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ミニ自主大会優勝LTBの備忘録

 2月23日に行なわれたポケモンカード公認自主大会「ミニばすらお杯」に参加させていただき、優勝することができました。「ミニ」とあるとおり11人規模の大会で、最も恐れていたクレッフィを踏まなかったマッチング運にも恵まれ(主催者のデッキに1枚入っていたようで……)まぐれと言ってもおかしくないと思います。
 それでも、1月29日のトレーナーズリーグでロトムVSTAR/ミライドンexにいったん区切りをつけて以降の約1ヶ月、リモート対戦を控えめにして一人回し優先で、かねてより懸案だったロストを研究してきた甲斐はありました。
 今回も、あくまで自分のための備忘録として、構築の意図を書き留めておきたいと思います。

2月23日 ミニばすらお杯 戦績

11名参加
使用:リザードン型ロストツールボックス

  1. ミライドンex/レジエレキVMAX/レントラーV 先6-3勝ち

  2. フュージョン型ミュウVMAX 先6-4勝ち

  3. ミライドンex/レジエレキVMAX/そらピカVMAX 後6-5勝ち

  4. ロストギラティナVSTAR 先6-3勝ち

優勝🏆

デッキ選択の経緯

 1月末に念願のトレーナーズリーグ完走を達成して以来、数日間はモチベーションを失って迷子になっていたのですが、重い腰を上げてロストの研究を始めたのが、2月初旬。
 回収ネットがレギュレーション落ちしたことで明らかに速度の落ちたロストについては、ずっと及び腰でした。手持ちデッキのうち、新レギュレーションへの対応がいちばん遅かったのがロストツールボックス(以下LTB)とロストギラティナ。たしか2月に入っても、ロストのデッキにはまだ回収ネットが入っていたんじゃないかと記憶しています。
 その時点でミニばすらお杯に出ることは確定していたので、まずは2月23日(木)に照準を定め、逆算して第2週の11日(土)まではリザードン型の研究。12日(日)の休日を利用してゲッコウガ型に換装し、18日(土)までの第3週はゲッコウガ型を遊び倒す。そして19日(日)までにどの型にするか決めて構築のベースを固め、21日(火)の代休を含めた4日間で細かい採用枚数を調整する。このロードマップをあらかじめ定めて準備することにしました。もしロストがモノにならなければロトムかアルセウスギラティナそらピカで特攻することも、第3週の時点ではずっと視野にありました。

 第2週の研究では、当時のヤミラミリザードンのテンプレ構築に始まり、前環境のTord選手が使っていた雪道多投型を現環境用にアレンジしたもの、一時はロストアビス収録のジュペッタとジュペッタexを絡めたものなども試していました。
 第3週は、前半をゲッコウガ/ガラルファイヤーに充て、後半をゲッコウガ/ザマゼンタに費やしました。心情的にはロストザマゼンタに愛着があるので使ってあげたかったのですが、現環境だとどうしても安定感を欠いてしまうきらいがあって、まぁ自分の腕前では難しかったですね。

 期間中、二度の転機がありました。
 一度目の転機は、ちょうどリザードン型をゲッコウガ型に切り替えたまさにその日、12日(日)にドラゴンスター広島店さんで優勝されていたヤミラミリザードンの構築を見た瞬間でした。

 これに大きな衝撃を受けました。
 良くも悪くもアクロマの実験というサポート4枚に依存しすぎているデッキタイプで、ポケギア4投、トレッキングシューズ4投と、山を掘っていく強い意志が窺える、非常に真っ直ぐなリストになっています。思想的に共感できる部分が多々ありました。

 バトルVIPパスの不採用もそのひとつ。
 少し場持ちがよくなったギラティナVでアビスシークを撃つ機会が増えたロストギラティナデッキならいざ知らず、相手の後1・先2からあっさりポケモンを倒されがちな非ルール主体デッキにおいて、上振れ下振れの可能性があるバトルVIPパスを採用することには、当初から懐疑的でした。5〜6回の攻撃機会を途切れさせないのが至上命題であり、バトルVIPパスを採用したからといって霧の水晶やネストボールの枚数を甘えていたら、後半にポケモンを持ってきづらくなってしまいます。当然、手札干渉にも弱くなる。
 もちろん、VIPパスが2ターン目以降ロストを肥やすための、デッキのバッファ部分を担うというメリットも理解しています。初手に引ければ文句なく強いです。それでも、ただでさえ枠がカツカツなLTBにおいて、ミラージュゲートやエネルギーリサイクルなどを採用する必要がないリザードン型のメリット「枠の自由度の高さ」を最大限に活かすために、2手目以降ただの死に札となるVIPパスを安易に入れるのは考えものだなぁと、ずっと感じていたのでした。
 その点、ポケギアとトレッキングシューズは、

  • アクロマ到達とデッキ圧縮を補助する

  • ロストの弱点である手札干渉への耐性を上げる

  • 手札が揃っている場合にはロストに送るバッファ部分を担う

 この3点を兼ねているという意味で、バトルVIPパス不採用型との相性が非常に高いと考えました。
 自分のLTBをゲッコウガ型に換装してからも、この構築がずっと頭の片隅に引っかかっていて、最終的にリザードン型に戻す要因となりました。

 二度目の転機は、TwitterのDMでずっとやり取りをさせていただいていたフォロワーさんとのリモート練習。その方はCL愛知に向けてヤミラミリザードンを調整されていて、18日(土)の夜に「リモート練習をしないか」とお声がけをいただきました。まさに、自分もリザードン型かゲッコウガ型かをそろそろ決めなきゃいけないと考えていた時期。こちらは壁となってアルセウスギラティナそらピカやクレッフィ・エンペルトV入りヒスイゾロアーク、雪道ミュウを回していたのですが、ドンピシャのタイミングでヤミラミリザードンの強さを見せつけられ、これだ! と確信するに至りました。
 その後、平日にもリモート練習をさせていただく機会を得たので、画面の向こうのヤミラミリザードンの動きを凝視して、ひたすら上手い人の思考をトレースして貪欲に吸収しようと努めました。結果的にこれが、優勝というこれ以上ない成績につながった、いちばん大きな要因だったのではないかと思います。手札を出しながら一人回しも見てもらって、貴重なご意見をいただけたことが、かなり役に立ちました。

 18日のリモート練習を振り返りながら、19日時点の思考のログ。

いまでも欲しい、ウッウ3枚目。
ポケストップ型も試しましたが、まぁ事故りました。
これがベースになりました。

 カードゲームは最終的には1対1の孤独な個人戦ですが、環境読みや構築段階のメタゲームにおいて、異なる意見を持つ人と知恵を出し合って議論することで、ひとりでは辿り着けない境地に連れていってもらえるのが面白いですね。ゲーム的な言葉でいえば「キャリーされている」と感じます。本当に有難い。

 ここから数日間の調整を経て、本番用のデッキへと仕上げていきました。

デッキレシピ

 大会で実際に使ったレシピがこちらです。

デッキコード:QgnngN-GLbhSL-gQgNNn

ロストツールボックスの目標とは?

 前レギュで長らくロストザマゼンタを使っていた私は、とにかく「バトル場のポケモンを倒す」ということに視線が行きがちでした。おとぼけスピット110+かたきうち220=330で、ほぼすべてのVSTAR/VMAXは倒せるよね、とか。ロストマインで60をのせておいたHP280のポケモンに、次の番、かたきうちを当てることでダメージの無駄なく倒せるよね、とか。それはザマゼンタの高火力があるからこそ叶う動きでした。
 ところが、ヤミラミリザードンは少々事情が違います。リザードンが250という高火力を出せるとはいえ、キバナなどのエネ加速手段を絡めない限り、1エネ手貼りで起動するのは相手のサイド残り2枚の状態から。出せる総ダメージ量には限りがあります。
 非ルールデッキで正面を倒し続ける青天井の大火力を出すのであれば、たとえば回収ネットがあったころのルナトーンソルロックあたりのほうが、よほど脅威だったと思います。放っておくと、どんどん火力がインフレしていくという恐怖。
 しかし、ヤミラミのワザ・ロストマインには、たった1エネでバトル場/ベンチ問わずにダメカンを12個もバラ撒けるというところに、唯一無二の強みがあります。出せる総ダメージ量は限られていても、その置きかた次第で相手より先に6枚を取りきることができる。ビッグパラソルがレギュ落ちしたいま、ロストマインを止められるものはエーフィVMAXやカビゴンなど、特定のポケモンの特性だけに限ります。
 机上論ではありますが、ヤミラミが3ターン目に起動すると仮定して、ヤミラミリザードンが1試合で出せる総ダメージ量を概算してみると、こうなります。

【先攻】 ※後1で相手にサイドを取られなかった場合

番 (相手サイド残):ワザ  ダメージ量
先2(6):おとぼけスピット 110
先3(5):ロストマイン   120
先4(4):ロストマイン   120
先5(3):ロストマイン   120 or かえんばく 250
先6(2):ロストマイン   120
先7(1):かえんばく    250
      合計       840 or 970

【先攻】 ※後1で相手にサイドを取られた場合

先2(5):おとぼけスピット 110
先3(4):ロストマイン   120
先4(3):ロストマイン   120 or かえんばく 250
先5(2):ロストマイン   120
先6(1):かえんばく    250
      合計       720 or 850

【後攻】 ※後1おとぼけスピットが決まった場合

後1(6):おとぼけスピット 110
後2(5):おとぼけスピット 110
後3(4):ロストマイン   120
後4(3):ロストマイン   120 or かえんばく 250
後5(2):ロストマイン   120
後6(1):かえんばく    250
      合計       830 or 960

【後攻】 ※後1おとぼけスピットが決まらなかった場合

後2(5):おとぼけスピット 110
後3(4):ロストマイン   120
後4(3):ロストマイン   120 or かえんばく 250
後5(2):ロストマイン   120
後6(1):かえんばく    250
      合計       720 or 850

 サイド同数からのウッウ起動か、それともサイド劣勢からのウッウ起動かによって攻撃回数が1回変わってくるので、総ダメージ量も上下します。
 そしてキバナの採用を前提として、相手のサイド3枚からかえんばくを撃つかどうかで分岐が入ります。ほかにミラージュゲートやダブルターボエネルギーを採用して相手のサイド残り4枚からリザードンを動かす構築もありますが、それはひとまず棚上げしておきます。
 あくまでも机上の空論です。実際には、ロスト10枚が溜まって以降もおとぼけスピットで足りる場合には、おとぼけスピットを撃つかもしれません。また、相手サイド残り2枚と1枚の番でクララを連打することができれば、3度目のかえんばくを撃つことも理論上は可能です(終盤にはツツジを挟みたいことが多いので、現実的ではありませんが。ちなみにキバナを不採用としていた当初はクララを3枚採用して、最後の2ターンでかえんばくを連打しやすいようにしていました)。
 逆に、相手が一枚も二枚も上手でこちらがワザを撃てないターンを作られてしまうと、サイドレースはかなり苦しいものとなるでしょう。
 また、いれかえカートやかがやくアマージョ、リゲインエネルギー、ピクニックバスケット、モミ、チェレンの気くばり、崩れたスタジアム、ボタン、ウォロ、ダメージポンプ、モイストスター、果てはチャンピオンズフェスティバルまで出てきた回復手段も、相手のデッキタイプに応じて考慮しなければならないから、計算は非常に面倒くさくなります。

 こうして理論値を書き出してみると、環境に多いVSTARの280×3=840を取りきるのは絶妙に難しいラインであることがわかります。本当によくできたゲームです。
 一方、たとえばレジエレキVMAX2体(310×2=620)やキュレムVMAX2体(330×2=660)を倒して3-3で締めるのは、モミで回復されたりしない限り、さほど高いハードルではありません。ミュウVMAXに関しては可愛い顔してあっさりサイコジャンプで山に帰っていきやがるので、大人しくゲノセクトV3体(190×3=570)を目指すことになりますが。
 ネオラントVの170+キュワワーやマナフィの70=240をロストマイン2回で取れたりするのも効率が良い例です。
  なお、この表では、ルチャブルのフライングエントリーを考慮に入れていません。王道の動きとして、ベンチのキュワワー2体にフライングエントリーで10、ロストマインで60ずつのせてサイド2枚取りをできるのが非常に効率よく、かつ相手のドローソースを枯らすことができるので強力です。

 LTBの目標とは、相手の盤面を見渡して、この限られたダメージ量を効率よく相手のポケモンに当てていき、5~6回の攻撃で相手より先にサイド6枚を取りきることにあります。いかに効率よくダメカンをバラ撒くことができるか。そのためにはこちらの攻撃を途切れさせず、逆に相手には攻撃させないターンを強いるようなプレイングも必要となってきます。
 総ダメージ量の数字だけを見れば楽勝に見えるような対面でも、そんなことはありません。実際には手札干渉やクレッフィ、エンペルトVといったさまざまな障害が立ちはだかってくるので、決して容易ではない。
 しかも、このデッキにはもうひとつ、扱いの難しい厄介なポケモンがいます。それがウッウとかいうトボけたヤツの存在です。

採用理由

キュワワー 4枚

 回収ネットがなくなったことで、最近、常識を疑って3枚でもいいのでは? という気がしないでもないですが、スタートしたいポケモン、かつサイド落ちが痛すぎるので4。ある程度ロストが溜まったあとは、ロストの肥やしとしてデッキのバッファ部分を担います。

ウッウ 2枚

 ロストが4枚以上溜まっていればエネルギーなしで110ダメージを飛ばせる、このデッキにおけるぶっ壊れバグカードその1。上手く回せれば、低すぎない確率で後攻1ターン目から攻撃することができます。冷静になって考えてみるとバカなの? と思わざるを得ない性能ですね。ヤミラミがロストマインを撃つタイミングで余ったコイツをベンチに出しておけば、相手に対して嫌な圧をかけることもできる(ルチャブルやリザードン用のベンチの空きと要相談。対面によっては出しすぎは禁物)。
 ところが最近、ロストの動きを教わって研究するうちに、このポケモンは下手するとヤミラミ以上に扱いが難しいのではないかと思えてきました。お手軽110ダメージの使い勝手こそ抜群ですが、問題なのはその当て先。ダメージの対象はバトル場のみですから、変なところにダメージを与えてしまったばっかりに、のちのちロストマインで倒しきる前に回復されたりしてダメージレースで間に合わない、というような事故が起こりえます。また、相手のバトルポケモンは自分の裁量の及ばない範囲で、スタートポケモンなどの運も絡みますから、偶然性に支配されています。こちらのあなぬけのヒモが裏目に出て、相手が優先度の低いポケモンを差し出してくることもありえる。
 限られた総ダメージ量を無駄なく配分してサイド6枚につなげていくことが目標であるのに、ウッウというポケモンは不器用で、ときどき暴発をやらかします。まさにトボけたヤツです。
 この偶然性を捻じ曲げるために、たとえばミュウVMAX戦ではバトル場のミュウVにスピットを当てることを嫌って、クロススイッチャーで無理やりベンチのゲノセクトVを呼び出して当てるなんていう場面も、実際に大会で起こりました。
 とはいえ、ヤミラミにつなげていくための貴重な序盤のアタッカーであることには変わりありません。後1おとぼけスピットの成功率を高めるために当初は3枚採用していました。3枚のほうが安定すると思います。枠の都合で泣く泣くテンプレに近い2枚にしましたが、いまでも叶うなら3枚欲しいカードです。

ヤミラミ 3枚

 このデッキにおけるメインアタッカーであり、ぶっ壊れバグカードその2。中盤から終盤までクララを絡めて使い回すため、ウッウよりも比重が高く、3枚採用しています。
 ロストが10枚以上溜まってロストマインを撃てる準備が整ったら、そこからは無双モードに突入するといっても過言ではないかもしれません。ウッウはある意味で御しがたいヤツでしたが、ヤミラミの自在性と高コストパフォーマンスは、他に類を見ません。その試合で出せる見込み総ダメージ量を勘案して、ダメカンをバラ撒いていきます。相手の回復手段を予想、警戒しつつ、ときには自分のサイド残り4から敢えて相手のポケモンを倒さずに返しのツツジを回避、次の番にサイド一気取りを目指すプランも考えうる。やりたい放題の楽しいヤツです。

マナフィ 2枚

 ゲッコウガ型よりも枠の自由度が高いリザードン型ならではの強みを活かし、積極的に2枚採用したいカードです。手裏剣の飛び交う現環境において、マナフィ1枚では心許ない場面が多い。
 実際に大会の決勝でも、相手(ロストギラティナ)がベンチのゲッコウガに水エネをつけて準備していたので、手札にマナフィがある状態から、ネストボールを使って山札からマナフィをベンチに(ルチャブル→ロストマインをケアして、2体目は置かず)。次の番、相手がバトル場のヤミラミを無視し、ボスを使って手裏剣でマナフィ1体を倒してくれたので、次の番に手札のマナフィをベンチに出すと、生き延びたヤミラミでダメカンをバラ撒いてテンポを取って勝負あり。1枚採用だったら負けていたかもしれません。
 ちなみに、ひとり回しで練習していて、パルキアカイオーガ対面でマナフィ2枚をベンチに出してやると、パルキア側がだいぶ苦しいということも学びました。

かがやくリザードン 1枚

 山札確認で、とにもかくにもまずは存在を確認する1枚。
 このデッキのフィニッシャーです。ぶっ壊れバグカードその3。
 相手が高耐久のポケモンのみを場に並べ、サイドプラン2-3-3や2-2-3、総ダメージ量800以上を要求してきたときには、2回起動しないと間に合わないことが多いです。
 ただ、相手サイド残り3枚の段階での起動は、偶然性にも左右されます。今回はキバナを採用しましたが、トラッシュにエネを送る手段が逃げエネとトレッキングシューズに限られているので、あらかじめエネを捨てておかないと使えません。
 リザードンのエネ加速手段は、キバナのほかに、ミラージュゲートやマグマの滝壺、そしてダブルターボエネルギーが考えられます。

 リザードンのピン挿しエネ加速手段

【キバナ】→手貼り込み2枚
 ◯ポケギアでタッチできる可能性あり
 ◯エネ加速後の確定サーチも安定に寄与。スイッチャーを絡めやすい
 ×逃げエネかトレッキングシューズでエネをトラッシュしておく必要あり
 ×サポート権を消費する

【ミラージュゲート】→手貼り込み3枚
 ◯手貼り込みで相手サイド残り4枚からでも起動は理論上可能
 ◯バトル場のポケモンに逃げエネを手貼りして、逃げる権利を残せる
 ◯ロスト7枚から動ける
 ○サポート権を消費しない
 ○リザードン以外にも、ヤミラミの加速に使える場面がある
 ×山札にエネが残っているかどうかは運頼みなところがある
 ×1枚採用のゲートのためだけにエネルギーリサイクルを採用するのは迂遠
 ×タッチする手段は縦引きのみ

【マグマの滝壺】→手貼り込み2枚
 ◯頂への雪道を剥がす手段を兼ねる
 ◯場に残れば、かえんばくを撃った次の番のロストマインを打つタイミング(相手サイド残り2)にもクララでリザードンを回収してベンチでエネ加速しておき、対ツツジの準備をしておける
 ○サポート権を消費しない
 ○ロストの枚数に左右されない
 ×逃げエネかトレッキングシューズで「炎エネ」をトラッシュしておく必要あり
 ×加速先はベンチのみ(入れ替え必須)
 ×タッチする手段は縦引きのみ

【ダブルターボエネルギー】→手貼り2ターンでエネ3個
 ○ウッウが攻撃するターンにベンチで手貼りしておけば、次の番、相手のサイド残り4枚からでも起動可能
 ○サポート権を消費しない
 ○ロストの枚数に左右されない
 ○カビゴン(どっすんグースカ)の採用が視野に入る
 ×手貼りが2回必要。事前に呼ばれて倒されてしまう可能性も
 ×タッチする手段は縦引きのみ
 ×230ダメージとなってしまうため、撃ち漏らしに注意
 ×シンオウ神殿で無色1個ぶんになってしまう

 これらの偶然性を比較し、話し合いの結果キバナを採用するに至りましたが、先に挙げた広島のシティ優勝デッキのようにミラージュゲートをピン挿しする択も、まだ捨てきれていません。今後、研究が必要な課題だと思っています。

ルチャブル

 当初はこの1枚のためにベンチ枠・デッキ枠を割くことに懐疑的だったのですが、使い込んでみると、もはや必須のカードです。リザードンと同様にスタートするリスクがあるものの、入れ替え札が多いデッキなのでリカバリは利きやすいと思われます。
 メッソンが環境から消えたことで、HP60以下のポケモンがベンチに複数体並ぶ機会はかなり減りました。あるとすれば逃げエネ1のメリープや、特性へっちゃらがおのビッパ。カルボウやブロロンにも60の個体がありますが、70の個体もあるので、相手の採用次第です。
 一方、マナフィやキュワワーといったシステムポケモンたちは70です。これらをロストマインで一気に2枚取りするためには、どうすればよいか。
 前環境では、ガラルジグザグマ→回収ネット→ガラルジグザグマを決めるために、要求札が2枚ありました。ところがルチャブルは、これを単体で完結させてしまうのです。レベルボールを採用していない都合上、山札から手札に加える手段は縦引きかキバナの確定サーチしかありませんが、使いたい場面はロスト10枚が溜まってからなので手札はそれなりに潤沢、引けていたらラッキーという感覚でプランに組み込んでいます。

霧の水晶 4枚

 超タイプ限定のノーコストクイックボールであり、エネルギー転送。
 ズルいって。

ネストボール 4枚

 VIPパス不採用ですから、問答無用で4枚。唯一ルチャブルとの相性はよくありませんが、かといってレベルボールではリザードンやウッウにアクセスできません。不要なときに安易にロストに送ってしまうと、あとになってヤミラミやリザードンを欲しい場面で使えずに苦しむことになるので注意。VIPパス不採用型のメリットを最大限に活かすためにも、じつは大事にしたい1枚です。
 レベルボールを採用するならば、ネストボール4枚を維持したうえで追加したい。

ヒスイのヘビーボール 1枚

 ピン挿しのかがやくリザードンやルチャブルを回収できれば嬉しい1枚。相手に手の内をバラしてしまうことにはなりますが、そんなのは些末なこと。オジさんにとってはサイド落ちを目で見て把握することができるので、脳のリソース節約にも寄与します。
 ま、それでも試合の途中でサイドの内容を忘れたりするのですが。

いれかえカート 4枚

 たかが30、されど30。
 貴重な回復手段です。ロスト対面ではとくに、序盤は無駄遣いせずビーチコートなどを活用して温存し、終盤の相手のダメージ計算を狂わせるために使いたいところ。それでもロストの宿命で、このカードは手札に押し寄せてくるので、使わざるを得ないことも。追加でポケモンいれかえを採用しておく道もありますが(後述)、私は過剰と判断して、いれかえカートとあなぬけのヒモを4枚ずつ採用することにしました。

あなぬけのヒモ 4枚

 運がいいことに大会では当たりませんでしたが、天敵クレッフィやエンペルトVをバトル場からどかすために4枚入れておきたいカード。相手のベンチにポケモンが1体しかいなければ、疑似ボスの指令にもなるのは周知のとおりです。
 ただし、このカードもウッウと相まって裏目を引きがちです。
 ポケカ難しい。

クロススイッチャー 4枚

 ボスの指令を採用していない都合上、唯一のベンチ呼び出し手段です。
 キバナから確定サーチで持ってきたいカードの候補第1位。
 序盤にウッウの当て先を変えるために2枚使って、フィニッシュでかえんばくを裏のポケモンに当てるために2枚使うことを想定しています。ほかに、相手の逃げエネの重いポケモンをバトル場に縛ったうえでロストマインを撃ち、相手の要求を上げて攻撃できないターンを作ったりもします。

ポケギア3.0 3枚

 いつぞやSNS上で論争になっていたポケギア。
 いまだに叶うなら4枚入れたいと思っています。
 アクロマの実験に到達するために、たとえ運頼みだとしても欲しいカードであることには変わりありません。目的のサポートにヒットする確率が低いことは理解していますが、のちのち必要になってくるサポートをあらかじめ山札から引っこ抜いておくことは、山札の圧縮にもつながります。
 先述したように、VIPパス不採用型の当デッキにおけるバッファ部分、ロストの肥やしを担うこともあります。どこまで行っても当たるか当たらないか不確定なカードなので、ほかに必要札があるならば、さっさとロストに送ってしまって構わない。
 また、すでに必要なサポートが手札にあるときは、無理して使わずに手札に抱えておくこともポイントだと思っています。こうすることでジャッジマンやツツジで山に戻っていくので、再度引いたときに復帰の足がかりになりうる。
 山を掘るスピードが比較的速いロストにおいては、後半になればなるほどポケギアのヒット率が上がっていくことも高評価ポイントです。とりわけツツジの耐性が上がる。
 トレッキングシューズと比較して、結局は同数の3枚としました。

トレッキングシューズ 3枚

 ポケギアと同様に、アクロマ到達、デッキのバッファ部分、そして手札干渉耐性を上げるためのカードです。
 ポケギアはヒットしなければただの死に札ですが、トレッキングシューズなら必ず1枚をノーコストで山札から持ってくることができます。3枚採用している場合、デッキを実質60枚でなく57枚にすることができる。低火力を補うためのカビゴンやガラルファイヤー、ポケモンVなどの中間アタッカーを採用しておらず、動きとしてはシンプルなデッキなので、必要札が少なく、デッキの圧縮はそのまま安定に直結します。
 トレッキングシューズの枠は、ポケモンいれかえとの選択になると思われます。この枠は、いつも一緒に構築を詰めてくださっているTwitterのフォロワーさんと激論になりますし、双方の思想の違いが生じる争点です。
 ポケモンいれかえは、ロストミラーにおいて貴重ないれかえカートを節約しつつ、はなえらびの試行回数を増やすという意味で安定に貢献し、実質2ドロー(1ロスト)と同価値であることを考えると、1~2ドロー(0~1トラッシュ)のトレッキングシューズとは近しい役割のカードです。
 ただ、トレッキングシューズの利点は、ノーコストでとりあえず1ドローできることにあると思っています。ポケモンいれかえはベンチに特性を使用していないキュワワーが控えていることが前提条件なので要求が少しだけ高い一方、トレッキングシューズはどのタイミングで打つこともできるし、手札状況によっては、手札干渉に備えて打たないことも選択できる。ポケモンいれかえ→はなえらびの2ドローは、どんなに欲しい2枚でも1枚をロストに送るというリスクを孕みますが、トレッキングシューズなら1枚目の行き先がトラッシュなので、それがポケモンとエネルギーであればのちのちクララで回収することができるし、確率は低いですがキバナとのシナジーもあります。迷ったらとりあえず1枚目をトラッシュせずに手札に加えればいいので、ノーコストの1ドロー。この「ノーコスト」という部分を個人的には高く評価しています。

ロストスイーパー 1枚

 キュワワーやアクロマに頼らずに、ロストを溜められる貴重なカード。相手にビーチコートを活用されないために自ら割ってロストを2枚増やす動きも強力ですが、とくにミュウVMAXやミライドンex/レジエレキVMAXなどの対面では森の封印石の採用が見込まれるので、これを積極的に割って少しでも相手の動きを遅くするために、手札に抱えておくこともあります。もちろん、かがやくリザードンが動くターンで頂への雪道を割るために大事なカードでもあります。
 当初は複数枚採用していて使い勝手は悪くなかったのですが、良くも悪くも盤面依存のカードであり、こちら側にポケモンのどうぐの採用がないことから、1枚に落ち着きました。雪道を割る場面は1試合に1回ないし2回なので、スタジアム現物と合わせて4枚あればなんとかなると考えています。

やまびこホーン 1枚

 HPの低いポケモンをトラッシュから呼び出してイージーウィンが狙えるカード。ロストマインとの相性がよく、相手の想定外から勝ち筋を作れるのが面白い1枚です。また、相手のベンチを埋めることもできるので、あえてサイドを取りきらずに次の番のサイド複数枚取りを目指し、相手の動きを阻害することもできます。
 2枚目があっても相手の意表を突けて強いと思いますが、初動に働くカードではないので、泣く泣く1枚にしました。枠に余裕があれば入れたい気持ちはあります。

アクロマの実験 4枚

 このデッキの根幹を支えるサポートなので、減らすことは考えられません。サイド落ち確認で必ず枚数を確認します。1枚でもサイドに落ちていたら、ロストに送るカードを選ぶ場面でポケギアの重要度が上がります。

クララ 2枚

 アクロマの実験に次いで重要なサポート。終盤にロストマインやかえんばくを連打するために欠かせないカードです。試合中1回はほぼ間違いなく使うため、到達率を引き上げるために当初は3枚目を採用していました。しかし、かえんばくを2回宣言するプランにおいてリザードンの起動を1ターン早めるために、クララの3枚目は最終的にキバナに変わりました。キバナよりクララのほうがツツジ耐性が少し上がるので、いまだ悩ましいところです。

キバナ 1枚

 これまで書いてきたように、相手のサイド残り3枚のタイミングからリザードンを起動させるためのカード。ヤミラミを3枚採用しているため、終盤にヤミラミ現物が手札にありさえすればトラッシュの超エネを吸い上げて、クララと近しい価値の動きをすることができます。縦引きデッキにおける確定サーチも非常に有用で、クロススイッチャーの2枚目を持ってきてリザードンでフィニッシュ、というような使いかたもよくあります。

ツツジ 2枚

 相手のサイドが原則1枚ずつ進んでいくデッキなので、試合中2回打って劣勢からの巻き返しを期する可能性を残すために2枚としました。初動に働くカードではないため1枚に減らしても許容かもしれませんが、そうするとロストに送りづらくなってしまうため、ロストに送るぶんもケアしています。

ビーチコート 3枚

 相手にも活用されてしまうリスクはありますが、エネルギーの採用枚数が限られており、エネルギーリサイクルやエネルギー回収などが入っていない以上、このスタジアムがないとなかなか回りません。場に残っていれば複数のターンにわたって手貼り権もエネトラッシュも必要なく逃げられるのだから、かなりのアドバンテージとなる1枚です。
 自らロストスイーパーで割るぶんも加味して3枚採用。
 リザードンが起動するターンで頂への雪道を割るためにも必要となってくるため、大事にしたいカードです。

基本超エネルギー 4枚

 3枚の構築も見かけますが、逃げエネとしての消費も加味すると4枚欲しいと感じました。

基本炎エネルギー 2枚

 試合中、基本的には1枚しか使いませんが、ロストに送るぶんも加味して2枚。まだ山札を確認できていない状況のはなえらびで炎エネルギーが見えると非常に悩ましく、なるべくなら確保しておきたいと考えています。

おわりに

 CL愛知のハイレベルな戦いが話題になっているなか、拙い思考をダラダラと吐き出してしまいました。あくまでも備忘録ということで、ご容赦ください。
 2日目の配信を見ていると、1日目と打って変わってロストツールボックスが多く登場し、最上位プレイヤー同士の奥深い駆け引きが繰り広げられているので、観戦しているだけで楽しいものです。ロストは使い込めば使い込むほど観戦の楽しみも増すような、底の知れないデッキです。
 来月にはシティも控えていますので、引き続き研究を進めていきたいと思います。

蛇足

 ミニ大会の日の午後には、デッキ変更可能なフリー対戦会が行なわれました。そこで使用したデッキリストを記録として残しておきます。

オリジンパルキアVSTAR/カイオーガ
ロトムVSTAR/ミライドンex
アルセウスVSTAR/ギラティナVSTAR
雪道ミュウVMAX
パルキアVSTAR/はくばバドレックスVMAX

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