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満月と暮らし。沖縄の行事「ウマチー」

ウマチーを知る


やはり今回も意味のあるタイミングだった。
そしてやっぱり足元にあった。

旧暦5月15日。
沖縄では「ウマチー」の行事。

門中ごとに集まり、門中一族の繁栄祈願や健康祈願として行っているそうだ。
奥さんのふるさとでもサジとして何度もその時の重箱などお供えものを準備しているようだ。
サジ(←漢字がわからない)、カナ(加那)などまた気になる言葉が出てきたので、今度詳しく聞いてみたいと思う。

ウマチー、調べてみた。

「ウマチー」とは、「祭り」を意味する沖縄の言葉で、旧暦の2月、3月、5月、6月の15日を前後に年4回行われる祭祀儀礼を指します。

穀物豊穣を祈願し、収穫に感謝する沖縄の年中行事「ウマチー」とは?

初めて知った。
「お祭り」だから「ウマチー」なんですね。
そして、やはり
満月に合わせている。
今は旧暦「15日」に決まっているけれど、元々は満月の日だったのではないかとも思う。

沖縄もまた、古来から、穀物豊穣、豊漁を祈願したものが様々な行事で残されている。

そして、月をみてタイミングを決めていた。
まさに自然のリズムで生きている。

沖縄は麦や稲のイメージがあまりないけれど、
それでも、
いや、だからこそ麦や稲は貴重な恵みだったのではないかと思う。

島国であり、
また台風など雨に降られる厳しい環境下で、暮らしてきた。
収穫となれば本当にその恩恵を受けられることへの感謝は大きくなったと思える。
それが行事として残されているのではないのか。

自然に学び、自然に感謝する。
安定した環境が当たり前じゃないからこそ、
沖縄の方々は知っている。

それは僕が感じている「ちむぐくる」の心にもつながってきているように思える。

今は行事が簡素化されていることも聞く。
奥さんに聞けば、
今の僕らのような若い世代が行事の意味を知らなかったり、
行事の料理も作れる人は減ってきているそうだ。

そうなったら、僕らの子どもの世代はどうなる。
行事の中にある大切なもの、
これを次の世代に伝えていけるのだろうか。

厳しい時代を生き抜いてきた父や母の世代、そして祖父母の世代、
さらにたくさんの祖先。
厳しいからこそ大切にしてきたことがある。

今はいろいろなものが手に入る。
当たり前に過ごしている。
核家族化も進み、とにかく忙しい日々を過ごす。
忙しいと本質を見失いがちになってしまう。


もう一度自分たちの足元にあるものに目を向ける時なのではいかと教えてくれているようだ。

行事の本質とは?
行事の目的とは?

忘れかけていた。
気付かされた。
考えさせられた。

そして、今回の「ウマチー」も。

「祈願」と「感謝」

今では麦も稲もあまり栽培されていない。
豊穣の祈願が減っているのかもしれない。
そして、無事収穫できればそれは
自分一人で作ったものではない、
助け合ってまわりの人と作ってきたものだ。
そして、天の恵み(天候の影響など)があってこそ。
それは自然と「感謝」を表すものへ、行事へ、変わっていくのだと思う。

自力(日々の努力)と
そして天の恵み(他力)。

沖縄も同じく、いやもしかしたら内地以上に
そのどちらの力を知っていたのかもしれない。

それが暮らしの中の「行事」として表れている。
まさに和の自立

そして今回知ったウマチー。

「祈願」と「感謝」の祈りが行われる。

二月ニングヮチウマチー

        旧暦2月の麦の初穂祭。豊穣祈願。


三月サングヮチウマチー

        旧暦3月の麦の収穫感謝祭。麦の大祭。

五月グングヮチウマチー

        旧暦5月の稲の初穂祭。豊穣祈願。


六月ルクグヮチウマチー

        旧暦6月の稲の収穫感謝祭。稲の大祭。


五月グングヮチウマチーから見えてくる大切なもの


今はこの「五月ウマチー」が一番大きな行事のようだ。
年に一回となってしまっているところも多いよう。

お供えものについてもとても興味深い。

「初穂祭(二月・五月ウマチー)」 … 
初穂の時にはまだ穂が成熟していません。この麦や穂で作った「シルマシ」と呼ばれる神酒を、それぞれの拝所へ拝します。

沖縄カレンダーで見る「ウマチー」って?その意味と行事

初穂のときの御神酒「シルマシ」は、未成熟な穂から作る神酒のよう。
神酒=ミキ。
よく見かけるマルマサの「ミキ」はまさに御神酒。「げんまい」も。

元々は口噛み酒だったそう。
『君の名は。』にも出てきた口噛み酒とつながる。

ミキも素材や地域性がありおもしろい。
お供えものについてもまた記事にしてみよう。

沖縄は暮らしを知るほどおもしろい。
様々な行事、文化、
それをつなぐ人の心が見えてくる。

大切にしてきたものが見えてくる。
自分も行事にはほとんど興味なかったけれど、
奥さんと出会い、沖縄の風土に触れて感じたものがたくさんある。
自然のリズムと生きている。
まさに月の満ち欠けはそうだ。


そして梅雨の今6月。

梅雨の合間のこの時期に、無事雨続きの季節を越え収穫が得られるように願ったのが、

この五月グングヮチウマチー」なのではないか。

梅雨がもうすぐ明け、たくさんの太陽を浴びて稲穂がすくすくと成長するように。
大雨や台風もある季節。

長い雨ももうすぐ明ける。
雨には雨の中でできることを。
じっくり内へ目を向ける時なのだと思う。

無事この雨の季節を乗り越え、
お日さまをいっぱいに浴びて、
稲の収穫が得られますように。
6月のウマチーも無事行われることができますように。
また今は無くなっていたとしても、
ウマチーが教えてくれる大切なものはみなさんに届けられますように。


行事からも感じるぬちのオト。
僕もみんなが持っているまだまだ眠っている蔵の宝物を、
大切なものを輝かせてゆくためにまた歩みます。

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