「A Last New Year」第二回
……麻績子(おみこ)は目覚めた。が、ベッドや布団の上ではない。体の下は埃と煤に汚れた硬い木の床だ。見廻すとあたりは薄暗く、しかもところ狭しと蜘蛛の巣がいっぱいに垂れさがっている。廃屋? そもそもどうしてこんなところに……そこでようやくぼんやりと思い出した。そうだ、藤助(とうすけ)たちと一緒に鎌倉の六合廷(くにがてい)神社に初詣がてら近在地域の取材に訪れ──いやそれは表向きの理由だったが──そこでとんでもない有為転変に巻き込まれたのだった……記憶の最後にあるのは、あの広壮な洋