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ポテサラ論争~人の優しい気持ちを掘り起こす~

この手の話。結構わたしは混乱します。仕事柄、ものを手間暇かけて作ることが多いから。

この問題は、いったいどこにあるのか?わたしは、このおじいさんに「なら、ポテトサラダを作ってみろ」と言っても、しかたがないだろうと思います。たとえ作ってみて「大変だ」とわかったとしても次にくるのは「でも母親なんだからこれくらいやるべきだ」という考え方がやってくるだけの話だからです。

以前こんな記事を書きました。

明らかにわたしは「自分で作ったもののほうがよい」と言っています。ただし、作る気持ちが買う気持ちに勝ったら作る、とも書いていますね。

わたしはお惣菜を良く買います。お惣菜を買う、というのはつまり、時間を買っています。「作る時間」というものです。手作りを喜ぶ家族ではありますが、だからといってお惣菜に文句を言うこともありません。

自分と家族との間に何を重要なものとして置くか。

そこの問題が、家庭・個人それぞれ違うのですね。このポテサラおじいちゃんが生きてきた時代と一番ちがうのはそこ。

わたしの両親は80才代です。どちらかというと、なんてもんじゃなく、「母親ならポテトサラダくらい作りなさい」ときっぱりと言い切る人達です。わたしがお惣菜を買ったり、モップを業者に頼んだりしていることや、夜に外でお酒を飲んだりすることに対しての説教はいまだにやみません。

この問題は、「高齢者はきれやすくなる」とか「ポテトサラダにどれくらいの時間がかかるのか」とか「手作りの方が愛情がある」とかそんなことはどうでもよいような気がします。

どのように生きてきたか、ということを尊重してほしい、というそれこそ個人的な気持ちがうごめいています。自分たちは「父親らしく」「大黒柱として」「母親らしく」「妻らしく」「男らしく」「女らしく」生きてきたという自負や経験があり、それを良しとして生きてきた。なぜかといえば「そういう社会だったから」。答えはそれしかない。

それを否定されるようなことをやられるのはいやに決まってる。さらに、妬みという気持ちもそこには差し込んできます。本当は、お惣菜、買いたかったですよね。あの時。大変だったとき。でも買わずに頑張ってご飯を作られたんですよね。そう、あの時。

きもちの種類としては、わかります。

みなさん、頭ではわかっているのだと思いたい。

私自身にもね。

小さい頃からずっと「女の子はこうしなさい」「とにかく結婚してこどもを産んで大黒柱を支えなさい」「ごはんは絶対に作りなさい」「外に出る仕事はだめ」「母親は遊んではいけない」などと言われて育てられてきて、背骨にはその考え方がしみこんでいるのです。つまり、このポテサラおじさんのような考え方がこの体に巣食っているのを感じることが多々あるのです。

以前、この記事を書いたのですが。

この記事のその後をいつか書こうと思いつつ、実は複雑な気持ちをいろいろと味わっています。骨の髄には「男の人に家事をやらせてはいけない」というのがしみついているのです。オットは信じないと思いますが。

男女が本当に平等になる社会は、私を含めたもう何世代かが世代交代しないと完成しないだろうな、と思っています。

政治家の面々を思い浮かべると、国会の中に女性が増えるのは、もう少し先のことになるでしょうね。


昔よりも、相手に対する想像力というものを、深く大きく持っていないといけない社会です。同じ思想、画一化された社会通念の中で生きていくのなら、「義理・人情」で良かった。そこを脱皮して個人が重要となっていく今の社会においては、より多くの人のことを知り、立場・状況・環境・思想を知り、「だからこの人はこういうことを言うのか」「こういう行動をとるのか」ということを理解する『勉強』が必要となるのです。算数や国語よりももっと大事な勉強かもしれません。個人主義というのは、「他者に対する無関心」ではなく「自分とは違う他者への理解」です。

こどもが赤ちゃんの時に、ベビーカーを押しているとおばあちゃんたちに「楽でいいわね」と言われ、おんぶしていると「わたしたちもそうだったわ」と嬉しそうにいわれるという現象がありました。なるほど、これはおもしろいと思いました。わかりやすく,自分と同じ苦労している姿に同調するのです。でも「楽でいいわね」と言われると一応ちょっと傷つくので、こう返すことにしています。

「みなさんのような先輩方が苦労して、後に続く人達が大変な思いをしないように頑張ってくださったから、こうしていられます。ありがとうございます」

すると、ものすごい応援をしてくれます。ベビーカーを押してくれたり、上の子をかわいがってくださったりします。とても良い時間になるんです。

口がうまい、と言われるけど、実際のところ、そうでしょう?良い社会になってほしいなあと思って、この社会の中で生きていくわけだから。なので、それを口に出す。お礼を言う。それでうまく回る。

いいじゃないですか。今度一度、言ってみてください。想像力を働かせる。そして相手の優しい気持ちを掘り起こす。

そして、社会が丸くなる♪


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