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ECサイト間のカニバリ問題

Amazon、楽天、Yahoo、Qoo10などのECモールに新たに出店する際、このECサイトに出店しても既存のお客様がそちらに流れるだけで、合計の売上は変らないのではないか、という議論になることはないでしょうか。

出店するECサイトが増えるとその分運用のためのコストも増えるので、それで売上が変わらないのであれば運用コストが増えるだけだからもったいない、という気持ちは分かります。

結論からいうと出店するECサイトが増えると売上も増えますが、それには条件はあります。

無条件にただ出店すれば売上が増えるということではなく、それなりに気を付けなければいけないことがあるということです。

EC多店舗展開で成果をあげるための条件

複数のECサイトに出店して成功している企業は、最低限下記のような条件を満たしているところが多いかと思います。

  1. すでにどこか1つのECサイトである程度売れている

  2. 各ECモール間で販売価格を同一レベルにキープしている

  3. 新規ECサイトで売れるまでにある程度の時間が必要なことを理解している

  4. 各ECサイトの特徴に合わせたマーケティング施策を実施している

1.すでにどこか1つのECサイトである程度売れている

新たなブランドやストアを立ち上げる時、限られたリソースと予算の中で最大限の効果をあげたいのであれば、的は1つに絞るべきです。
例えば1か月の広告予算が10万円だった場合、出店しているECサイトが複数あればその予算は按分されてしまいますが、1つのECサイトだけの出店であれば10万円をフルにそのECサイトの広告に使用できます。
広告の役目はたくさんあると思いますが、大きな役目の1つにユーザーとの接触頻度があると思います。
自社商品とユーザーとの接触頻度を最大化したいのであれば広告を分散させるより、同じECサイトで同一のユーザーに何度も広告を見せるべきです。
いきなり複数のECサイトで展開することでマーケティングの効力までも按分させてしまうのは、あまり効率的ではありません。

2.販売価格を同一レベルでキープしている

異なるECモール間で、販売価格が大きく異なるのはあまりおすすめできません。
もちろんECサイトが主催する大型セールなどがあれば、その期間中は対象のECサイトのみ販売価格が安くなるということはあると思いますが、それ以外の期間は可能な限り同一レベルの価格で販売すべきです。

3.新規ECサイトで売れるまでにある程度の時間が必要なことを理解している

新たなECサイトに出店しても、期待する売上目標をすぐに達成できるというわけではありません。
ECサイトで商品が安定して売れるようになるためには、商品のレビュー、ショップの評価、ショップ内でのブランド認知、キーワード検索の表示順位、ランキングなど、様々な要素が絡んでおり、それらを一気に向上させるのは至難の業です。
地道にお客様からの評価を貯め、ECサイト内でのインプレッションを高めることで徐々に売れるようになっていきます。

4.各ECサイトの特徴に合わせたマーケティング施策を実施している

Amazonや楽天など、各ECサイトはそれぞれで顧客層に違いがあります。顧客層というよりは、そのECサイトで買い物をするのが好きな人が、どんな物差しで商品購入の判断をしているかの志向性の違い、というほうが正しいかもしれません。
ただし、各ECサイトで大きな傾向の違いはあると思いますが、商品カテゴリーや、その商品の価格帯などでも変わってくることもあるので、一概にこういうもの、と言い切ることはできません。
商品ページのコンテンツや広告の出し方など、どんな小さな仮説でもいいので立て、それを細かに実践することで他のショップにはない非常に貴重なデータが蓄積され、それがライバル店との立ち位置の差になるはずです。

結論

EC多店舗展開でカニバることはないが、売れるかどうかは別問題。1店舗ごとにそれなりの時間と労力とお金が必要となるので、それを見越したうえでの多店舗展開が必要。

もちろん例外はあり、リアルもネットも含め知名度のある著名人やブランド、企業が複数のECサイトで販売するなどの場合はまったく問題ないと思います。
そのようなケースはECサイト内でのマーケティングというよりは、メディア等でのマーケティング戦略などのほうが重要なので、このようなケースは当てはまりにくいですね。

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