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ワンカップと傘が教えてくれた その1

おじいちゃんが好きだった大関のワンカップ。
いろんなワンカップ話を母から聞くけれど、
あまりいい印象ではなかった。
朝からお酒を飲んでいた、
ふといなくなったら自動販売機で
「ガチャン」という音。(ワンカップを買ってたそう。)
お酒ばかり、と聞かされていた。

最近意外な側面をいろいろ知ることができたからこそ
より"おじいちゃん目線"で見てみよう、そう思った。

だから、あらためて、

なぜワンカップだったのだろうと、
思いを馳せてみる。

ワンカップの由来を調べてみた。

ワンカップは、当時の大関社長・十代長部文次郎の「コップをそのまま酒の容器にしてメーカー名の入ったラベルをつけて売り出す」という提案を受けて商品化が企画された。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ワンカップ大関

カップのデザインは、飲みやすい広口瓶の瓶形を東京芸術大学の小池岩太郎、青地に白抜きで「ONE CUP」の文字が入ったラベルを東京女子美術大学の松川烝二の2人が中心となってまとめた。当時の日本酒の瓶ラベルは漢字か仮名のロゴが当たり前で、アルファベットのロゴは珍しかった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ワンカップ大関


当時の日本酒は一升瓶から徳利へ移して呑む
のが一般的だったが、手軽さという伝統的な
日本酒の呑み方ではない、新たな視点が
若者たちへ広がったそうだ。

発売は当時の東京オリンピックに合わせた発売。
やはり伸び悩んでいたそうだが、
キヨスクで販売され鉄道との相性の良さで
次第に広がっていったそうだ。
そこから様々なカップ酒が広がる。

この最初の火付け役を担う、斬新さと、
対象の世代を変えて広げようとする部分は
とても参考になる気がする。

今までの”当たり前”に目を向ける。

デザインを一新、アルファベットでの展開。

伝統的な消費パターンにとらわれない若者へ向けて。

今、日本の伝統文化が失われつつある。

世代を超えて繋げていくためにはやはり
新たな視点で伝統を見つめ直す必要がある。

大関のように。

若い世代にどのように伝えていくか。

名前のことだまを学び、
一音一音に見えてくる日本人が大切にしてきたこと。
神社などあらためて日本の持つ伝統にやはり惹かれる自分は
この視点を大事にしてゆきたい。

手軽さ、利便さという当時の伝統的な清酒に
欠けた商品性を全面に出した「ワンカップ」。


たとえば毎年手作りしている「お醤油」。
今年の仕込みが終わり、昨年の仕込み醤油を搾った。

搾りの道具「ふね」で一年寝かせた醤油を搾る

これも手作りであることはとても手間のかかるもの。

でもこの手間にこそ、価値がある。
そして毎年の繊細な変化を感じられる。
季節や天候など環境に合わせてどう仕込むか、
たくさん考えさせられる。

こんな風に始めから大変な作業は難しい。
最初から諦めてしまう。

だからこその「入り口」となる部分で
いかに興味、関心を惹くことができるか。

そこはやはり手軽さ、利便さは大切になってくる。

良さを知ってからこそ、
徐々にできることを増やしていけばいいのではないかと思う。

おじいちゃんが通訳を通じて海外との交流があったこと、
文学に長け、小説を書いていたこと、
同時に伝統や芯の大切な部分をしっかり見つめていたこと。

「ワンカップ」を手にしていたのは
この1杯から広がる世界を楽しんでいたからではないかと思った。

新たな時代をつくる視点、
若い世代へとつなぐ視点。

令和の時代は世代を超え、
世代を結ぶ時代だとあらためて感じる。

伝統で残っているものは
やっぱり「素晴らしい」のだから。
やっぱり「大切」なのだから。


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