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自主大会優勝クララ入りルギアVSTARの備忘録

 11月20日(日)に行なわれた公認自主大会・第9回ばすらお杯に参加させていただき、望外にも優勝という結果を残すことができました。24人規模の自主大会では自身初優勝。
 目標は全敗回避だったので正直できすぎの感があり、ちょっとした燃え尽き症候群に苛まれていますが、なんとか次を目指すために筆を執ります。

 例によってシティに出たことすらない弱小プレイヤーの戯言であり、あくまでも自分のための備忘録です。もっと強いリストは日々たくさん紹介されています。四天王がシティで優勝したリストとか。勝ちたいならそっちを使いこなしたほうが絶対に強いと思います。これは、ヤマグチヨシユキ選手やシマダダイチ選手の最強ルギアを安定して使いこなせなかった下手くそが、とにかく自分の手に合うようにチューニングしていった過程の記録です。
 ルギアにクララ? は? バッカじゃねーの? と笑って読んでいただければ幸いです。

第9回ばすらお杯 戦績(24人)

使用:クララ型ルギアVSTAR

1.LTB 先6-2勝ち
2.レジエレキクワガノン 先6-1勝ち
3.アルセウスジュラルドン 後6-0勝ち
4.ルギアミラー 後2-0種切れ勝ち
5.ミュウVMAX 後6-2勝ち

🏆優勝😭

デッキ選択の経緯

 Tier1から逃げるな。
 ヤマグチヨシユキ選手をリスペクトしているので、その教えに背くわけにはいきませんでした。そこがすべての出発点。
 とはいえ、ルギアかミュウを使うにしても、ルギアやミュウを負かす可能性のあるデッキ=ルギアやミュウが苦手としているデッキについて知ることは、プレイングにおいて有益なはず。そう考えて環境を見渡してみました。
 現環境はとにかく打点のインフレが凄まじいですよね。ルギアが先2で220over、封印石を得たメロエッタが後1で210overを平気な顔してぶっ放してくる。
 まず(1)「これに耐えられないVデッキは軒並み駆逐されるであろう」という読みがありました。逆にいえば「一発耐えて回復や耐久手段のあるデッキ」なら、勝機があるかもしれない。併せてルギアやミュウが縦引きの構造を取っていることもあり、裏工作に代表される自在性の高い確定サーチ系のシステムも高評価でした。
 あるいは(2)「先にサイド1枚取られることがさほど痛手ではない非Vデッキ」を使うか。この二択でした。
 それが無理ならおとなしく(3)「ルギアかミュウを使う」しかありません。
 前者(1)の候補としてロストヌメルゴンやヒードランVMAXなどをわりと真面目に検討しましたが、最後まで残り続けたのは、裏工作アルセウスVSTARでした。直近のリストはこんな感じ。

手帳2枚が強すぎる

 エイチ湖は、オーロラエネルギーを標準搭載しているルギア側にもかなり有利に働いてしまうので、いまなら崩れたスタジアムなどに替えると思います。一人回しで何度も何度もぶつけてみて、チェレンでの受け回しが決まれば、いかなルギアといえども敵わない試合がありました。エネ加速し放題のルギア、ドローし放題のミュウには手札干渉があまり有効ではないように感じていて、逆に要所のセイボリーがよく刺さる。ただ、アルセウス全般の特徴として、後攻がとにかくキツいのが最大の難点でした。ましてルギアの先攻が鬼のように強いことを考えると、断念せざるを得ませんでした。
 もう一点、初手でVガードエネルギーを引けたときの勝率が良かった反面、そう都合よく2枚採用の特殊エネルギーを引けるわけではなかったことも断念した理由です。裏工作には特殊エネルギーのサーチ手段もほとんどない。後ほどルギアの構築で詳しく述べますが、今回のメインコンセプトのひとつが「ご都合に頼るな! ご都合をなくせ!」でした。裏工作は回り始めれば安定感が高いのですが、回り始める前にアルセウスが耐久できないと意味がない。叶うならVガードを4投したかったのですが、ダブルターボを初手で引けていたときのスターバースのバリューが高すぎることから、個人的にはどうしてもダブルターボ4を動かすことができませんでした。

 後者(2)非Vデッキの候補は3つ。

・他の非Vデッキを軒並み駆逐したLTB
・最近エンペルトが減って復権したソルルナ
・そして超大穴が、YouTubeのあそビバ! ちゃんねるさんで紹介されていたグラードンカイオーガ

 でした。
 LTBは、思い入れの強いロストザマゼンタ……ではなく、ミラージュゲート不採用型(キバナ2枚)のロストカビゴン。はるn選手のYouTubeで紹介されていた構築を、その原型となったTord選手の雪道多投型に寄せ、カビゴンを1枚に減らしたものです。いつか使うかもしれないのでリストは割愛。
 ソルルナはシティ入賞デッキを参考に、ディアンシーとセレナ、タフネスマントが新加入。
 グラードンカイオーガは、動画で紹介されたリストを原型にしています。

 ポケカを始めたての今年1月ごろ、スタートデッキ100で引いた初めての相棒ブースターVMAXの同系統として、グラードンカイオーガをずっと研究していた時期がありました。思い入れのあるデッキです。
 しかし奇しくも同時期のスターバース収録のマナフィがキツすぎて、バトルリージョンが出たあたりで解体してしまいました。まさかその後、カイの登場によって大幅に強化されていたとは。この動画を見て衝撃を受けた私は実際に組んで回してみて、二度目の衝撃を喰らいました。
 このデッキ、グラードンカイオーガにしては恐ろしいほど回る、事故率が低い……!
 手が伸びずにマナフィを置けなかったルギア相手なら後2アクアストームでほぼアーケオス2体を同時に持っていけるので、イージーWINが狙えます。
 とはいえ「ルギア側がマナフィを置けなかったら」というのは、それこそご都合です。ルギアデッキにはマナフィがもはや標準搭載されているので、こちらのカイオーガを見た瞬間に、相手はなにがなんでもマナフィを出してくるはず。マナフィがサイド落ちしていることを願うほかありません。山札60枚のうちサイドは6枚なので、サイド落ちする確率は単純計算して10%(マナフィがピン採用の場合)。毎試合毎試合、そんな確率に賭けるわけにもいきませんでした。
 ということで、今回は素直に(3)ルギアかミュウを使うことにしました。
 大会当日は午前中にミニばすらお杯、午後にばすらお杯があったので、午前のほうでミュウVMAXを使いました。

英雄のメダルと最後まで悩んでパラソルを採用

デッキレシピ

 当日に使用したルギアのリストはこちら。

ひときわかがやくリザードンと基本炎エネ!

デッキコード:My3Mpy-YkZQDM-yM3XyM

 大会当日朝まで悩みに悩んで決めた、自分的に納得の60枚です。ここまで自分の構築に納得できたのも初めてだった気がします。デッキへの絶大なる信頼が当日のプレイングを後押ししてくれました。
 一見して、ルギアデッキの定石からはかけ離れたカードが2枚入っているのがお判りかと思います。クララ基本炎エネルギーです。他人と違ったことをしたいという生来の天邪鬼に端を発した思いつきだったのですが、これには自分なりの確固とした理由があります。

 今回のデッキ構築においては、ひとつの大きなテーマがありました。それは「課題解決型ルギアにする」です。

ルギアデッキの課題とはなにか?

 四天王決定戦でヤマグチヨシユキ選手やイトウシンタロウ選手が使っていたルギア、およびシティリーグで優勝していたヤマグチヨシユキ選手やシマダダイチ選手のルギアを実際に組んで回してみて、思ったことがひとつあります。

 安定しねえぇぇぇぇーー!!

 いや、実際に上手い人が順当に勝ち上がっているのだから、その構築で間違いはないはずなんです。上手い人ならリソース管理、リスク管理、確率計算をしっかりできて、事故らずに最大のバリューを出せている。
 しかし悲しいかな凡百のサラリーマンプレイヤーにとっては、複雑多様な計算と読みを要する構築を極められる自信がありませんでした。エネルギーは16枚あってもつねにカツカツだし、本当にギリギリのところで最大バリューを出すために綱渡りしている。それが強者のルギアに触った印象でした。
 では、素人プレイヤーが感じたルギアデッキの難しさ=課題とはなにか? まずこれを整理してみました。

(1)2手目までにやることが多い

 およそすべてのデッキにおいて、2手目までの動きは重要です。アルセウスならトリニティノヴァを宣言して後続にエネ加速を行なう、裏工作なら展開してジメレオンに進化する、ロストならウッウで攻撃するか、ミラージュゲートを起動するか。
 そのなかでもルギアは、目指すべきゴールが明白な反面、要求がかなり高いものとなっています。
 すなわち、

・2手目までにアーケオスをトラッシュに送る
・2手目にルギアVをVSTARに進化させる
・後攻ならば先2でルギアVが簡単に飛ばされてしまう環境なので、後1にルギアを2体立てなければいけない
・先攻でも後1封印石メロディアスエコーでルギアVを飛ばされてしまう環境なので、ミュウ対面ならルギアを2体立てておきたい
・どちらにせよパルキア対面、ギラティナ対面ではルギアが1体だと間に合わないケースがあるので(サイド4取られるリスクを織り込んででも)やっぱり2体立てておきたい
・ベンチ狙撃が予想されるデッキと当たったら、早めにマナフィを置いておきたい
・初手雪道を張ってくる相手に対しては、バケッチャにもタッチできないといけない
・上記を満たすためにクイボ4/ハイボ4/おこう4をフル活用するため、ハイスピードで細くなる手札を止めずに伸ばさなければいけない

(C)船津紳平先生。得がたい友人です。

(2)スタートして嬉しいポケモンがいない

 ルギアデッキの難所のひとつが、どのポケモンでスタートしてもあんまり嬉しくないことです。それぞれに一長一短があります。
 ルギアスタートは先攻なら嬉しいですがメロディアスエコーの恐怖からは逃れられませんし、後攻の場合は先2ストームダイブで吹っ飛ばされるおそれが大いにあり、それだけでキツい。
 非Vスタートは、最初に相手に取られるサイドが1枚で済むのは嬉しいポイントですが、反面、倒されたポケモンの機能は基本的にその試合ではもう発動できないことになります。マナフィならベンチバリア、バケッチャならスタジアム破壊、AイベルタルやAライコウなら貴重かつ強力な攻撃手段が、もう使えなくなることになる。
 ネオラントV・クロバットVも同様で、ネオラントは先2アクアリターンで非Vを壁にできるのが理想ムーブではありますが、そう都合よく回るとも限らない。おまけに簡単にサイド2枚を献上してしまうので、できれば場に出したくないポケモンとなります。
 そして最も悲惨なのが、かがやくリザードンスタート。逃げエネ3、イベルタルやクロバットVとは異なりハイド悪には非対応、そして序盤はエネが重すぎる+280を出すにはベルト要求ということで、序盤にかがやきづらいポケモンです。これを倒されてしまうと、試合後半に1エネ250overを飛ばせる超高コスパアタッカーを失ってしまうということで、相当な痛手となる。
 残るアタッカーでやりくりして戦っていくしかない、といわれればそれまでなのですが、ルギアのこの「一方通行感」というか「使い捨て感」は当初からずっと気に懸かっていました。そのポケモン、本当に使い捨てでいいの? と。

(3)博士で走るコスト問題

 2手目までの高い要求を満たすため、このデッキは基本的に博士の研究で走っていく必要があります(バーネット博士で楽ができる手札であれば別)。
 しかし、博士で走る過程で貴重なエネルギーやサポートを切らざるをえなくなります。
 たとえばエネルギーを16枚入れていた場合、後手1の手札6+1枚でエネルギーを1枚以上引ける確率は約91%
(たねポケモンが必ず1枚場に出るので、59枚のデッキから7枚引く確率。小数点以下四捨五入。以下すべて同様。計算の苦手な私立文系出身なので、間違っていたらごめんなさい)
 2枚以上「引いてしまう」確率は約62%。1枚は手貼りできるとしても、残りは博士でトラッシュせざるを得なくなります。
 3枚以上「引いてしまう」確率となるとだいぶ減って約28%。まぁそれくらいなら許容とする向きもあるかもしれません。野球選手がヒットを打つような確率です。しかし、問題はエネの種類。とくにAイベルタルなどを動かす場合には色つきのエネの管理がとても大切で、たとえばオーロラエネルギーを2枚巻き込まざるを得ない日には、それはもう血の涙を流しながらの大博打となってしまいます。そのストレスがけっこう大きく感じてしまいました。
 ともだちてちょうが入るほど器用なデッキではないので、当然サポートは捨てたらそれっきり。
 手札に多く来すぎたポケモンも同様です。アーケオス2体ぶん+もしかしたらネオラントクロバット用のベンチをあらかじめ空けておかなければいけない都合上、博士で捨てざるを得ない局面があります。捨てたらそれっきり。前項と関連して、やはり「一方通行感」が拭えませんでした。

(4)ベルトやジャマー引けるのか問題

 とうしのいかずちゼラオラやアメイジングライコウが正面のルギアの弱点を突いて倒すのには、こだわりベルトが必要となります。かがやくリザードンが280ダメージを出すためにもベルトは必須。レジギガスがキュレムVMAXを倒すのにも、パワフル無色2枚orベルトがマスト。パワフル無色はルギアに3枚つけることが多いため、現実的にはツイン+ツイン+キャプチャー+ベルトのような運用になるかと思われます。
 ですが、縦引きデッキでそうそう都合よくベルトが引けているとも限りません。四天王決定戦で活躍したルギアにベルトが3枚採用されていたことから、今後はベルト3枚がマストになってくるかな? と思いきや、最近ではベルト2・ロストスイーパー1に分ける構築が増えてきた印象で、ご都合感が増しました。
 Aイベルタルにおけるツールジャマーも同様です。ジュラルドンVMAXなどが差すビッグパラソルを無効化するためにぜひともジャマーは欲しいところですが、そう都合よく引けているかは怪しいもの。四天王決定戦以前はベルト2・ジャマー2枚採用の構築をよく見た覚えがありますが、それもどっちつかずで中途半端な印象でした。

(5)アクアリターンの壁役問題

 ネオラントVのアクアリターンはエネルギーを環流させ、かつ自身も山札に戻るので再びサポートのサーチカードになるという最強のワザです。アクアリターン→バケッチャやマナフィを壁にできれば、実質バケッチャやマナフィが0エネで120ダメージを飛ばしたのと同義。おとぼけスピットより10ダメージ多く、しかも弱点を計算する(=Kリザードンを倒せる)。ルギアミラーでよく見るAイベルタルやAライコウも倒すことができます。
 しかし、私はずいぶん最近までネオラントVの採用に懐疑的でした。適当な非Vを壁にして差し出すといえば聞こえがいいけれど、そう都合よく差し出せる非Vがいるのか? と疑問に思えてならなかったのです。用済みとなったバケッチャを差し出せるなら理想的でしょう。しかし、バケッチャを出すのは相手がこちらにとって嫌なスタジアム(シンオウ神殿や頂への雪道など)を出した場合に限られ、相手依存です。さほど優先度の低いトレーニングコートやポケストップなどは、ストームダイブで割れれば割っておきたい程度。わざわざアクアリターンの壁にするためだけに、特性を使わずにバケッチャを場に出すのはナンセンスです。バケッチャが倒されたあとに神殿を張られて詰んだりしたら目も当てられない。もしものときの切り札として、バケッチャはなるべく温存したいところです。
 マナフィを壁にするにしても、唯一のベンチバリア役を失ってしまうので、のちほどアメイジングシュートやらアクアストームやらで痛い目を見ないとも限りません。
 ただでさえ枠がカツカツなルギアデッキにおいて、壁にして損がないような適当な非Vなど、そうそう多くは積めないはずです。

(6)スタジアム破壊手段問題

 最近よく見るルギアのリストでは、相手が張ったスタジアムを剥がす手段は、スタジアム現物が1〜2枚、ロストスイーパーが1枚、バケッチャが1枚の計3〜4枚。そのうち別のカードからサーチできるのは、フウロやさぎょういん、アスナでも入れていない限り、ボールから引っ張ってこられるバケッチャのみです。
 となると、盤面からルギアが消えたあとにスタジアムを割るには、バケッチャをサーチするか、ピン刺しのスイーパーorスタジアム現物を自引きしなければならないわけです。相手だってルギアが盤面から消えたあとにスタジアムを張ったほうが場持ちがいいのはわかっているでしょうから、ゲーム中終盤になればなるほどルギア側の要求が上がります。
 最も警戒しなければならないのは、自在性の高い裏工作デッキなどから飛んでくる「神殿ツツジ」でしょう。かろうじてアーケオスなら神殿下でも3エネで攻撃することはできますが、打点が心許ない。カビゴンやレジギガスを採用した無色ルギアならまだマシですが、イベルタルやリザードンを運用する色つきエネ入りのルギアでは、なんらかの対策を準備せねばなりません。

(7)手札から出すエネの合理性

 最近ときどき「スピード雷エネ1枚+雷アタッカーはライコウ1枚」といった構築を見かけます。これこそ究極のご都合だと思います。たしかにライコウが場にいるときに雷エネを手貼りできたらドローもできて、バリューがかなり大きい。しかし、ピン刺しの2枚が揃う場面は限定的です。もちろん色つきのエネが増えることで雷アタッカーの運用それ自体がしやすくなることはたしかですが、それよりはプライマルターボで貼られたあとに効果が発動するエネルギー、たとえばハイド悪やヒート炎のほうを優先して増やしたいと考えてしまいます。Vガード+ヒート炎で実質210耐久となるKリザードンなんて、平気な顔してトリニティノヴァを1発耐えたりします。ま、次の番かえんばく使えないんですけど。
 そして最も肝心なのが、キャプチャーエネルギーの枚数です。キャプチャーエネルギーが最も効力を発揮するのは初手から2手目ですが、最近の色つきルギアのテンプレートでは、キャプチャーエネルギーの平均採用枚数はおそらく2枚。
 2枚採用の場合、手札6+1枚で1枚以上引ける確率は単純計算して約23%だから、4回に1回弱。これを十分と見るか、心許ないと見るか。引けたらラッキーくらいの感覚で本当にいいのか? という疑問がずっとありました。

これらの課題を解決するには?

(1)2手目までにやることが多い
(2)スタートして嬉しいポケモンがいない
(3)博士で走るコスト問題
(4)ベルトやジャマー引けるのか問題
(5)アクアリターンの壁役問題
(6)スタジアム破壊手段問題
(7)手札から出すエネの合理性

 以上、7つの課題が出揃いました。
 これらの性質を見渡してみたところ、2つの問題に大別できることに考え至りました。
 すなわち、

(1)(2):初動の不安定感
(3)〜(7):中終盤の立ち回り/ご都合感

 です。
 初動に関しては、とにかくできる限り2手目アッセンブルスター宣言のために安定性を高め、先攻後攻ともにあらゆるルートを用意し、かつ最短ルートを把握すること。そして、どのポケモンでスタートしてもそれなりにストレスなく、破綻なくゲームプランを立てていけること。
 それを乗り越えたら中終盤。博士のコストに関しては「複数枚引かずにおけたらいいな」と淡い期待を寄せ、一定の割り切りが必要となってきます。それでも精神的に少しでもストレスを緩和し、安定する材料があるならばあったほうがいい。
 ベルト・ジャマーなどのグッズにしても、アクアリターンで押しつけるサイド1ポケモンにしても、スタジアムの破壊手段にしても、手札から出して効果を発揮する特殊エネにしても、すべては「引けたらいいな」という都合のよい望みの下にデッキに入れられています。運に支配されたカードゲームにおいて、いちばん強い動き、理想の動きというのは、どこまで行ってもプレイヤーのご都合です。上振れ下振れは絶対にある。「引けるか引けないか」は、およそすべての縦引きデッキに必ずついて回る問題でしょう。
 それでも、あの安定感の高いミュウVMAXデッキにさえシマボシがよく入っているように、完全なる一方通行、使い捨てでは、いつかどこかで息切れしてしまいかねません。リソースの使い回し手段は、ないよりはあったほうがいい。ただでさえ枠がカツカツなルギアデッキにおいて、リソースの回復手段というのはすなわち「デッキリストをゲーム中に再構築できる手段」です。裏工作デッキにおけるともだちてちょうやふつうのつりざおが強いのは、中終盤にプレイヤーが状況に応じて山札を再構築していけるから。60枚を使い捨てて走りきるルギアと、リソースの回復により実質61〜63枚になるルギアなら、私は後者を選びたいと思います。
 そのうえで、縦引きだけでなく確定サーチ手段を増やすことでデッキの安定感を底上げし、神殿ツツジなどの苦手な盤面からも切り返せるようにしたい。
「初動の安定」
「初動のストレス緩和」
「中終盤の使い捨て感の改善」
「確定サーチ手段を増強し、苦況をひっくり返す」
 これらの課題をどうやって克服するか?
 そう考えて辿り着いた個人的な答えが、

・ネオラント2枚
・バーネット博士1枚
・チェレンの気くばり1枚
・クララ1枚
・キャプチャーエネルギー4枚
・基本炎エネルギー1枚

 の6種10枚のカードたちでした。
 この10枚に絶大なる信頼を置けたからこそ、本番では安定しつつも強気のプレイングができた。愛してやまない10枚です。
 どうしても一般的なテンプレのルギアが安定しない! という方は、ものは試しで1回でいいから使ってみてください。あくまでも私自身の手に合うようにチューニングした産物ではありますが、練習不足のサラリーマンプレイヤーが、リソース管理の難しさ煩雑さをカードの力で無理やり解決しにいこうとした「ものぐさデッキ」です。全体を通じて「ラクして安定させたい」という意図があります。
 以下、採用カードを解説していきます。

採用理由

ルギアV  4枚/ルギアVSTAR  3枚

 先攻の場合ルギアは1体しか使わないのが理想ですが、後攻では1手目に2体立てておくのが絶対条件だと考えています。さらに、パルキアやギラティナ、ミュウ相手だと、先攻後攻関係なく2体目を立てにいく必要があります。彼らTier1・Tier2のデッキはダメージラインが高く非Vも強くて安定しているので、ルギア1体では間に合わないことも多い。ミュウの場合は後1メロディアスエコー(犯罪)のケアもあるので大変です。
 そもそも2手目にルギアVSTARが場に立たないことにはアッセンブルスターも宣言できないので、少しでも引ける可能性を上げるために4-3採用としました。最近はルギアを減らすリストも見られますが、初動の安定に重きを置いているので、ここを減らすことはありません。バーネットを採用している関係上、ルギアVSTAR現物の4枚目が欲しいくらい。
 1ターン目、場のルギアVにキャプチャーエネルギーをつけてルギア2体目を立てておき、手札にはVSTAR現物orVSTARになれるしんかのおこうと、バーネット博士orネオラントorネオラントにつながるボールがあると、それだけで次のターンのアッセンブルスターがほぼ確定するので楽できます。

アーケオス 4

 ルギアを組み始めたころは3枚で回していたのですが、いまは4枚投入が絶対に譲れないラインになっています。
 四天王決定戦でアーケオスが2枚サイド落ちしていて、山に1枚しかないことにイトウシンタロウ選手が頭を抱えていたシーンは記憶に新しいところ。
 3枚採用のカードが2枚以上サイド落ちする確率は約2.4%
 4枚採用のカードが3枚以上サイド落ちする確率は0.22%
 この確率を許容できるかどうかで変わってくるかと思います。
 ちなみに私は4枚採用のゲノセクトVが3枚サイド落ちした経験を自主大会初戦に2度も経験しています。天文学的な確率でも起きうることは起きうる。
 サイド落ちケアだけでなく、アッセンブルスター後もサーチ可能な不要なコストとして活用できるところがアーケオス4枚採用の特徴のひとつです。ボールやオーロラエネルギーを最大枚数積んでいる関係上、コストとして捨てるカードも大量に必要になってくる。ゲーム中終盤、余ったしんかのおこうでアーケオスを持ってきて、そのアーケオスをコストにハイパーボールを打って不要なルギアVSTARを持ってきて、そのルギアVSTARをコストにクイックボールを使って「持ってきません」と宣言するとき、カードゲームをやっていると感じます。プライマルターボでエネルギーもごっそり抜いていくので、マリィやツツジに強い山札ができていくのが面白いところです。

アメイジングイベルタル 1枚

 サブアタッカーその1。
 言わずもがな、強制気絶の反則ワザを持った最強のポケモンです。
 試合中、ワザを使うのは基本的に1体だけですが、不運のサイド落ちや、バトル場スタートして倒されてしまった場合の試合展開に影響があったので、一時期は2枚目を入れていました。前者のサイド落ち(10%)ばかりは防ぎようがありませんが、後者の問題を解決したのがクララだったというわけです。
 叶うなら2枚目を入れたい。

かがやくリザードン 1枚

 サブアタッカーその2。
 言わずもがな、終盤は炎1エネで280ダメージを叩き出す超高コスパアタッカーです。
 ところが、序盤の運用において難点があるのは前述したとおり。トラッシュに行ってしまったが最後、肝心の終盤に起動できないことに多大なストレスがありました。
 これを解決してくれたのがクララでした。
 このデッキにおいて、専任のサブアタッカーはイベルタルとリザードンの2枚しかありません(ネオラントVはシステム兼サブアタッカー)。ずいぶんな博打をやっていると思います。本来ならここに加えてアメイジングライコウやらゼラオラ、サンダー、レジギガス、ムーランドV、ドラピオンVなどが採用されるのが定石となっているようです。相手に応じてバレット的に使い分けられるのは、たしかに強い。しかし、いろいろ試してみて、あまりにキメラ化していくと再現性が下がってしまうのが不満で不満でなりませんでした。たとえば逃げエネ3のムーランドVでスタートすることになり、あっさり倒されてサイド2枚を献上する置き物と化してしまったら元も子もありません。その点、専任サブアタッカーが2体であればゲームプランがある程度は固まってくるので、覚えやすいし使いやすいという利点がありました。山札確認のストレス軽減にもなります。
 最大の懸念点はイベルタルやリザードンがサイド落ちすることですが、ルギアVSTARのパワーをもってすれば早い段階で2〜4枚はサイドを引けるだろうとの楽観のもと、そこは割り切っています。
 実際、最近のシティ入賞リストを見ると、ルギアのサブアタッカーはイベルタル+リザードン+ムーランドの3体しかいないケースも多い。ムーランドはおもに非VのLTBなどを見た採用と思われるので、V同士の対戦ならイベルタルとリザードンだけでも十分に間に合ってしまうのです。ルギアミラーの後攻だけは別問題として、ルギア自身のパワーが非常に高いので、相手より早く280ダメージを出すことができれば後攻からでも捲ることができる。
 ちなみに、先述の自主大会でも使ったワザはストームダイブとアクアリターンとアメイジングデスだけでした。サイドを3枚以上取られた試合がなかったので、かえんばくを撃つ機会すらなかった。初動の安定に懸けたルギアは(体感10回に1回くらいは必ず起こす手札事故さえ起こさなければ)あまりにも凶悪だなぁと、使っている自分自身も怖くなるほどでした。

ネオラントV  2枚

 世間の常識はネオラントV1枚・クロバットV1枚となっています。
 2手目アッセンブルスターを目指して手札が急速に細くなっていくルギアデッキにおいて、ボールからサーチできて、サポート権を使わずに手札を補充できるクロバットVはかなり優秀です。ルギアデッキを組み始めたころは私も愛用していて、評価はクロバット>ネオラントでした。1ターンのうちにクロバットの最大6ドロー+博士の研究の7ドローで合計13枚を見ることができれば、ほぼ理論上の最大値まで材料を集められます。それで解決できないなら運が悪かったと諦めるほかない。負け筋になりやすいポケモンですが、クロバットVMAXに進化してミュウVMAX対策のアタッカーになるのも面白いですね。
 しかし、初動の安定性を底上げしていくにあたって、クロバットVのドローはあくまで縦引きなので、事前にルートを策定しづらいのが難点でした。引いてから考える、では間に合わない局面も多い。
 その点、ネオラントVの特性は確定サーチです。好きなサポートを持ってこられる。そして、このデッキには博士の研究やマリィといった縦引きのドローソースだけでなく、展開補助のサポートを複数採用しています。すなわち、アーケオスの2枚トラッシュを1枚で叶えてくれるバーネット博士、手負いのルギアVSTARを回収してサイドレースをズラし、入れ替え札、マヒ対策としても機能するチェレンの気くばり、そして中終盤のリソース回復によりデッキを再構築するクララ。この3枚を好きなタイミングでサーチして使いこなすために、ネオラントVが非常に有用でした。
 とりわけ初動の安定を高めるバーネット博士を有効に使うために、ネオラントVのサイド落ちが非常にネックでした。1枚採用のカードがサイド落ちする確率は、単純に10%。10回に1回の確率でバーネット博士がサイド落ちしてしまったときには、これはもう仕方がありません。諦めて、バーネット博士を使わずにアッセンブルスターを目指すことになります。しかし、ネオラントVが1枚採用だった場合、ネオラントがサイド落ちする確率も同様に10%。つまり、バーネット博士かネオラントVのどちらか一方または両方がサイドに落ちる確率は、19%にまで跳ね上がる。5回に1回程度。これを許容とするかどうか? ネオラントVを2枚採用するならば、ネオラント自身が2枚ともサイド落ちする確率が0.85%なので、ほぼ無視していいところまで下がります。いわゆる「サイド落ちケア」です。
 クロバットは進化しないとアタッカーとして十分には機能しづらい反面、ネオラントならアクアリターンで山に帰ることができます。しかもこのデッキにおいては、崩れたスタジアムでトラッシュしたあとにクララで回収しておけば、手札を流されない限りは次のターンのサポートにつなげることができます。ルギアデッキのベンチ呼び出し手段の定石はセレナ2、ボス2ですが、この確定サーチ手段の増強によって、ボスを1枚で回す覚悟が決まりました。

マナフィ 1枚

 アメイジングライコウの採用は減ってきているようですが、それでも多くの対面で必須となってくるベンチバリア役。アクアリターン後の壁役になったり、ロストマインで倒されたりしたら通常はそれで終わりですが、クララで戻すことによって相手のプランを崩す意図があります。ロストマインの恰好の餌食であることには変わりありませんが、ロストカイオーガの存在が怖かったので、2枚欲しかったところをやはりクララで補う算段です。

バケッチャ 1枚

 貴重なスタジアム破壊手段。
 逃げるエネルギーが2であることもあって、かがやくリザードンの次にスタートしたくないポケモンだと思っています。
 ただ、クララがあることによって、たとえトラッシュに行ってもゲーム中に最低1回は特性かぼちゃのあなを宣言できる可能性を残します。とくに神殿ツツジからの復帰プランとして、トラッシュにいても嬉しいポケモンとなります。シンオウ神殿が張られているあいだは少なくともネオラントVの特性が使えるので、ネオラントでクララを持ってきてバケッチャを回収して神殿を割れます。その番は、前に出したアーケオスを1エネつけて逃がしてネオラントでアクアリターン、バケッチャを前に差し出すのが理想。同時にクララで基本炎エネルギーとリザードンをサルベージできれば完璧です。アクアリターン120+かえんばく250で3体目のVを取る算段です。

クイックボール 4枚
ハイパーボール 4枚
しんかのおこう 4枚

 説明不要。
 2手目アッセンブルスターのために全力!

こだわりベルト 3枚

 このデッキを構築するにあたって最後に滑り込んだ1枚が、こだわりベルトの3枚目でした。
 最近のリストだと、この枠はベルト2・スイーパー1とする配分が多いように見受けられます。シンオウ神殿を割る手段となったり、アメイジングデスを通すためにビッグパラソルを壊す手段となったり、ロストスイーパーの用途は多岐に渡ります。
 じつは私も自主大会当日朝まではベルト2・スイーパー1にしていました。
 しかし、前述したように、縦引きデッキのピン採用というのは多分にご都合なんですよね。引ければ嬉しいけれど引けなければ意味がない。同時にベルトが2枚だけだと欲しいときに引ける確率が下がり、どっちつかずの中途半端になってしまいます。
 強いカードは4枚。
 デッキ構築の基本です。本当はベルトも4枚入れたい。しかし枠の都合で3枚となりました。
 スイーパーを抜くことで、スタジアムを割る手段が1枚減ってしまいます。しかし、この問題をも解決してくれるのがクララでした。前述したようにクララでバケッチャを持ってくることができるので、上手くすればバケッチャが2回スタジアムを割れるのです。バケッチャで1回、ストームダイブで1〜2回、崩れたスタジアムで負け筋をトラッシュしつつ1回、クララでバケッチャ持ってきて1回。これだけあれば最低限、スタジアムの張り合いに一方的に押し負けたりはしないかと思います。しかもバケッチャとクララはそれぞれ他のカードからサーチが可能なぶん、ロストスイーパーのピン採用よりも欲しいときにアクセスしやすく、よほど現実的です。縦引きデッキにおけるサーチは強い。
 スイーパーを不採用としているため、ジュラルドンにパラソルを装備されたらもうごめんなさいするしかありません。とはいえ、ジュラルドンにパラソルは入っても2枚じゃないかと思います。カードゲームですもの、ご都合なのはお互い様。それよりは自分のしたい動きを通すために、ベルトを3枚積んだほうがいいだろうと考え至りました。実際、大会ではベルトが大いに活躍してくれました。

博士の研究 3枚

 初動の展開に重きを置いたデッキなので、入れられるなら4枚入れたい最強サポートです。
 しかし、中終盤からはあまり使わないので3枚。とにかく貴重なリソースを巻き込んで捨てたくないので、使いどころには気を遣います。かといってマリィの5枚ドローは本当に信用がならない。1〜2ターン目にマリィとどちらを打とうか迷ったら、即断即決で博士の研究を打ったほうが絶対にいいと思っています。
 大会初戦で都合よく回ってくれたんですが、先2博士の研究でアーケオスと基本炎エネルギーを捨ててみせたときは気持ちよかったです。相手が基本エネを見て怪訝な顔をするのを含めて「ドヤァ!」となりました。ピン採用の炎エネが初動から手札に来る確率は低く、それこそご都合なのですが、それでも場合によっては少しのストレス緩和に役立ちます。

マリィ 2枚

 おおかたのテンプレ通りの2枚。
 ロストや裏工作相手に手札干渉してバグってもらいつつ、手札に来すぎたエネを山札に戻す手段にもなります。
 ただし前述したように、アッセンブルスターを目指すにあたっては、本当にマリィの5ドローは信用なりません。無理やりネオラントから博士を持ってきて、マリィごと捨てる選択肢を取ることも十分ありうる。
 前のロスト・裏工作環境はマリィがブッ刺さりやすいイメージがありました。が、ルギア環境=アーケオス環境だと、手札を流したところで平気で4エネ以上加速してくるので(自分で使っててアレですけどズルい)、あまりマリィが刺さらない印象があります。ミュウVMAX対面と同じで、むしろご褒美になりかねない。積極的に狙うとしたら、ミラーで相手が後手1バーネットを打ってきたときくらいでしょうか。相手の手札に次の番ルギアVSTARにつながる札+博士の研究などドローソースがあるということなので、積極的に流したいところです。

チェレンの気くばり

 パラダイムトリガー発売以前から、なんでみんな入れないんですか? と思っていたカード。最近シマダダイチ選手のシティ優勝構築などの影響で入るようになってきました。その前にヤマグチヨシユキ選手がゼクロムチャーレム型で優勝していたこともあって、麻痺対策・入れ替え手段として1枚は欲しい枠です。パルキア裏工作にもフリーザーが標準搭載されるようになりました。
 チェレンの気くばりがあれば、相手のサイドプランをズラすことができます。たとえば苦手な非Vデッキだと、カビゴンのどっすんグースカ180ダメージあたりが序中盤に飛んでくるダメージの基準ライン。火力がインフレしてくる前に1回チェレンを挟んで、180ダメージが乗ったサイド2のルギアを回収したいところです。

クララ

 何度も書いてきたように、このデッキのキーカードです。
 用途は多岐に渡ります。

・倒されるor博士で巻き込んだアタッカーの使い回し
・倒されるor博士で巻き込んだシステムポケモンの特性の使い回し/アクアリターンの壁として使い回し
・博士で巻き込んだorボールのコストにしたor逃げエネにした基本炎エネルギーの使い回し

 初動の「使い捨て」「一方通行」の強い動きで犠牲となってしまったリソースを回復することで、失われたはずのゲームプランの復活を企図しています。
 枠としては、ムーランドなどのアタッカー3枚目をクララに変えた形となっています。
 ボール→ネオラントからクララをサーチして、かがやくリザードン+基本炎エネルギーさえ手札に戻せれば、たとえ神殿ツツジを打たれた返しであっても250ダメージが出せるようになります。LTBでよくやられるかえんばく連打のあの動きがズルすぎるので、じゃあルギアでも再現してやればいいじゃん! と考えた次第。ルギアが盤面から消えたあとは実質非Vバレットになるのだから、非Vバレットと同じ動きをしてもいいのでは? と。
 大会本番ではサイドを3枚以上取られる試合がなかったのでクララを使う機会がなかったのですが、後ろにクララが控えていることで受け広くゲームプランを組み立てられたことが、直線的で強気のプレイングにもつながったと思います。
 イベルタルを回収する場合は少し特殊です。おもにVMAX対面、こちらのベンチにイベルタルが控えていると、ルギアを無視してでもボスで呼ばれて倒されがちです。その返しにクララでイベルタルを戻して再びベンチに控えさせつつ、ルギアに4枚目のパワフル無色とベルトを加えて330でVMAX撃破を狙ったり、アメイジングデスを飛ばしたりします。いわばイベルタルがサイド1のデコイになってくれるわけですね。サイド1を取られるあいだにサイド3を取る準備ができるなら、サポート権1回など安いものです。
 マナフィの使い回しは前述のとおり。おもにロストカイオーガを警戒しています。
 バケッチャも使い回せるので、クララは実質ロストスイーパー。
 基本炎エネルギーは戻せれば戻す程度ですが、戻せれば6枚目の色つきエネルギーとなります。

バーネット博士

 2手目アッセンブルスターを目指すにあたって最強の展開補助カードです。手札の揃い具合にもよりますが、運がよければこのカードでかなり楽ができます。初手に必要な数のルギアVを場に置けていて、かつ手札にルギアVSTAR現物orしんかのおこうorハイパーボールがある場合、次の番にバーネットさえ打てればアッセンブルスターが完成です。前述したように、ネオラント2枚採用との組み合わせで安定感が増しました。枠としてはボスの2枚目をバーネットに変えた感じです。
 ただし気をつけなければいけないのは、バーネット後に手札が細くなり、ドローが続かなくなってしまうこと。確実にその番にサイドを引ける目算があったり、次の番に使えるドローソースがすでに手札にあったりする場合にバーネットを使うのがベストです。
 とはいえ、事故るときは事故るのがルギアデッキ。どうしても手札が詰まって伸びない後手1にとりあえずバーネットを打つだけ打って、2手目はトップお祈り……みたいな強引な展開もあり得なくはないと思います。そんなギャンブルができるのもバーネットあればこそ。ボス2枚採用では、そうは行きません。

セレナ 2枚

 できれば3枚欲しい。しかし、ボスの指令との兼ね合いで2枚。
 アーケオスを落としつつドローができたり、裏のVを呼べたりと用途の広いカードです。ところが、セレナのドローはマリィと同じく、過度な信用は禁物。次の番に打てるサポートの見込みとリソース管理の状況にもよりますが、博士と迷ったら博士を優先したいところです。

ボスの指令 1枚

 無色エネをたくさん採用していて、なんだかんだ火力220ルギアと280ルギアの2体を立てることも多いので、そこでサイドを4枚は取りたい算段。裏の非Vを呼ぶ機会は1回くらいかと考え、ボスの1枠をバーネットに割きました。ネオラント2枚目によってボスをサーチしやすくなったことも、1枚にできた要因です。

崩れたスタジアム

 ベンチを埋めてから手負いのルギアやネオラントをトラッシュして、相手のサイドプランをズラします。キャプチャーエネルギー4枚採用との相性がいいのも地味に気に入っています。スタジアムで負け筋を消すとき、最高にポケモンカードをやってるなという感じがする。
 大会ではアルジュラ戦でキョダイフンサイ220を受けたルギアを逃がしてトラッシュしつつ、アメイジングイベルタルを押しつけて2-3-3と取れたのが明確な勝ち筋となりました。叶うならスタジアムも2枚欲しいところですが、やはりクララがあるから最低限の1枚。クララにいろいろ負わせすぎですね……。

パワフル無色エネルギー 4枚

 3枚にする理由がない。
 いわずもがなの4枚。

キャプチャーエネルギー 4枚

 クララに次ぐ、このデッキのキーカードその2です。
 なにはともあれポケモンカードは、ポケモンを展開できなければ始まりません。2手目アッセンブルスターへの高い要求値を満たしつつ、かつ盤面に有効なポケモンを並べていくのは大変です。やることが多い。
 その展開をノーコストで簡単に補助してくれるのがキャプチャーエネルギーです。
 世のテンプレでは2枚採用が多いのですが、私はどうしてもここの4枚投入だけは譲れませんでした。上手い人なら2枚で回せるのかもしれませんが、私はどうしても2枚では安定しなかった。
 強いカードは4枚。
 積んで損はありません。
 明確な理由もあります。
 キャプチャーエネルギーを2枚採用した場合、手札6+1枚で1枚以上引ける確率は、単純計算して約23%でした。
 ちなみに3枚投入なら約32%だから3回に1回まで改善できます。
 これが4枚投入なら約41%。2回に1回とまでは行きませんが、かなり展開の補助にはなるでしょう。
 さらに後手1に即博士で山札を6+1+7の合計14枚見た場合はどうなるか?
 キャプチャー2枚投入だと、1枚以上引ける確率は42%
 3枚投入だと56%
 4枚投入だと67%
 これだけの確率でクイックボール1個ぶん得できるなら、入れない理由がありません。バトルVIPパスを4投するのと同じですが、キャプチャーエネルギーは2手目以降も使えるのだから優秀です。
 ネックなのは手貼り権を消費するので番に1回しか使えないことと、その番はオーロラエネルギー手貼りによってアーケオスを落とせないこと。そして、キャプチャーエネルギーによる召喚ではネオラントやバケッチャの「手札から出したときに使える」特性が働かないことです。
 その点は手札の状況との相談になりますが、逆にいえば、ボール系の手札をネオラントやバケッチャに余裕をもって割けるということでもあります。キャプチャーエネルギーは後続のサブアタッカー→マナフィの順で呼びたいところ。とくにマナフィにボールを割くのはコスト的にもったいない印象なので、キャプチャーエネルギーでついでに出せたりすると美しいです。
 また、山札に複数残っていてもプライマルターボで大量に消費できるおかけで、過剰ということはありません。色つきエネルギーはアメイジングデスを1回、かえんばくを1回ないし2回宣言するだけのぶんしか用意していませんので、残ったキャプチャーエネルギーはルギアやアーケオスを動かすために積極的に運用したり、逃げエネとして活用したりします。これが案外、使い勝手がいい。アーケオスの起動は神殿対策にもなります。初動はデッキの展開を支える屋台骨でありつつ、中終盤からはエネルギー構成のバッファとしても役立つ。面白いカードです。

オーロラエネルギー 4枚

 いわずもがなの4枚採用。これがなければアメイジングデスは撃てません。
 手貼りのコストとしてアーケオスを落とすことができるので、謎に噛み合いがいいのもズルいカードです。

ダブルターボエネルギー 2枚

 1枚採用も試してはみましたが、サイド落ちが非常にキツく、ルギアに1枚、イベルタルに1枚ずつなるべく使いたいことから、2枚としました。逃げエネ2のポケモンの緊急避難用の逃げエネとしても使います。できれば3枚欲しい。イベルタルにつけるとダメージ軽減がなくなるのもブッ壊れポイントですね。大事に使いたい1枚です。

Vガードエネルギー 1枚

 個人的な評価はすごく高いのですが、枠の関係で泣く泣く1枚。もしエネルギーを増やせるなら、ハイド悪エネルギーに次いでVガードの2枚目を検討するかもしれません。
 基本的には280ダメージを出せるルギアを守るために使いますが、イベルタルに貼るとアクアリターンを耐えるという小ワザも先達に教えていただきました。状況に応じて使い分けたいところです。

基本炎エネルギー 1枚

 このデッキのびっくりドッキリカード
 ルギア=アーケオスデッキといえば特殊エネルギーですが、

 特 殊 エ ネ ル ギ ー し か 入 れ ち ゃ い け な い な ん て 誰 が 決 め た ?

 と言いたい。
 基本エネルギーを入れてはいけない法はありません。
 このエネルギーが1枚あるだけで、最終盤にかえんばくを連打できる可能性を残します。神殿下でも動けますし、なによりジュラルドンにダメージが通る。ジュラルドンVMAXが2体立ってしまうと勝ち筋はアメイジングデス連打しかほぼ残りませんが、ルギアでジュラルドンV→アルセウスVSTARと取ってジュラルドンVMAXが最後の1体なら、かえんばく250×2でも倒すことができます。
 1枚採用かつプライマルターボではサーチ不可能なので、引けるかどうかはそれこそご都合です。かえんばくを撃つのは最終盤ということもあり、べつに引けなくてもいいと思っている。理想としては、イベルタルに基本炎エネルギーを手貼りしてアメイジングデスを撃ち、オーロラエネルギーでかえんばくを撃ち、クララで基本炎エネルギーを回収してもう一度手貼りからかえんばくを撃つルート。なんとアクアリターンを挟まずに、非Vポケモンが強制気絶→250→250をバトル場にブチ込みます。おかしいでしょ。
 あくまで理想論ですが、そんなロマンを秘めたデッキでもあります。

各対面の意識

対パルキア・ギラティナ

 基本的に先攻ならルギア1体、後攻ならルギア2体を立てるプランで考えていますが、ことパルキアやギラティナ対面では、相手の手の伸び次第ではありますが、なんだかんだ先攻でも2体立てることが多い印象です。余ったキャプチャーエネルギーで早めにマナフィを置くことを意識しつつ、アメ→アクアバレットやおとぼけスピットの蓄積ダメージに対しては、チェレンや崩れたスタジアムで無効化を図る。280ダメージを出せるルギアにVガードエネルギーをつけることを意識し、サイドを4枚持っていくのが理想です。

対LTB

 苦手な対面ですが、非Vとアクアリターンでサイドレースに遅れないことを意識しています。マナフィはロストマインで取られがちので諸刃の剣ですが、アメイジングライコウやカイオーガの可能性があるときにはクララでの使い回しも視野に。マリィで手札を流して、チェレンと崩れたスタジアムで負け筋を減らし、正直あとはお祈りです。
 大会初戦の対LTBでもマリィとチェレンのタイミングは意識して打ちましたが、勝てたのは運の要素が大きかったと思います。

対アルセウスジュラルドン

 頂への雪道が入っていないので、ジュラルドンV→アルセウスVSTARと倒してサイドを4枚まで取っておくことが理想ではあります。ただ、トリニティノヴァ1回でジュラルドンVMAX1体が育ちきるまでは許容と考えています。
 対ジュラルドンVMAXはとにかくイベルタルを当てることを念頭に、呼ばれて倒されてもクララでの復帰を図ります。パラソルを引かれてしまう前に強制気絶させることができれば、後ろのジュラルドンの手貼り育成が間に合わないはずなので、アメイジングデスを連打して勝つルートがあります。最悪の場合は相手のサイド2の状態から基本炎エネとクララを使ってかえんばくを連打、ジュラルドンVMAXを二発で突破する奇跡に一縷の望みに賭けるほかありません。

対ルギア

 先攻ゲーなので、先攻を取れたらとにかく先2アッセンブルスターに全力を出し、サイドレースで後れを取らないようにします。麻痺を絡められた場合にはチェレンを活用。アメイジングライコウ対策にマナフィも出しておきます。
 問題は後攻。正直、大会1週間前のルギアのシェアが30%程度だったので、ルギアミラー後攻を踏む確率は15%。そのためだけに構築を歪めてキメラ化していくことのほうが弱いと感じたので、あえて専用の捲り手段は用意していません。あるとすれば、ルギア2体をしっかり押しつけることと、チェレン+ネオラント2枚目を積んでいること。まずはキャプチャーエネルギー4投の利を活かして盤面を展開し、バーネットが使えそうならバーネットを優先して省エネでアッセンブルスター。相手の展開が少しでも遅れたらそこを咎めて逆転を狙います。そして相手がベルトを引けずに、ゼラオラやライコウなどでルギアVSTARに弱点込み240ダメージなどを飛ばしてきたなら、チェレンで回収してサイドプランをズラします。そもそもノコッチを採用していないので、ベルトを相手に引かれていたなら潔くお手上げするほかありません。
 大会本番ではミラー後攻を1度踏んでしまい、その時点でほぼ諦めていたのですが、後1バトル場のルギアにキャプチャー手貼りでルギア2体目を置けて最低限のスタート。すると相手が事故りに事故ってマリィの5ドローでは解決できず、ルギアVSTAR単騎のままワザを使えずに番が返ってきたので、こちらは後2アッセンブルスターからストームダイブ280ダメージを飛ばしてまさかの速攻勝ち。キャプチャーエネルギー4投の安定感がここで活きました。

おわりに

 テンプレが少しずつ固まってきたとはいえ、細部を比べると、サポート配分にしてもエネ配分にしても意外と人によって千差万別。拡張性の高さがルギアの面白いところです。
 基本エネルギーを入れているバカなんて世間広しといえども自分くらいだとは思いますが、手札に詰まる特殊エネルギーが15枚も16枚も入っているデッキが大型大会を戦い抜くための安定性のうえで健全なわけがなく、今後はエネルギーの数がギリギリまで減らされていくのではないかと考えています。
 もしかしたらエネ総数を減らす代わりに使い回せる基本エネルギーと半々くらいで共存する構築が出てくるかもしれない。いちげきエネルギーなら活力の壺という専用のグッズもあります。常識に囚われず、あれこれ試行錯誤してみるのは楽しいものです。
 このデッキも、パラダイムトリガー発売前からプロキシを刷って擦り続け、さまざまな紆余曲折を経て辿り着いたひとつの形です。
 そらピカ、ザマゼンタ、カビゴン、ゼラオラ、ゼクロム、チャーレム、サンダー、レジギガス、メタモンなどなど、思えばさまざまなアタッカーが入っては抜けていきました。研究に終わりはありませんから、今後これらのアタッカーが再び加わらないとも限りません。
 とはいえ、アタッカーやエネルギーの色を増やせば損なわれるのは安定性。ひとまず現状の60枚が、私が全幅の信頼を寄せている安定重視の構築です。ルギアが回らなくてお悩みの方は、ものは試しで騙されたと思ってぜひ使ってみてください。

おまけ

ガラルサンダーでひと工夫

 自主大会後に調整を加えて店舗非公認大会で使ったグラードンカイオーガはこんな感じ。
 結果は散々でしたが、これもまたポケモンカードとして楽しいデッキです。

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