紅麴に関するメディア対応まとめ
3月25日に産経新聞さんから取材を受けたことを皮切りに、当初1週間程度は毎日、新聞社やテレビ局からのお問い合わせに対応してきました。年度内は近畿大学の常勤であったので職務の一環でもありましたが、非常勤になった新年度も、健康食品業界全体の信用を守るために奮闘しました。10日程度経つと概ね落ち着きました。
このnoteは備忘録でもありつつ、メディアでは一部を切り抜かれてしまうことが少なくないため、その補足という意味合いもあります。新しい情報を上部に、古い情報が下部になっています。すべての情報を見つけられていないので、取材を受けた半数程度の内容を反映しています。
NHK(取材5/12)
大きな動きがないからか、機能性表示食品全体に関する取材でした。具体的には、UMIN登録をした内容と届け出内容が一致しない点の是非(善悪)についてお問い合わせを受けました。UMIN登録についてはこちらで詳細に解説しています。
個人的には食品の研究は探索的な研究もあるべきだと考えており、UMIN登録自体が食品の研究に馴染まないと考えています。また、食品が疾病を改善できると明確に言えないのは大変残念な状況であると考えています。食品CROを弾劾するという文脈には賛成できるのですが、今回は多少的外れな指摘であり、ですが捏造的に良いデータを捻出していることは問題であるとお伝えしました。
NHK (取材4/16~21, 3/28)
しばらく取材が落ち着いていたのですが、電話での取材がありました。福岡まで足を運んで頂き研究の様子を撮影したいという打診です。その際、3月28日にオンラインミーティングにて受けた取材が「クローズアップ現代」にて引用されたとのことをお聞きしました。Webサイトや商品に名前が使われた際に事後報告ということは稀なのですが、テレビなどのメディアは取材後にお知らせがないことも、しばしばあることを知りました。
2回目の取材の趣旨は、機能性表示を申請するための研究についてのお問い合わせで、やっと自分の専門に直球の質問中心になりました。撮影を前提としているので器具や手順に至るまで詳細に質問があり、撮影以外のメールや電話の対応が約1週間に及びました。機能性表示食品が容易に受理されるとの勘違いがあるので、その背景には多くの苦労や英知があることをお伝え出来たように思います(関西圏だけの放送で、どの部分が切り取られたかわかりませんが…)。
産経新聞 4/6
発酵の難しさについてお問い合わせされました。多くの専門家が「他のカビが混入したのでは!?」というコメントをしていますが、私はその可能性はゼロに近いとお話しました。実際に掲載された記事には分析に多額の費用がかかる部分についてのコメントが掲載されました。
自身で研究経験のある方々は数多くのコンタミネーション(雑菌やカビの混入)によって実験を台無しにされた苦い経験があるので、それを疑うことは御尤もです。ですが、他のカビが混入して繫殖してしまう状況では、異物臭だけでなく、青や黒に変色して(普段の赤系の色ではなく)製品としても一目瞭然になると想定されます。
加えて、腎毒性のあるシトリニンが初めて見つかったのはアオカビ(ペニシリウム属)からでした。プベルル酸が紅麴から産生されることは全く不思議ではありません。そのため、複数ロットから検出されることを予言しました(本件の取材は4/3)。実際、4/4時点でも複数ロットから検出された事実が分かったそうです。
加えて、麹で発酵する味噌や醤油にも未知の成分が多いこともお話しました。記者の方が「味噌も醤油も怖いですね…」と仰っていたので、「未知だからこそ普段と違った健康成分を摂取することになり、私は赤味噌を積極的に(未知の成分を摂取するため)選んでいます」といった趣旨でお話ししました。記者の方も納得していただき「私も今後は赤味噌を選びます!」と言ってくださりました。事実や論理を理解してもらうことで不安を取り除くことができると分かりました。紅麴も改めて、健康のために摂取され続けることを願っています。
関西テレビ「newsランナー」4/2
これまでは化学や生物学の範囲に関することが多かったのですが、専門とは少し離れた流通についてのお問い合わせを受けました。ですが、成分に関するチェックは年に数回しており、経営者として取引の経験もあるので、そのあたりの経験をお伝えしました。
今回は動画で部分的に切り抜かれていましたが、数万社に渡る色素も含めた網羅的な特定は難しいということをお伝えしました。直接の取引がある供給先は、即日でも分かる、といったこともお伝えしました。「全容の把握が難しい」という不安を煽るような方向になっていることが残念です。長年使われてきた色素などに健康被害は考えられませんので、不安を鎮静化させる方向で報道してほしいと切に願います。
近大広報ページ3/31
近畿大学は広報に強い大学ということは周知の事実かと思います。全教職員にメディアに出たという情報がメールで入ったりします。メディアに出た機会の多い先生は表彰されたりもしています。
その近畿大学の広報ページで、私の情報が半数程度を占めていました。産業理工学部のページでは独占していました。
読売テレビ「ウェークアップ」3/30
比較的長い時間お話できたこと、前後の文脈も繋がっていることから、現時点で最も正確に私の意図したことが伝わっているように思います。
多くお問い合わせ頂いている以下の2点を中心にお答えしました。
・紅麹は(小林製薬の製品も含めて)悪いと断定できない
・機能性表示食品の届け出は事実上審査であり受理は大変!
最後の野村修也先生の質問は完全にアドリブでした。ですが、常々考えているライフワークでもありますので、咄嗟に正しいことを話すことができました。
・医師はサプリを嫌うことも多く鵜呑みにすべきではない
・食べているものは自分で調べて自分で考える
この問題は、紅麹にはないと考えています。誤診と思われる医師の見解、それと小林製薬の対応が本質と考えており、紅麹や機能性表示食品全体が悪く報道されていることが大変理不尽です。是非、この問題を機会に普段摂取している食を科学的に見直す機会にして頂ければと思っています。
毎日放送「よんちゃんTV」3/29
公開されている情報がなくて残念ですが、私が最も主張をしたい「今回の問題は紅麴にはない」ということを発言する機会を与えてもらいました。医師の丸田佳奈先生もその見解に同意してくださり丁寧な補足もして頂きました。
「メディアは全て不安を煽って視聴率を稼ぐのではないか」という考えが間違っていることに気付き反省しました。こちらと、上記の出演までさせて頂いた2社につきましては、お会いする社員の方々皆様誠実で、私の(一般とは違う)意見に耳を傾けて下さり、放送の内容も微調整頂きました。
人生初の生放送に出演でメイクまでしてもらいました。人相が変わっているように思います…。
TBS「News23」3/28
産経新聞の記事をご覧いただき5社くらいから相次いでお問い合わせがありました。産経新聞の記事も同様ですが、まるで小林製薬や健康食品が悪いようなイメージになってしまいます。「悪い方向で話をしたい」というメディアもおられたことも事実です。実際は、機能性表示食品の制度が始まったことにより、以下の画像で使われているような悪徳業者が駆逐されたということをお話ししました。健康食品もメディアも、正直者が得をするような社会になればと願っています。
多少関係する別件ですが、2023年に「良い結果を保証する」プランを発表してしまった臨床試験受託会社もありました。明確な悪徳の雰囲気のする事業者は駆逐されましたが、こういった受託会社によって、あまり効果のない機能性表示食品があることも事実です。私共は、依頼主に都合の悪い結果を出して差し上げることも、業界の信頼を保つことと考えています。
産経新聞 3/26
一番初めに受けた取材です。3月29日の記者会見では、この時点で既にプベルル酸であることが概ね分かっており、未知ではありませんでした。小林製薬の情報開示が遅くなったことで、随分と的外れなコメントになってしまいました…。
腎障害が懸念されるシトリニン、有効成分であるモコナリンKなどは比較的大きな物質であり、こういった成分を想定していたので同定(化学構造など詳細が分かること)には時間がかかるとコメントをしていました。ですが、質量分析の結果で構造式がC8H6O6ということまで分かっているようですので、ほぼプベルル酸さんであると考えられます(記者会見ではその他の異性体、つまり別の物質の可能性にも言及していました)。簡単に言えば、ブロックのパーツが多いと様々な作品ができるけど、パーツが少ないと作品のパターンが限られるといった具合です。
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