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命ってなんですか~絵本で伝えること・伝えられないこと~

この時期は「命は大切」ということをテーマにお話し会(読み聞かせ)をしてください、という依頼が増えます。


「命は大切」

「命は大切」

呪文のように唱えておけばわかるかしら。


なーんてね。


小学生に向けて「命の大切さ」をお話しするための絵本。

いろいろ探しました。いろいろありました。

でも、これだと思う絵本はありません。

さて。どうしましょう。


わたしはプログラムの鬼なので、とにかく会を組み立てることに命を燃やします。

これが、わたしの命なんです。


あ、命だ。出てきた。命。


命は目に見えない。

こどもたちに投げかけます。

「命ってどこにあるの?」

意外とみんな、「ここ!」と言って胸を押さえます。

「ここを開けると『命』っていうものが目に見えるの?」

と聞くと、大爆笑になります。

「みえるわけないじゃーん!」


目に見えないものを説明すること。

わたしにはできません。

「命」を説明することが、わたしにはできない。

これは、わたしの長年の命題である「人間はなぜ寝るのか」という疑問と似たような面があります。

今の自然科学では「寝る」というのは説明できない。睡眠の仕組みや目的は解明されても、「寝る」ということは解明できない。

「命」も同じ。命って何。

歴然とあるのです。人やモノの数だけ。

わからないならば、説明できないならば、やることは一つだけ。

「大切にする」

禅問答のようですが。

「目の前にあるものを大切にする」「目の前の人を大切にする」

それを伝えました。

そして、このおはなしを読みました。

小学生たちはしーんとして聞いていました。

ときどきわからない言葉が出てくると、「どういう意味?」と聞いてきます。わたしは、即、意味を説明します。


命は続いていくものです。

途中で断ち切るものではないのです。

誰にも断ち切る権利はありません。

命のバトンを次の使い手におだやかに渡す。

お借りした命を次の何かに丁寧に手渡す。

命は大切なのではなくて、

大切に扱わなくてはならないものなのです。

自分の手元にある命は、みがいてみがいて、

いただいたときよりも輝かせて

次へと渡す。


命。

命とは、生きていく様、そのものですね。

わたしができることは、

一期一会で出会う目の前のこどもたちに、

命全部を使って物語を届けて

わたしの「命」を表現することだけなのだな、と思うのです。

「命」を説明することは、できません。

ましてや絵本だけでそれを伝えることはできません。

わたしには。

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