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202401の文化的活動3/5

 2024年の1月に行った文化的活動について。今回は3回目です。
 1回目・2回目も読んでね。


第19回 名古屋芸術大学 卒業・修了制作展 メディア造形学部 映像メディア科/大学院メディア造形研究科 Eブロック

 名古屋市東文化小劇場で行われた名古屋芸術大学の卒業・修了制作展を観ました。東文化小劇場は市民ギャラリー矢田と出入り口が同じ施設です。市民ギャラリー矢田で同時期に行なわれていた『ファン・デ・ナゴヤ美術展2024』を観ていて開催を知った飛び込みなので、事前情報全くなしの訪問です。(『ファン・デ・ナゴヤ美術展2024』の感想はこちら

 2024年1月18日から4日間開催のイベントで、わたしが観たのは最終日1回目・Eブロックの上映でした。全体では1分程度の非常に短い作品もある中で、Eブロックは『隣人』(26分)と『Developmental Puzzle』(40分)と長めのストーリー作品を上映する回でした。

『隣人』(26分00秒)

 この作品は、アパートに住むシングルマザーとその娘を主人公とする作品です。タイトルの通り、母娘の隣人の男性も登場します。登場人物は概ねその3人のみです。
 やや暗めの不穏な画面の中に、なにか起こそうと思えばなんでも起こせるくらいの要素が散りばめられています。が、最後の最後まで決定的な出来事は何も起こりません。

今の“日本”をありのままに描く。

上映会後の舞台発表で制作者の言葉

 この言葉から、制作者はなにかが起こることを期待しているようにも取れます。ありのままという言葉からは批判的な意味も賞賛の意味も感じ取れません。冷め切ってしまった若者(=制作者=学生)の社会への憤りと諦めが淡々と放置されているようです。

母親が持って帰ってきたケーキを夜中に食べる
登校前に(おそらく母親が必ず冷蔵庫に用意してくれている)麦茶を水筒に移して持って行く
少女が似合わない黄色い帽子をかぶって登校する

 ごく少人数の中で定められたやることもやらないことも合法な規則が複数登場し、息苦しい。そしてそれらが陰鬱に絡み合い、梅雨を思わせる重々しい空気の中で少しずつ少しずつ悪い方へ進んでいくように見える。大変重くて苦しい作品でした。

 上映後の舞台挨拶では「撮影に使わせてくれるアパートを探すことが大変でした」と語っておられました。
 作品の内容同様、さまざまなことが息苦しい中で制作されたようでした。

『Developmental Puzzle』(40分00秒)

 発達障害の少女が、馴染めないでいる社会との繋がりをジグソーパズルという趣味から少しずつ探っていくという作品でした。
 なぜその撮り方?と思わせるカメラワークが散見していて、ところどころ見にくいというのか、臨場感に欠けると感じながら観ていました。が、これは意図的なものだったそうです。
 叙事的内容を挟むことで客観性を取り戻させたいという意図でしょうか。
 障がいというテーマを視覚的に観客に体験させる趣旨の作品ではなかったようです。もしそうなら平易な構成で作ってストーリーに注目させた方がわかりやすいですから。

 上映後の舞台挨拶では、監督自身が発達障害を抱えているということをお話しされていました。
 やや強引に組み込まれた聴覚過敏や、通じ合わない接客のシーンなどはご自身の体験に基づき特に観て欲しかったシーンのようです。もう少し丁寧に向き合って、見せ場として視聴者に寄り添う姿勢が欲しかったかな。

 パズル店の店主の方の芝居がとてもよかったです。お名前控えておけばよかったと後悔しています。

名古屋市東文化小劇場にて
会期は2024年1月18日から21日 時間指定の上映会でした。

大きく1000文字を超えたので今回はここまで。

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