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短い飛行機雲
一つ手前の駅で降りてケンタッキーのチキンを買った。袋を揺らしながら長い坂道をくだっていると、夕暮れの空に短い飛行機雲を二つ見つけた。何だかかわいらしくて歩きながらぼんやり見ていた私を、ケンタッキーの袋をさげた女の人が足早に追い越していった。その人も同じように短い飛行機雲を見上げていて、たったそれだけのことなのになぜかちょっとうれしくなった。同じものを同じタイミングで食べたいと思って、同じ帰り道を歩いて、同じものに目を奪われた人がこの世にいる。それだけで救われたような気持ちになった。