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回しやすさ優先で考えたキバナ型ギラティナの備忘録

 先日、カードキングダム溝の口店で開催された大会「ポケカ夏やすみ2人チーム戦」に参加しまして、望外にも準優勝してきました。最終戦、サイド同数から時間切れサドンデスにより負けて「あー、今日も3位とか4位くらいかなぁ……」と意気消沈してたところへチーム名を呼ばれて一瞬よくわからなかったんですが、どうやら準優勝だったらしい。入賞賞品をもらったので、おそらくそうだと思います。記念にTwitterでよく見るようなデッキのキーカードと賞品を並べた写真をパチリ(ヘッダー写真)。またひとつポケカプレイヤーあるあるの実績を解除しました。

 今回も、あくまで自分のための備忘録としてデッキ構築の経緯を書き留めておきたいと思います。

「ポケカ夏やすみ2人チーム戦」戦績

使用:キバナ型ギラティナVSTARデッキ

1.ロストギラティナ 先6-5勝ち
2.ターボディアルガ 後6-4勝ち
3.エンペルト入りキュレム 後4-5時間切れ負け

準優勝🥈

デッキ選択の経緯

 前回パルキア裏工作アルセウス裏工作+そらピカ(1-1採用)で出た溝の口のジムバトルから今回まで準備期間が2週間足らずで、既存のデッキを磨き上げてもよかったのですが、ヤマグチヨシユキお兄ちゃんの「Tier1から逃げるな」の教えに従い、次期Tier1候補と名高いギラティナVSTARをアタッカーに据えることは比較的すんなり決まりました。
 あとは、ひと口にギラティナといっても、どんな型で出るのか。
 自分なりの安定択として、世間的には邪道ではありますが、しばらく練習していたアルセウス裏工作+そらピカデッキをチューニングして、アルセウス裏工作+ギラティナデッキがまず候補に挙がりました。

これを
こうじゃ

 このデッキ、下敷きにしているのは巷間いわゆるアルセウスギラティナというより、アルセウス裏工作+かがやくリザードンデッキです。
 要はアルセウス裏工作の安定感に加えて、最後のひと押しに高火力を挟むゲームプランというわけですね。
 かがやくリザードン入りアルセウスには、次のようなメリットとデメリットがあると考えています。

メリット
・かがやくリザードンがたねポケモンであるため奇襲性が高い
・1エネ250ダメージという超破格のコスパ
・マグマの滝壺で加速もできる

デメリット
・少ない採用枚数のエネルギーをエネルギー転送などでサーチして手札にキープor滝壺に備えてトラッシュに送らなければならない
・280のVSTARを一撃で倒すにはベルト必須
・おまもりつきVSTARを倒すにはさらにツールスクラッパーorロストスイーパーが必要
・雪道で特性が止まるので剥がすにはさらにマグマの滝壺orロストスイーパーorバケッチャなどが必要
・アルセウスで加速できないためシナジーはない
・序盤できることが少ない

 お手軽高火力のように見えて、じつは意外と要求札が多いと感じています。
 では、リザードンの必要パーツをそのままギラティナの1-1に置き換えてみたときはどうか。

メリット
・アルセウスで山札から加速できるため、エネルギーの管理さえできていればエネルギーサーチは不要
・素で280出せるのでVSTARを倒すのにベルト不要
・ベルトを巻けば310のミュウVMAXを倒せる
・相手のおまもりやベルトを無効化するためにツールジャマー採用もあり
・HP280あるので、たとえ相手がおまもりをつけていても、一発で倒される目算が立ちづらいなら2回殴る局面は考えられる。→最初のロストインパクトでダブルターボをロストに送れば2回目のためのエネがギラティナに残る
・序盤スタートしてしまっても、アビスシークという最低限の仕事はある
・雪道で止まらない
・ギラティナVのワザひきさくで(一応)ミルタンクを突破できる

デメリット
・3エネ要求なのでコスパがいいとはいえない
・前の番にトリニティノヴァで加速+次の番に進化という行程が必要なので、奇襲性が低い。相手に先回りされてボスで倒されてサイド2枚取られてしまう可能性がある→ギラティナが倒されてもアルセウスが2体残るような盤面を作って、チェレンを交えて戦えればいいが……
・色の違うエネルギーが山札にないといけないのでエネルギー管理が必要
・不純物となる水エネルギーを不採用とする場合、メロンでの加速が不可能→初手アルセウスにエネルギー手貼りができないと大きく後れを取ることになり、初手のストレスが大きい
・当然ながらスターレクイエムは使わないのでギラティナのポテンシャルを活かしきれない

 こんなところでしょうか。基本的にはギラティナは1体しか使いませんし、サイド落ちしていたらそのときは単なるアルセウス裏工作の動きをすればいいだけのこと。個人的には応用が効きやすく安定感もそこそこあったので、けっこう気に入っていました。
 とはいえ、世間のアルセウスギラティナの常識はビーダル型。裏工作の確定サーチに慣れてしまって縦引きは苦手ですが、勉強のために組んで回してはいました。使用していたのは、なのはさんのリストです。

 しかし、やはり大きく立ちはだかるのは初手アルセウスにエネルギーを手貼りできるかどうか問題。とくに後攻1ターン目でアルセウスにエネルギーを貼れないと、かなり後手を踏んでしまって安定しませんでした。水エネルギーが入っていないのでメロンを採用できず、貴重なビッパを前に差し出して次のターンにキバナを打つくらいしか対処法がない。
 1ターン目に現物たねポケモンにエネ手貼りのストレスがなくて済むのが、環境によくいるパルキアVSTARやキュレムVMAX、ミュウVMAX、ルナトーンソルロックなどの強みなんですよね。パルキアやルナソルはトラッシュから、キュレムは山札から(ヤレユータン込みで実質手札から)、ミュウVMAXはサポート(カミツレのきらめき)でのエネ加速orダブルターボエネルギー1枚で即起動という違いがあれど。とりわけパルキアとミュウは2エネでの起動が可能なのが安定して強い。
 その点、ロスト型ギラティナの強みも、初手エネルギー手貼り問題からストレスフリーでいられることにあると考えました。ロスト型では準備に時間と手間がかかるうえに選択の連続を迫られて、かえって超ストレスフルではあるのですが、ひとたびロストに7枚カードを送ってしまえば、あとは専用グッズによる2エネ加速が可能。ミュウですらサポート(しかもポケモン1体につき1エネ)なのに、色の違う基本エネルギーを2枚も好きなように加速できる。ミラージュゲートは誰もが認めるぶっ壊れカードです。ロスト型は超ストレスフルなシステムではありますが、そのぶん見返りが序盤のストレスを補って余りあるほど大きいと評価しました。
 そして単純に、スターレクイエムを打てるのが強い。アルセウス型ではVMAX対面のためにベルトやかがやくルチャブルを用意しなければなりませんが、ロスト型だとVMAXすら一撃で倒すことができます。アルセウス型ではエネルギーロストがただのコストにしかならず効率が悪い(ダブルターボロストならコスパがいいとはいえ、基本縦引きなので確定サーチで持ってくる手段がキバナくらいしかない)のに対し、ロスト型では、たとえばロスト8枚のタイミングでロストインパクトを撃てば次のターンにスターレクイエム、ロストマイン圏内に辿り着きます。エネルギーロスト自体がアドバンテージにもなりうるんですね。エネルギーをロストさせる積極的な理由ができる。
 また、ロスト型は発表当初からプロキシで組んで回していて、長いこと「デッキが回るかどうかは運ゲー要素が強い」と感じていたのですが、少しずつながら習熟してくるにしたがって「構築次第で確率の要素はある程度コントロールできる」と考えるに至りました。たとえばキュワワーの特性はなえらびでミラージュゲート2枚を引いてしまったらそれは相当の痛手で、事故として割り切るほかありませんが、2ターン目以降にミラージュゲートとバトルVIPパスを引いたとしたら、よほど特殊な事情がない限り、まず間違いなく大多数の人がノータイムでバトルVIPパスをロスト送りにするでしょう。このように、カードごとの優先度順をある程度決めておき、ロスト送りにしても痛手にならないほどのバッファ(余裕)を作っておけば、ストレスは多少なりと軽減できるはず。そういった考えのもと、デッキ構築に取り掛かりました。

デッキレシピ

 実際に使用したレシピがこちら。

キバナ3枚採用型ギラティナ

デッキコード:k55kFV-NJWc6S-vFFf1V

 一般的なロスト型ギラティナデッキと異なる点は、

・バトルVIPパスの不採用
・キバナの3枚採用
・基本水エネルギーの1枚採用

 でしょうか。
 採用理由の項で、その理由を書き留めておきます。

採用理由

ギラティナV/VSTAR  3枚/3枚

 最初のうちは2枚/2枚で回すことも考えていました。非Vによる攻撃を2〜3回挟みつつ、ギラティナ現物は絶対にロストさせずに手札に確保し、機を狙って2体同時に立てていくようなプランですね。たとえば、どっすんグースカのカビゴンがワザを使うターン(ロスト7枚のタイミング)で初めてギラティナを場に出し、どちらかのVがボスで呼ばれて倒されても返しのターンでもう1体が完成するというパターンです。この戦術ができるのは、ロスト型ならではだと感じています。
 なぜかというと、裏工作って名前こそ「裏工作」ですが、持ってくるカードは基本的に相手に見せるので、実質「表工作」ですよね。それに対してロスト型では、はなえらびもアクロマも、相手に開示されるのはロスト行きのカードだけ。もちろん相手も捨て牌からある程度の予測は立てられるでしょうが、起死回生の勝利を決める切り札を抱えているかもしれないし、じつは手札は苦しいままかもしれない。そんななかで不意にギラティナVが2体並べば、そりゃ圧が強いわけです。
 ただ、ギラティナ2-2でデッキを回してみると、ギラティナ現物を絶対にロストできないという制約はかなり厳しいと感じざるを得ませんでした。なるべくギラティナでスタートしたくない(キュワワーでスタートしたい)ゆえの2枚採用なのですが、たとえばギラティナVSTARとミラージュゲートの二択を迫られたなら、泣く泣くロストしたミラージュゲートが、結果的には敗因になりかねない。ギラティナ現物にこそバッファが必要だと考えました。
 また、果たしてギラティナスタートが本当にディスアドバンテージなのか? と疑ってかかるきっかけにもなりました。アルセウスもパルキアもミュウも、スタート直後から仕事があって自立しているからこそ強いし安定感があるのだと思います。アルセウスは手貼りさえできれば次の番スターバースからのトリニティノヴァが見えるので積極的にスタートしたい。後攻でもダブルターボさえ引ければトリニティチャージが撃てる。パルキアも進化すればスターポータルから即起動できるので、バトル場にいて問題はない。ミュウに至っては逃げゼロなので、メロエッタなどの非Vと使い分けられる。翻ってギラティナVはどうか? と見ると、軽視していた上ワザのアビスシークの評価を見直すことになりました。単純に無色1エネで山札4枚を参照して2枚を手札に加え、しかもロストを2枚肥やすこともできるのだから、ほぼアクロマの実験です。1ターンに1回しか使えないサポートとほぼ同じ動きができるのであれば価値がないわけではない。パルキアVのりょういきしはいと比べると、より汎用性は高いと思われます。アクロマ+アビスシークorはなえらび2回+アビスシークでロスト4枚までは行けるので、出遅れたとしてもとりあえず次の番にウッウで殴り出すプランが見えてくる。
 さらにアビスシークの利点は、キャプチャーエネルギーに対応していること。このデッキにおける初手の理想ムーブは、先攻後攻ともに「(できればベンチにいる)ギラティナVにキャプチャーエネルギーを手貼りすること」だと考えています。相手のデッキタイプ次第では、初手にギラティナVを2体並べて積極的に圧をかけていくプランも用意している。現に大会初戦のギラティナミラーでは、先攻1ターン目からギラティナVを2枚ベンチに出して圧をかけ、次のターンに相手も慌ててギラティナを出してきましたが、こちらのほうがキバナで早く育ちきって両面完成、相手ベンチのVをボスで呼んで先制を決めて、あとは蹂躙するだけでした。
 もちろん、初手のエネルギーは臨機応変にキュワワーなどに逃げエネとして貼ることもありますが、キバナを強く使いたいデッキコンセプトから、理想は入れ替え札だけでキュワワー・ウッウを回して、縦引きでキャプチャーエネルギーを引けた段階でベンチのギラティナに手貼りする。こうすることで盤面展開を助けつつ、非Vが倒された返しの2ターン目でキバナ・手貼りからのギラティナ即起動を狙います。カビゴンなどを挟むテンポ寄りと違い、ややアグロ寄りのギラティナデッキだと捉えています。
 また、キバナから起動して2ターン目から下ワザのひきさくも積極的に使います。とりわけ相手の非Vを倒すためにロストインパクトを撃つのは非効率なので、仮に返しで倒されるとしてもベンチのギラティナが進化できれば問題ないとの考えのもと、バトル場のギラティナは敢えて進化させない択もありうる。とくに160ダメージをのせてベンチに戻った相手のVSTARなどは、のちのちヤミラミのロストマイン120でちょうど仕留めきれる範囲内です。ロストマインでの勝ち筋を増やす意味でも、序盤から撃つひきさくは効果的だと思われます。
 以上の理由から、ギラティナは3-3の採用としました。本当は4-4と採用したいくらい。いわゆるビーダル型アルセウスギラティナだとギラティナが2-2採用で実際にバトルで使うのは平均1体であろうことを踏まえると、ロスト型の強みを活かすなら、序盤から複数体ギラティナを立てることを想定してアグロで圧をかけていくのも択のひとつだと考えたわけです。もちろん展開次第で、初手にギラティナを出さないこともありますが。そこは習熟しないといけないと、自戒を込めて思います。

かがやくゲッコウガ

 ロスト型には欠かせないエンジンとして、近ごろでは4,000円くらいまで値段が跳ね上がったゲッコウガさん。かがやくリザードン入りのロストツールボックスを除き、ほぼすべてのロストデッキでドローサポートとして採用されています。
 ロストエンジンの場合、キュワワーの2枚、アクロマの5枚で計7枚を参照できるのだからその時点で博士の研究と等価で、ドローパワーが決して低いわけではありません。が、そのうち3枚をロストに送ってしまうので、実際に入手できるのは4枚まで。5枚ドローのマリィよりも手が広がらないということになってしまいます。また、意に沿わないロストを減らすためにも、単純な縦引きで先にデッキからリソースを抜き出しておくことで、手が広がりやすくなります。パルキア裏工作では裏工作よりかくしふだを先に使うことで不確定ドローを見てから裏工作のサーチ札を決めるのが定石であるように、ロストデッキでもかくしふだで不確定ドローを見てからアクロマ、はなえらびを行なったほうが、より精度の高い判断ができるといえます。とくに序盤は、かくしふだでクイックボールやキャプチャーエネルギーを引いてきて、先に山札を見てサイド落ちを把握することが大事。これが結果的に、ロストカード選択におけるストレス軽減にもつながります。
 ただ、調整段階では長いことゲッコウガの採用には懐疑的な側面もありました。このデッキではエネルギー管理が非常に大事なのですが、その貴重なリソースを安易にトラッシュに捨てることが果たして効率のよいことなのか、疑問に思わずにはいられなかったのです。たとえばパルキアならスターポータルやメロン、雷タイプならモココの特性エレキダイナモ、鋼タイプならメタルソーサー、悪タイプならダークパッチを活用するためにエネルギートラッシュとはシナジーが抜群なのですが、ロスト型だとかくしふだはやや中途半端な印象が拭えませんでした。もちろん、はなえらびやアクロマで手札にどんどん押し寄せてくるエネルギーをトラッシュに捨てて、しかるのちにエネルギーリサイクルやつりざおで山札に戻すことで、効率よくミラージュゲートにつなげていく、そういうサイクルを考えれば、シナジーがないわけではありません。が、それは「手札→トラッシュ→山札→ギラティナに加速」という遠回りな手順を踏むうえに、エネルギーリサイクルorつりざお→ミラージュゲートという2種類の必要パーツを前提としています。とくにトラッシュから山札にエネルギーを戻す札は枠の都合上、基本的には2枚まで、多くて3枚までが限界ではないかと思われます。たとえば1枚採用のエネルギーリサイクルを泣く泣くロストに送った時点で、トラッシュから5エネを山に戻すパワーがデッキから消え失せてしまう。いまだ初心者の域を出ない下手くそな自分には、この迂遠なエネルギーの循環は安定性を欠くと感じられてしまいました。
 そのため、かがやく枠は結構ギリギリまで悩んでいました。
 たとえばノーコストでドローにつなげられるフシギバナ。草エネを共有できて、ミラージュゲートで起動できるワザも優秀です。が、グッズ過多、サポとエネ少なめで回してみたものの、必要札を抱えながらどんどん縦引きしていくロストシステムとはあまり相性がよくなさそうでした。手札が3枚以下になるケースがほとんどない。ドローできるとしても番の終わりですし、ミュウみたいには上手くいかないものです。
 ドローを捨てるなら、ギラティナが確実に一発耐えて次の番のワザにつなげるサーナイト(一応ワザも撃てる)。あるいはVMAX対面を重く見てルチャブル。たしかに両者とも利点はあるのですが、やはりゲッコウガの2ドローを失うのは大きな痛手でした。ドローエンジンがいないと、どうしてもデッキが回ってくれない。とりわけ序盤はアクロマの実験に触ることが最優先課題となってくるため、ゲッコウガを採用するに至りました。
 ここまでは消極的な採用理由だったのですが、あるカードを厚く採用することにより、これが積極的な理由に変わりました。お気づきのように、そのカードこそ、このデッキのキーカードであるキバナです。

ネオラントV 1枚

 おもに後攻1ターン目にアクロマの実験に触るために使用します。キャプチャーエネルギーでは効果が発動しないため、クイックボールが見えたら最優先でサーチしたい1枚。
 本来であれば負け筋なのでなるべく出したくはないのですが、前述したように場合によっては初手からギラティナVを2体並べて圧をかけるようなプランを考えているので、ネオラントが囮となってギラティナの育成をさせてもらえるなら、それはそれで問題ないと考えています。また、1枚だけ採用している水エネルギーのつけ先は基本ネオラントにしています。キバナやミラージュゲートによりアタッカーが育って手貼り権が余った場合などにつける。こうすることで、ミラージュゲート1枚あればアクアリターンで山札に戻れます。ネオラントと手貼りした水エネ1枚を山に戻せるので、実質2枚目のふつうのつりざお。アクアリターンを撃ったあとにキュワワーを前に出せば、実質キュワワーで120ダメージ与えたことと等価なので、いわばウッウの上位互換です。強い。最後の切り札ボスの指令を引き込む役として再登場を願うこともあるかと思われます。
 ただ、ミラージュゲートは最大4枚と限られている貴重なリソースなので、実戦でアクアリターンを撃つ機会はほぼないかと思います。ウッウで1〜2回、ギラティナで2〜3回、最後にヤミラミで1回押し込めれば(V主体のデッキ相手なら)勝てる目算で考えているので、ミラージュゲート1枚で120ダメージなのは勿体ない印象。むしろネオラントに水エネをつけるのは、相手に対するブラフの意味合いのほうが強いです。というのも、こちらのベンチにゲッコウガがいて水エネルギーを見せられた相手は、げっこうしゅりけんを警戒してマナフィを置いてくれるから。相手のマナフィは、のちのちロストマインのエサになります。
 現に大会初戦のギラティナミラーでも水エネをネオラントにつけて牽制し、クイックボールを1個マナフィのために浪費させることができました。ちなみにこちらも2ターン目くらいにたまたまドローしてきたマナフィを置いてありましたが、相手のデッキには水エネルギーが入っていなかった様子。危うくロストマインのエサになるところでした。

あなぬけのヒモ 2枚/ポケモンいれかえ 1枚/ふうせん 1枚

 相手バトル場のエンペルトVとガラルマタドガス(かがくへんかガス)が厄介なので、あなぬけのヒモを厚めの2枚採用。キバナの確定サーチを備えている関係上、入れ替え札の種類は散らし得だと考えて、ポケモンいれかえも搭載しています。とはいえ基本は縦引きのうえにドローの多くを特性に頼っているデッキなので、エンペルトやマタドガスを退かしたいときにそう都合よくあなぬけのヒモが手に入るわけではないんですけどね。実際、大会3戦目のキュレムパルキアにはしっかりエンペルトが入っていて、ボスを引くまで相当苦しめられました。エンペルトさえいなければ勝てていたかもしれない。
 エンペルトならルミナスサインやかくしふだは使えるのでまだ突破可能ですが、基本的にガラルマタドガスとの対面は割り切って捨てています。淡々と番を返して負けて終わるほかありません。

キバナ 3枚

 なまじ裏工作に慣れてしまったぶん、ロストデッキを回していて「欲しいカードが欲しいときに手札に来ない」というのがかなりのストレスになっていました。また、ギラティナVSTARを2ターンで育て上げるには当然のことながら「進化先のVSTAR+ミラージュゲート」という2つのパーツが必要なわけですが、これらがなかなか揃わない。とくに進化先のVSTARが厄介で、スタートさせたくないばっかりに2枚-2枚の採用としていた時期はなかなか現物が手札に来ないし、それを補うためにハイパーボールを採用すると、今度はトラッシュするコスト2枚が非常に重くなってくる。個人的にロストデッキとハイパーボールの相性は、かなり悪いと感じています。
 だからこそ、VSTARは基本的には現物を引いてきて手札に抱えておくために3枚採用としました。叶うなら、たとえ歪な形であろうとVを3枚、VSTARを4枚としてもよかった。
 そして、縦引きで現物を持ってこられなかった場合でも、キバナの確定サーチでVSTARを持ってくる。この動きがロストギラティナにおいて相当強いことに気がつきました。ギラティナVSTAR現物を持っていてミラージュゲートが足りないときはミラージュゲートを持ってくればいいし、VSTAR現物とミラージュゲートは持っていて手貼り用のエネが足りなければエネ現物(基本エネ節約と後続アタッカー準備のために、基本的にはキャプチャーエネルギー)を持ってくればいい。足りないパーツを補えるわけです。この柔軟さがとても気に入りました。
 なにより、キバナを手札に抱えてロストギラティナをプレイしてみると、本当に見える景色がガラリと変わります。実際に何度も何度も回してみて、これは本当に驚きでした。私が下手くそなだけかもしれませんが、手札にキバナが見えているだけで、次のターンの動きの見通しを立てながら準備しやすい。このデッキはウッウやキュワワーなど非Vを差し出しながら戦うことになるので、毎ターンのように相手にサイドを取られていきます。とりあえずウッウで殴ったものの「で、次は?」の視点が抜けていると、どうしても後手後手になってしまう。そのためのプランのひとつが世間では非Vカビゴンなのかもしれませんが、私はそれでは遅いと考え、ギラティナを立てることを最優先にしました。
 とにかく序盤はアクロマの実験を使わなければお話にならないシステムなので、手札に初動札ではないキバナを抱えるのは、ともすると非効率的に感じられるかもしれません。たしかに使いどころが来るまで、貴重な手札の1枠は無駄になってしまいます。が、キバナは手札にあるときこそ強いと感じるようになりました。要はロストシステムのストレスを大幅に緩和してくれる精神安定剤にして、今後やるべきプレイングの方向性を教えてくれる優秀な羅針盤。そもそもキバナはドラゴン使いのジムリーダーなのですから、ギラティナとも相性が悪いはずがありません。
 初手にアクロマの実験を使えていれば2ターン目以降にキバナを引けている確率はそこそこあるはずです。ネオラントが余っているなら、キュワワーやウッウを倒された返しの番にネオラントのルミナスサインからサーチしてきてもいい。アクロマと同じくらいの優先度で積極的に手札に加えていきたいサポートとなります。本当は4枚積みたかったくらいですが、回してみて3枚あれば足りると感じたので、厚く3枚。
 じつは最終戦の対パルキアキュレムでキバナが1枚サイド落ちしていて(不運にも、いつもルーティンで取るサイド順からすると6枚目に埋まっていた)あと1エネが足りずロストマインを打てずに負けることになるのですが、あれはもう不運と割り切るほかない。どこまで行ってもポケモンカードは難しいゲームです。

マリィ 1枚

 ロスト型や裏工作型が多く手札干渉が刺さる環境なので、1枚は積みたかった。手札にあぶれたエネルギーをミラージュゲートのために山札に戻す役割もあります。
 この枠は定番のツツジと迷ったのですが、キバナを除いて基本は縦引きデッキなので、序盤から事故を回避する意味でも、マリィのほうが汎用性が高いのではと感じました。
 ただ、ここは自由枠のひとつなので、ボスの指令の2枚目に変えたほうが安全かもしれません。

ボスの指令 1枚

 思いきった構築にしてしまったなと、自分でも思います。ギラティナは正面を殴って戦えるポケモンなので後ろを呼び出す機会は1度でいいかなと踏みました。序盤はアクロマの実験を使わないとゲームにならない都合上、あまり引きたくないという事情もあった。キバナと同様、たとえその番に使わなくても、ボスは手札にあるだけで精神安定剤として働きますが、展開につながる札ではない点がキバナとの大きな違いです。こちらが展開できない場面でのボスは、相手の逃げエネの重いVをバトル場に縛るなどの消極的な逃げの一手しか打てない。
 とはいえ1枚では欲しい場面で手札に来ないこともありますし、2枚目を採用した方がいいのではないかと考えています。

エネルギー配分

 ロスト選択のためのバッファをデッキに入れるとすると、ポケモンやトレーナーズは同種のカードを4枚までしか入れられないという制約上、どうしてもエネルギーの枠で補うほかありません。
 一般的なギラティナデッキの構築を見るとエネルギーは12〜13枚が多いようですが、ここにバッファを持たせて15枚としました。ただ、基本エネルギーはなるべく山札かトラッシュに残しておきたいので、ロストさせるとしても超と草は1枚ずつ。水エネは仕方ないのでブラフとしてロストさせるとして、キャプチャーエネルギーは1〜2枚までロストさせることにしています。序盤のウッウから終盤のヤミラミまで、ボールを減らしたこのデッキにおいてキャプチャーエネルギーの担う役割はかなり大きいので、そこは臨機応変に対応したいと考えています。

不採用理由

カビゴン(どっすんグースカ)

 キバナとギラティナを強く使いたい方針なので不採用。普通に強いカードですが、このデッキの目指す方向性とは違ったというだけです。
 ちなみに、もし使うとしたらビリジオンVとの併用を検討していました。草エネをつけているだけで眠らないので、あわよくばカビゴンで2発殴りたかった。ビリジオン自身もミラージュゲートからアタッカーとして起動できます。が、なかなか動きが安定せず、枠の都合もあり断念。

バトルVIPパス

 2ターン目以降もロスト送りのバッファとして使えるのは相当優秀ですが、いざ回してみるとそうそう上手くいくものではなく。番の初めのトップで引いてきたときが割と絶望です。ヤレユータンが欲しくなる。初手で引ける確率もさほど高くはなく、死に札になってしまうのが好みではないので外しました。そのぶんの展開力をキャプチャーエネルギーとキバナの確定サーチで補う形としています。

スタジアム

 またまた思いきったことをしてしまったと思います。最有力候補はかくしふだを強く使うためのトレーニングコート、次点で頂への雪道でしたが、なくても不都合はないと考えて、あえての不採用。雪道で縛られても止まるのはゲッコウガだけで、致命傷になるわけでもなさそうです。
 環境的にターボ構築やパルキア、キュレムパルキアあたりがトレーニングコートを張ってくれるので、その手のスピードの速いデッキでは相乗りさせてもらえばいいという邪念もありました。
 ただ、この大会最終戦で、お相手のキュレムパルキア側がトレーニングコートを貼ってくれたのでトラッシュの超エネをヤミラミにつけてロストマインでベンチのエンペルトV(ひきさく160ダメージをのせてあるやつ)を落として勝ちの局面が見えていたのですが、相手の番の終わりにロストスイーパーを使われて、トレーニングコートを自ら割られてしまいました。あれは痛恨。そのため超エネ1枚が足りず、前述したようにキバナがサイドのいちばん奥深くに眠っていたために時間切れサドンデス負けとなってしまいました。もしこちらにトレーニングコートがあれば勝ちでしたし、雪道があれば相手がロストスイーパー使用直後だったので白銀世界を止められる可能性があった。スタジアムの重要性を痛感しました。そもそもスタジアムを入れていないと相手に好きに動かれてしまうので、どこかでなんとか枠を捻出して、スタジアムは入れるべきだったと反省しています。

ロストの優先度

 最後に、ロストに送るか送らないかのひとつの判断基準として、各カードの個人的な優先度を書き留めておきます。もちろん相手の盤面や自分が通したい動きによってロストさせるカードは臨機応変に選ぶべきなので、あくまでも参考基準のひとつでしかありません。

ギラティナV/VSTAR

 サイド落ち確認は必須ですが、上下ともに1枚ずつはロストしても問題ないかと考えています。下がサイドに落ちているときはヘビーボール待ち。

キュワワー

 貴重なドローソースとなるポケモンですが、ロスト7枚到達の見込みが見えた段階で新しいキュワワーが要らない局面であれば、割と躊躇いなくロストさせます。バッファになるという意味でも4投以外は考えにくい、入れ得なカードだと考えています。

その他ピン挿しのポケモン

 究極の二択を迫られたらその限りではありませんが、基本は手札に確保したいカードとなります。

クイックボール

 かなりボールの少ない構築ではありますが、キャプチャーエネルギーの補助もあるので、終盤は意外とボールが余ります。1枚くらいはロストに送れるバッファと考えています。

入れ替え札

 基本的にはキュワワーの入れ替えや、終盤にもギラティナからヤミラミ、ウッウへのバトンタッチを想定して手札に抱えておきたいカードですが、4投の回収ネットについては1枚まで仕方なしにロストさせることにしています。

ミラージュゲート

 これも4投のカードとして1枚までロストは許容としていますが、それはあくまで例外で、極力手札に加えることにしています。回収ネットと天秤にかけるなら、まず間違いなくミラージュゲートを手札に加える。というのも、のちのち不運にもはなえらびでミラージュゲートを2枚同時に引いてしまう可能性がなきにしもあらずだから。同時に引いたときは軽く絶望しつつ、悩みに悩んだふりをしてロストに送ります。ノータイムで選ぶと読まれやすそうなので。
 ミラージュゲートは、いわばミュウデッキにおけるパワータブレットと同等かそれ以上の価値があると捉えています。絶対に無駄遣いしてはいけないし、そもそもキバナを厚く採用したのはミラージュゲート節約のためでもあります。手貼り→次の番にキバナ加速と手貼りで、ミラージュゲートがなくギラティナは起動できる。いわばキバナは、ロスト6枚以下の状況下におけるミラージュゲートという位置づけです。

ふつうのつりざお/エネルギーリサイクル

 基本的にはロストさせるには相当なリスクが伴います。トラッシュから山札にエネルギーを戻せるカードは貴重で、これを失ってしまうとミラージュゲートの価値、山札の強さが落ちてしまいます。ゆえに基本的にはロストさせたくないカードです。同時に引いてしまった場合、エネルギーリサイクル>ふつうのつりざおの優先度で考えますが、トラッシュにウッウ・ヤミラミとネオラントがいる場合は話が別。とくにネオラントの使い回しができると、最後の押し込みが容易になって強いです。実際、大会2試合目のディアルガザシアン戦では、相手セイボリー→ネオラントトラッシュ→つりざお→クイックボール→ネオラント→ボスの指令とつながって、裏の4エネついたディアルガに速攻でロストインパクトを当てることができた。ふつうのつりざおは、叶うならばもう1枚採用したいくらい便利なカードです。

キバナ

 相手にキバナが入っていることを見せたくないこともあり、基本は手札に確保したい1枚です。すぐには使わなくても手札にあるだけで見えている世界が変わる精神安定剤。
 ただ、とくに手札が潤沢ではない序盤、すでに手札にキバナを持っている場面で、アクロマの実験と天秤にかけて悩みに悩んだふりをしてキバナをロストに送るのはありだと思います。実際、1試合目のギラティナミラーでその動きをして、ウッウで殴って番を返したところ、相手は素直にウッウを倒してくれました。これでキバナを使ってロストインパクトで先制に成功したのが大きかった。一般的にはキバナが複数枚、それも3枚入っている構築はそう多くないので、一定の奇襲性があります。相手目線、手札に加えたカードは開示してもらえないので、ケアしづらいのではないかと思われます。

エネルギー

 前述したとおり、エネルギーがある程度このデッキにおけるバッファとなっています。草超エネルギーは各1枚ずつまでロスト許容(2枚目はヤミラミで使わない草エネルギーを優先して慎重に検討)、水エネは仕方なしにロスト、キャプチャーエネルギーは状況に応じて1〜2枚までロストさせることにしています。ただ、エネルギーはかくしふだのコストにもなるため、手札が細いとき、欲しい札があるときには安易にロスト送りにするのは避けたいところ。とくにキバナを採用している関係上、エネルギーは場に出ていたほうが有利です。

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