーズンパス程度)

  3. 中課金者(お得なバンドルなども購入)

  4. 重課金者(上記に加えて、欲しいものを入手するために課金)

MARVEL SNAPと一般的DCGの違いを比較するのにグラフで見るとわかりやすいので、あくまでイメージとしてであるが両者の特徴をグラフで表したものが次である。横軸が課金額、縦軸が入手できるカード枚数だ。

基本的には、カード入手が進めば進むほど、新しいカードを入手しづらくなっていくのは同じである。課金効率という言葉を使うと、課金効率は課金額が増えれば増えるほど低下する。

一般的DCGの特徴は、課金効率の低下などを踏まえても、好きなカードを生成するクラフトシステムなどを使えば、だいたい中課金と重課金の間くらいで、ほぼ必要なカード資産を揃えられるということだ。そのため、ある程度課金してゲームしているプレイヤー同士の戦いは、資産差という概念はほぼ気にすることなく、すべてのカードプールの中でデッキ構築したもの考えることができる。

一方MARVEL SNAPの場合は、課金額が増えていったときの、課金効率の低下が一般的なDCGと比べて極めて大きく、リリースされているカードプールをコンプリートしようと思うと膨大な課金が必要となる。さらに、MARVEL SNAPの特徴として、実質的に1日に課金できる上限額のようなものが設定されている。そのため、お金に糸目はつけないからカードをコンプリートしたいと思っても、すぐには実現できず長い期間に渡って課金を継続することで初めてコンプリートが実現できる。

両者の違いをまとめると、以下の通り。

  • 一般的なDCGでは中~重の間くらいの課金でカード資産差が問題にならなくなる

  • MARVEL SNAPでは、課金額が増えていったときの課金効率の低下が極めて大きく、それなりに課金しているプレイヤー間でもカード資産差が一定程度残り、コンプには膨大な課金・時間が必要。

MARVEL SNAPはPay to Winなのか?

MARVEL SNAPは、無課金・微課金でも楽しめると言われる一方、Pay to Winなんじゃないかとも言われる。何故このように言われるのだろうか。

まず、MARVEL SNAPではカードプールが分けられており、マッチングはランクだけでなくカード資産収集の進捗と概ね対応するコレクションレベルという数値を参照して行われる。そのため、ゲームを開始してばかりでカード資産の少ないプレイヤーは、同じような状況のプレイヤーとマッチングするので、重課金者の強いカード満載デッキに蹂躙されることは、ほとんど起きないはずだ。課金してカード資産入手を加速しても、結局は同程度のカード資産の相手とマッチングする。その意味で、MARVEL SNAPは無課金・微課金でも楽しめると言われる。

一方、ある程度カード資産が増えてシリーズ3と呼ばれるカードプールに入ったあたりから少し様相が変わってくる。シリーズ3以降のカードプールが非常に広いため、プレイヤーごとに保有しているカードコレクションが全く異なるという状況が常態化するのだ。さらに、シリーズ4、5というカテゴリーは非常に入手が困難となっている。一応、コレクターズトークンと呼ばれるものを集めることで、交換入手が可能であるが、例えばシリーズ5のカード1枚を交換するにはシリーズ3のカードの6倍のトークンを要する。そのため、大部分のプレイヤーはシリーズ5あたりのカードは、ほとんど持っていないか、持っていても数枚程度という状況であろう。

このような状況で、どういうことが起こるかというと、ランク戦で自分が持っていない強いカードを採用した相手に負けるということが頻発する。やっかいなのは、これが同程度のカード資産だけれども持っているカードの種類が異なることによって起きたことなのか、カード資産が自分より豊かな相手とマッチングさせられた結果なのか判別できないことだ。具体例で見てみよう。

あなたは、バストネガティブサーファーデッキを組むために、バストを交換していたとする。ランク戦でバストではなくギャラクタスを交換した相手に、ギャラクタスを出されて負けたとする。これをPay to Winというのはおかしいというのはわかってもらえるだろう。

一方、あなたがなけなしのトークンをギャラクタスと交換して回していたら、同じギャラクタスデッキとあたり、さらに相手はシリーズ5のヌルまで持っていたせいで負けたとする。これはPay to Winと言えるかもしれない。明らかにカード資産が相手の方が豊かで、それが負けの原因となっているからだ。

もしも、同程度のカード資産でマッチングするというシステムが完璧に機能していれば、後者のようなことは起きないはずであるが、あまりにマッチング範囲を狭めすぎると円滑なマッチングに支障が起きるので、実際にはある程度カード資産に差がある相手とのマッチングは起きているはずだ。しかし、相手のカード資産(コレクションレベル)は見られないので、自分の持っていない強いカードに負けたときに、カード資産が同程度だけど入手したカード種類やトークンの交換先が違うだけなのか、相手の方が課金してカード資産が豊かだったのかは判別できないのだ。だから、自分の持っていないギャラクタスに負けたときに、「Pay to Winじゃねーか!」という声も出てくる。でも、あなたがトークンと交換した別のカードの代わりに相手はギャラクタスと交換したのかもしれない。

まとめ

MARVEL SNAPは、課金効率がものすごく悪いことは確かだ。しかも、課金したとしても欲しいカードを入手するには時間もかかるので、廃課金と言えるほどお金と時間をかけている人のカード資産に、中程度以下の課金者が追い付くことは永遠にできない。そもそもMARVEL SNAPというゲームは、カード資産が完全でない状態が通常と言えるデザインになっている。だから、組みたいデッキが何でも組めるという状況は極々一部の人だけの特殊な状況と言える。これを受け入れて、足りない状況を許容するか、限界まで課金するかできるのがMARVEL SNAPを気持ちよくプレイする上で重要だと思う。

負けるというのは不愉快な出来事で、何かに理由を付けて文句も言いたくなる。RNGで負ければ「運ゲーじゃねーか!」と言いたくなるし、自分の持っていないカードに負けたときには「Pay to Winじゃねーか!」、「資産ゲーかよ!」と言いたくなるのはわかる。しかし、どうせデッキに組み込めるカードは12枚のみで、強いレアカードと言っても1つのデッキにはせいぜい数枚程度しか入らないのだ。ほとんどの人は、シリーズ5あたりのカード資産は1~2枚程度でデッキを組んでいるわけで、客観的に見ればPay to Winという批判は当たらないと言えるだろう。

唯一、シーズンパスの購入で入手できるカードは、課金以外での入手難度は高い一方、色々なデッキに入るような強力なカードが多いため、持っている人と持っていない人の差が大きい。ここだけは明確にPay to Winと言えるかもしれない(シーズンパス買った人と買っていない人もマッチングすると思うので)。無課金だとシーズンパス報酬有無の影響が大きく、重課金は効率が悪すぎるので、個人的にはシーズンパスのみの微課金か、お得バンドル程度の中課金程度で遊ぶのがお勧めだ。


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