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コントロール初心者がカビゴンマンタインstallを1ヶ月かけて練習してシティに挑戦した話

自己紹介


 神奈川・東京近辺でポケカを遊んでいるぬまくろと申します。二児を持ち、平日は夜な夜なPTCGLと一人回しに励むのが精一杯の社畜パパプレイヤーです。
 戦績としてはトレーナーズリーグ優勝1回、ジムバトル優勝3回・準優勝1回、自主大会優勝2回・準優勝1回があるだけ。シティリーグは自己最高10位/58名で決勝トーナメントへの進出経験はなしと、エンジョイ志向と競技志向の中間のような、要は中途半端な存在です。ポケモンカードの公認ジャッジ/イベントオーガナイザーになりました(2024年2月取得)。

 そんな私が1月26日のレギュレーション変更を機に約1ヶ月間、生まれて初めてのコントロールデッキとなる「カビゴンstall」、世に言う「カビゴンLO」を練習してシティに挑戦するに至った経緯と感想を、備忘録として記しておきたいと思います。

食わず嫌いしていたカビゴンstall

 私がポケカを始めたのは2022年1月、スターバースが発売されたころでした。他TCGの経験はなく、ポケカ歴=TCG歴となります。
 そんな私が2年間ずっと食わず嫌いしていたのが、コントロール系のデッキでした。ポケカといえば相手のポケモンをきぜつさせてサイドを取りきるのが王道の目標であり、サイドを取らずに相手の山札を枯らしにいく、あるいは詰ませにいくというのは、あくまでも搦め手だと思っていました。しかもポケカに対する幅広い知識と経験、判断力が絶対に必要となる。ピン挿しのカードが多く、サイドを取らないにもかかわらずシャクヤを駆使しながら60枚をフルに使わないと勝てない、高難易度の玄人向けデッキという印象でした。自分にはまだまだ無理だろう、という先入観があったのです。
 ジムバトルやトレーナーズリーグでカビゴンstallと対戦した経験は2回。そのとき2回とも自分はミライドンexを使っていて、6体目のポケモンが攻撃するためのエネルギーが足りず、バトル場から逃げることも叶わずに敗北を喫した苦い思い出しかありません。
 世間的にはやたらと嫌われている印象があります。たしかに、まともにサイドの取り合いをしてくれない、暖簾に腕押し感がある、対話を拒否されているように感じる――という意味では嫌われがちなのかもしれません。私自身、理不尽な負けを経験して「ウザい」と思うことはありました。しかし、なんらルール違反をしているわけではないし、ましてやデッキ使用者を責めるというのはお門違いというもの。文句があるならカビゴンというカードを考案して刷るに至った公式に言うべきです(理不尽というなら、テツノカイナexのほうがよほど理不尽だと感じることがあります。大型のポケモンが小型のポケモンを甚振ってサイドを2枚くすねるなんて!)。
 そんなカビゴンデッキ、いつかは自分でも組んでみたいと、半年くらい前から特価品を狙って、パーツだけはちょこちょこ買い集めていました。ずいぶん前にロトムVを100円で買ってあった自分、グッジョブ。
 なぜいまになってカビゴンを組んだかというと、いくつかの事情が噛み合ったからでした。

・リザードンexに有利なデッキが欲しかった
・頂への雪道がレギュレーションから落ちた
・リザードンexに勝ちたかった
・あなぬけのヒモが落ちた
・ほんっとにリザに勝てなかった
・ビワとヒーローマントが加わった
・リザに勝てずばデッキに非ずと考えた
・環境からミカルゲが減った
・リザにばっかり当たるのしんどかった
・マキシマムベルトでサイド計算が複雑化した
・リザミラーも難解で、デヴォが面倒だった
・サイド取るのに疲れたよ。ラブ&ピースだぜ
・リザに勝てればなんでもよかった

 と、だいたいこんな感じです。
 だいぶ私怨が混ざっている気がしますが、気のせいです。

 とりわけレギュレーションの変更が決定打だったように感じます。後述するようにPTCGLでも日々カビゴンの練習をしているのですが、あちらはまだ雪道とヒモが存在している世界線。ケアすべき事柄が、現行の日本のレギュレーションよりふたつも増えています。やまびこホーンがあるのが羨ましいなぁとは思いますが、そこはそれとして。
 レギュレーション変更を機に重い腰を上げてカビゴンを組んでみて、結果的には正解だったなぁと感じました。コントロール初心者がチャレンジするには、もしかしたら現環境はちょうどいいタイミングなのかもしれません。
 なぜなら現環境のカビゴンstallは、初心者目線からすると、ある意味で「シンプルで真っ直ぐになった」と感じたからです。

初めてのトレリ参戦

 1月下旬、自分なりに初めて組んだカビゴンstallの構築がこちら。

カビゴンstall プロトタイプ

 じつはこの時点で、自分なりのカビゴンstallのベースを作ることができていました。特徴はジェットエネルギー4枚採用でしょうか。イーユイex/かがやくリザードンを入れてみたり、ナナミの手だすけ/アルセウスフォンを入れてみたりと、いろいろな構築を試しながら見よう見まねで組んで調整していったのですが、ジェットエネルギーが強すぎて、1枚たりとも抜けなくなってしまいました。詳しくは後述しますが、マンタインを動かしやすい/ボタンで再利用できる入れ替え札という、このデッキにおけるぶっ壊れの最強カードだと個人的には感じています。

 しかし、約2週間の調整と練習だけで勝てるほど甘くはありません。2月11日(日)、カビゴンを引っ提げての初めてのトレリは3連敗からの2連勝と、苦々しい結果に終わってしまいました。

 1戦目のみ時間切れ両負け。
 なるべく早め早めのプレイを心がけて詰み盤面まで作ったものの、相手がどうしても負けたくなさそうなジュニアの男の子。最後は、
「番返します」
「番返します」
 の応酬が続く形となり、相手の残り山札1枚のタイミングでナンジャモを2回使われて、3回目の「番返します」の応酬の途中でタイムアップ。イーユイex不採用の裏目がさっそく出る形となりました。
 2戦目はミラージュステップのラルトスが綺麗に4枚並び、3戦目は手札大事故かつスナノケガワの弱点で種切れ負けだったとはいえ、反省点が多く残る負け越しでした。

 初めて25分の対外試合をやってみて感じたのは、
「とにかく時間が足りない!」
「思っていた以上に序盤の手札がキツい!」
「ケアすべきことが多すぎて難しい! 頭が爆発しそうになる!」

 これに尽きます。
 それまで、カビゴンstallというのは対戦相手が苦しむ顔を眺めることに愉悦を覚え、安全圏から高みの見物を決め込むようなイヤミなデッキだとばかり思っていました。
 舐め腐ってました。
 キツいのはカビゴン側も同じです。
 攻撃できないポケモンがバトル場にロックされるのとは、まったく別種の苦しさがあります。
 この苦しみは、味わってみないとわかりませんでした。
 なにごとも食わず嫌いはいけませんね。
 カビゴンの使用者は、にこやかな笑顔で相手が気持ちよくプレイできるように心がけつつ、それでも相手に嫌われつつ、対戦中は終始リソースや時間のマネジメントで苦しくて、笑顔の裏で泣きながらプレイしているのです。
 ドMか。

 トレリを終えて、プレイ速度のさらなる向上と、イーユイexのような自ら山札を削りにいく手段の搭載が課題となりました。
 また、5戦を通して野盗三姉妹を使いたいけれど引けていないという場面が多く、3枚目の採用が視野に入りました。

PTCGLでひたすらカビゴンを使いまくる

 2024年2月時点に限り、カビゴンstallの優位性としてひとつ挙げられるのが「PTCGLでもほぼ同じ形で練習ができる」ということでした。会社員プレイヤーにとって、PTCGLはもはや欠かすことのできない練習ツールです。
 まだPTCGLに実装されていないHレギュレーションのカードといえば、ヒーローマントとビワくらい。ヒーローマントはゴージャスマントで疑似的に代用できるし、ビワに関してはルアーモジュールを入れてみたり、スナッチアームを入れてみたり、それはもういろいろと試しました。実物と違って、あれやこれや自由に試せるのがバーチャルの強みですね。
 ということで、2月はジムバトルに出た日を除き、毎日必ずカビゴンで1勝することを己に課して、夜な夜なPTCGLを遊び倒すことになりました。
 今年はうるう年だったので29日間。
 毎日カビゴン生活の始まりです。
 寝てもカビゴン(ポケスリ)、起きてもカビゴン(ポケカ)。
 しまいには妻から貰ったバレンタインデーのチョコまでカビゴンでした。

この笑顔である

 PTCGLで使っているリストは日々変わっていきますが、だいたいこんな感じ。

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 やまびこホーンを使わずにマンタインを場に出すと、
(あ、こいつ日本人だな)
 と嫌がられて(?)いるんだろうなぁと思いつつも、頑なにEレギュのカードは使いませんでした。お互いフルパワーのE~G環境で練習したかったはずの外国人選手たち、ごめんなさい。
 あちらでは(憎き)頂への雪道が現役なので、雪道を割る札としてスタジアム4枚+ロストスイーパーの採用。ついでに、相手が盤面を埋めてきたときに崩スタ+スイーパー→マンタインの動きができるようにもしてあります(再現性は低いが)。
 あなぬけのヒモもキツいので早めにカビゴンを2体並べたく、ボウルタウンを減らせないどころか、4枚目が欲しいとも感じています。この「カビゴンを2体以上早めに並べる」という動きは、そくせきじゅうでん前の山札の圧縮になるので、現レギュでも意識するようにしています。いつテツノツツミのハイパーブロアーが飛んでこないとも限りませんし。

 ちなみにPTCGLで練習できるのは有難いのですが、クエストの内容によってはデイリー消化ができず、カビゴンの連勝記録をカウントできないのが嬉しくないポイントではあります。

「合計9エネつけろ」→できなくはないけど、面倒くさい。
「サイドを1枚取れ」→できなくはないけど、殴る場面が限定的すぎる。
「一撃100ダメージ与えろ」→カビゴンに4エネ集めるか? アホか。
「exポケモンを4体、場に出せ」→できません。
「ポケモンを4体、進化させろ」→できません。

 こんな具合で、デイリー消化のために泣く泣く別のデッキを使ったり、クエスト達成後わざと負けて次の試合からカビゴンを使い始めたり……なんていう日もありました。
 カビゴン単体での最大連勝記録は、17日(土)に達成した5連勝でした。

 依然として「自ら山札を削りにいく手段」は課題として残っていて、イーユイexのほかに、ラブカスもさんざん試しました。

30円ストレージで見つけて「これだ!」と閃いてひとりで昂奮していたのが、最高にTCGって感じでした。

 生けるルアーモジュールのような使いかたもでき、スタートして倒されてもサイド1枚献上で済む。イーユイexと比べるとジェットエネルギーとも噛み合っていて、相手の山札残り2枚のタイミングで使えれば、ナンジャモで遅延されることなく勝つ筋が生まれます。

 ただ、カビゴンミラーを考えたときに、やはりイーユイexの有無が勝敗を分ける。悪リザードン戦においても、すごいつりざおを2枚トラッシュに送り、エネルギーが7枚見えた段階でイーユイexを起動して能動的に山札を削りにいかないと、現実の試合では間に合わないおそれがあります。
 それでもイーユイexは多くの対面においてノイズであり、負け筋になりかねないと感じてしまいました。単純に、カビゴンスタートの確率が下がってしまうことのストレスが大きかった。カビゴンミラーは切ってでも、なるべく純正カビゴンでいたかったのです。

 元四天王が言うくらいだから絶対に入れたほうがいいであろうことは理屈ではわかっているのですが、わかっていても個性を主張して抗いたくなるのがカードゲーム。
 前述したように「シンプルで真っ直ぐになった」と感じたのが、現環境におけるカビゴンの、初心者なりに好きなポイントのひとつでした。サイド落ちを割り切って、サポートは基本的に各2枚以上の複数採用。ピン挿しのボスの指令やエール団の応援は、他のカード(カウンターキャッチャー・ともだちてちょう・すごいつりざお・シマボシ)で代用可能だから泣く泣く1枚になっているに過ぎません。原則54枚で戦うデッキだと思っています。だからヒスイのヘビーボールのピン採用も、個人的にはありえない。
 その点において、炎エネルギー2枚はノイズだし、イーユイex起動のためにはエネルギーの手貼りに加えて、いれかえカートorその番のサポート権をボタンに割かなければならないという運用上の重さも気懸かりでした。少なくともジェットエネルギーの4枚目をいれかえカート2枚目にしたくなってしまう。ねたみこがすがジェットエネルギーに対応していたら、喜んでイーユイexも採用したんですけどね。

 それよりももっと気懸かりだったのが、2月中旬から環境に増え続けていたビーダル型リザードンのホシガリスでした。

いざジムバトルへ

 毎日カビゴン生活20日目、なんとか仕事の都合がついたので、ジムバトルに参加することができました。
 そのときに使った構築がこちら。

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 名づけて「カビゴンマンタインstall」です。
 ジェットエネルギー4枚採用をアイデンティティーとし、おもにマンタインの起動に重きを置いた構築になります。
 そして、ジェットエネルギーと親和性が高いもうひとつのギミックとして、基本超エネルギーを2枚追加しました。
 ベンチのミミッキュに超エネを貼っておいて「いつでも殴れますよ」とプレッシャーをかけつつ、次の番にジェットエネルギーからの最速起動プランを取りやすいようにしてあります。カビゴンデッキのエネルギー採用枚数を考えればすぐには殴ってこないだろう、という相手の思考の外から殴り始め、後続準備のためにリソースを使わせる算段です。
 また、懸案だったホシガリスへの回答にもなっています。ホシガリスをカビゴンで縛ったうえで相手のすごいつりざおを落としきり、ジェットエネルギーからホシガリスを倒して、お互い山札が無限となる千日手を回避します。

 練習の甲斐あって、20日(火)のジムバトルで優勝(全勝)できました。

ルギアに勝ったのは奇跡。相手はアーケオス2面出し、盤面に5体アタッカーが完成している状態で、マンタインからどっすんカビゴンを召喚、縛って祈ったら、相手のエネがサイド落ちもあって切れました。

 ここで手応えを感じられたのが大きかったです。
 惨敗していたら、シティではパオジアンexを使っていたかもしれません。

 翌週28日(水)も同じジムバトルに出て、3勝1敗と上々でした。

アルセグレンアルマは無理。ミミッキュで1回グレンアルマを狩ったものの、すぐ復帰され、誰を縛っても無限にエネつくやん……。

 ジムバトル8戦で時間切れ両負けをしなかったのも好材料でした。
 こうして、3月初旬のシティリーグにカビゴンを持ち込む決心がつきました。我ながら暴挙だったと思います。

 今回は珍しく(?)勝ちにこだわって、気合い入ってました。

まさかのラスボス

 3月4日(月)、ドラゴンスター秋葉原店さんで開催されたシティリーグ(シーズン3)に、カビゴンマンタインstallを引っ提げて参加しました。
 構築はジムバトルで使ったものと60枚同じ。
 ある程度の結果を出せていたので、直前に構築を悩む必要がなかったのは幸いでした。

 いざ蓋を開けてみたら、あれよあれよと3連勝。
 ところが4戦目、イダイナキバLO相手にピジョットVスタート、手札事故でカビゴンが数ターンのあいだ着地できず、かつボスの指令がサイド落ちしていて、ベンチに出ていたかがやくゲッコウガを最後まで呼ぶことができず、地盤崩壊に屈しました。
 5戦目開始時点で全勝者が3名。
 決勝トーナメントに進出するためには、当然ながら5戦目の勝利およびオポネントお祈りが必要となります。

 そして5戦目、卓についた瞬間にフリーズしました。
 この人、見たことある。
 それもつい最近。
 サーニーゴチャンネルで……!

 イタガキタクト選手でした。

 どう考えてもポケカ人生史上、最高実績を持つ対戦相手でした。
 だって世界王者ですやん……。

 対戦前、
「人違いだったら恐縮なんですが、YouTubeとか出てたりします?」
 と訊くと、
「はい。自分でチャンネルを持ってるわけじゃないですけど、ほかの人に呼ばれて、ちょっと出てます」
 と笑顔の回答。
 マジかよ……。
「僕から見たら雲の上のお方です、対戦できて光栄です」
 と声を絞り出すのが精一杯でした。
「いえいえ。いまは勝利数同じで、ここに並んでるわけですから。お互い頑張りましょう」
 また爽やかな笑顔。神かよ。
 ここで心の中の大谷さんが暴れ出します。
(憧れるのをやめましょう……)
(憧れるのをやめましょう……!)
 無理でした。
 相手のマリガンで見えた手札は、どう見ても悪リザードンex。
 なにがなんでも悪リザードンexに勝ちたいがために、この1ヶ月間、毎日毎日カビゴンを練習し続けてきたのでした。
 そのラスボスが、まさかの世界王者の悪リザードンexとは!
 内心ビビりまくっていましたし、無駄に燃えて空回りしてもいました。
 実力では遥かに劣っても、デッキ相性的には決して不利ではない。
 勝てるかもしれないと、功を焦ったかもしれません。
 ありきたりなプレイでは世界王者を出し抜けないと、気負いすぎてしまったかもしれません。
 いざ対戦が始まってみると、練習してきた対悪リザの動きとはまったく異なるルートをアドリブで取ることになりました。

 相手ヒトカゲスタート、こちらはカビゴンスタート。
 先2からヒトカゲ2面でヒートタックルを5連打され、30刻みで1体目のカビゴンを倒されます。
 このままだと25分には収まりそうにない雰囲気です。
 ここで、気がついたら通常の心理状態では出ないような行動に出ていました。
 相手の意表を突くべく、ミミッキュに超エネ→ジェットエネとつけて即起動させ、残りHP10のヒトカゲを無視してカウンターキャッチャーで裏のHP満タンのヒトカゲを呼んで倒したのです。
 上手くすれば種切れで勝てるかも、という浅はかな欲が出ていました。
 次の相手の番、ヒトカゲ3体目の着地を要求しつつ、ヒートタックルで自傷きぜつさせてサイド2枚目を取得。
 サイドにカウンターキャッチャー1枚とボスが埋まっていたので、期せずしてボスの救出にも成功しました(まぁ、相手の次の番、ボスはナンジャモで流されるんですが)。
 ミミッキュで攻撃を続けているあいだ、相手のすごいつりざお2枚のトラッシュorエリカの招待でのロックを目指しましたが、ヒトカゲ3枚取ってポッポも倒して要求を上げても、盤面やトラッシュは完璧に管理されていたし、ビワで見た手札のロトムVは、次の相手の番、すかさずナンジャモで山札に戻っていく。ハイパーボールのコストになったロトムVも、すごいつりざお1枚目で、やはり山札に戻っていく。
 最後はフトゥー博士のシナリオに屈しました。野盗三姉妹でフトゥーが山札にあることはわかっていたのですが(山札を見たときに絶望した顔をしていた、というのは対戦後のイタガキ選手の談。顔に出てしまうのはよくないですね)惚れ惚れするほど完璧なプレイングでした。ちなみにマリガンで崩れたスタジアムも見えていたので、縛れるポケモンが1匹だけでは間に合わなかったと思います。
 こちら視点では、すごいつりざお2枚目が遠かった。

 ゴーストアイでサイドを取り進めたことに関しては、対戦後「現行の日本のルールで、あの盤面から時間内に終わらせるためには、ああするしかないですよね〜」と言ってもらえたのは救いではありました。が、こちらの緊張と焦りを見透かされていて、見事に誘い出されたなぁという悔しさがあります。
「だから(=時間内に終わらないから)僕はカビゴン握らないんです」とも。
 完敗でした。

 対戦後、
「失礼ですが、イタガキ選手ですよね?」
 と訊くと「はい」とのお返事。
 予備のカードにサインを貰おうかとも思ったのですが、またしても心のなかの大谷さんが囁き始めました。
(憧れるのをやめましょう……!)
 この雪辱はいつか大型大会など、別の舞台で晴らすしかない。
「ここ(3-1卓)まで来ると欲が出てくるものですね。勝ちたかったです」
 烏滸がましくも、本音だけは伝えることができました。
 そうでもしないといろんな感情が渦巻いてグチャグチャで、感情の持っていきどころがわかりませんでした。
「そりゃ勝ちたいですよね、ポケカですもん」
 またしても笑顔。
 あぁ、この人は世界で勝ってもなおポケカを楽しんでいるんだろうなぁと感じる笑顔でした。
 ポケカを続けていくための、新たなモチベーションになりました。

シティリーグ結果

17位/58名

もうひとつの練習方法

 今回使ったカビゴンデッキは自分なりに扱いやすいように、まっすぐシンプルに組んであります。そのぶんルギアやカビゴンミラーなど一部の対面を割り切っていて、ピジョットexやオンバーンexなどの高度なギミックこそ搭載していません。が、自分としては納得のいく大好きな60枚となりました。
 基本的には引いたカードで戦っていくため、プレイングの指針を立てやすいです。相手の番のあいだにどのカードをどの順番で使うかを決めておいて、自分の番のあいだはそのプランに従ってひたすら機械的に速攻で動いていくだけ。さながらポケカタイムアタックです。
 ただでさえイーユイexを積んでいないので、最後は時間との勝負になります。イーユイexの不在をプレイング速度で補うようなイメージです。
 タイムアタックの速度向上のために、PTCGLのほかにもうひとつ意識してやっていた練習があります。それは日々、YouTubeでポケカの対戦動画を見るときに、再生速度を1.25倍ないし1.5倍にして、かつ流し見せずに盤面をよく注視して、どのカードが何枚見えたか、両プレイヤーの手札の状況はどうか、つねに考え続ける練習です。
 サーニーゴチャンネル、はるnチャンネル、バツローグチャンネル、ササキヒロムさんのチャンネル、凱チャンネルあたりは欠かさずチェックするようにしています。四天王級の人たちの構築や対戦をタダで見られる環境、最高か。
 コントロールプレイヤー・じゅんさんの配信も暇さえあれば覗いています。
 動画の高速視聴は、やってみると頭がパンクしそうになるくらい難しいし疲れます。しかし、この地道な練習がプレイング速度の向上に少なからず貢献してくれたと思います。

各カードの採用理由

 あくまでもコントロール初心者視点の話になりますが、以下、各カードの採用理由を書き留めておきます。
 デッキリストを再掲。

カビゴン(とおせんぼ)4枚

 このデッキの顔です。
 カビゴン3・クチート(あまいわな)1を試してみたこともありますが、できればカビゴンでスタートして欲しいため4枚。このデッキではたねポケモンを8枚に絞っているため、その半分がカビゴンとなります。
 マリガンをしなかった場合、ロトムVやピジョットVでスタートすることで先攻の相手にこちらのデッキタイプを絞り込ませず、縛れるポケモンを場に出してもらえるというメリットもありますが、基本的には初手からロックがかかったほうが体感の勝率はいいと思います。
 なんでこのカード刷ったの? と思ってしまうくらいのバケモノ。クチートと異なり、ボスの指令でロックが解除されてしまうという側面はありますが、常時発動の特性だからこそロトムVのそくせきじゅうでんと共存できるわけで、ぶっ壊れです。
 4エネつけて殴ることは、おそらく一生ないでしょう。寝ずに働いてもらってます。
 天敵はメテオ。
 メテオが見えたらほぼ負けてます。

ミミッキュ(しんぴのまもり) 1枚

 ミミッキュ1枚で明確に詰むデッキというのはほとんどなくて、パッと思いつくものといえばボールレスミライドンやエネ過多キュレムといった尖った構築くらいですが、それでもベンチに置いておくだけで、V・ex主体の相手に一定のプレッシャーを与えられます。ミミッキュ処理のためにリソースを使わせることもできる。
 これに超エネをつけることで「いつでも殴るよ」という構えを作っておくと、なお理想的です。
 そして前述したように、ホシガリスを倒す要員でもあります。
 天敵はミュウex。ゲノムハックでゴーストアイをコピーされて、あっさり倒されてしまいます。

マンタイン(きしにはこぶ) 1枚

 このデッキのもうひとつの顔といっても過言ではありません。このデッキはカビゴンstallではなく、紛うことなきカビゴンマンタインstallです。
 ネストボールorボウルタウンorペパー+ジェットエネルギーの組み合わせが手札にあれば、いつでも相手のトラッシュに送られたポケモンを釣り出しにいけます。ジェットエネルギー4投だからこそ、序盤からこの組み合わせが揃いやすい。
 マンタインの起動=多くの場合サイド1枚の献上になるので、なるべく早いうちに取らせておきたいというのもあります。相手がすでにサイド残り3枚や2枚まで詰めてきたタイミングでマンタインを走らせても、当然ながら間に合わないケースがある。
 やまびこホーンがあった時代のカビゴンstallを知らない初心者だからこそ、マンタインの起動はそんなに嫌々ではありません。むしろ楽しい。
 ちなみに、ワザ「きしにはこぶ」はつりざお+ネストボールと同価値でもあります。
 まだ対戦したことがないので机上の空論ですが、サーフゴーパルキア対面でミミッキュが「れんぞくコインなげ」で倒されたあと、相手の場にV・exしかいなくなった段階でマンタインを走らせて、自分のトラッシュからミミッキュを復活させる……というようなプランも一応は可能なので、頭の片隅に入れておくようにしています。
 天敵はテツノツツミやピジョットV。せっかくベンチに呼んでも消えていきやがるので、意味がありません。

ロトムV

 なにを隠そう、わが愛する相棒です。ジムバトル初優勝を飾ってくれた思い出深い1枚。このデッキではスクラップパルス/スクラップショートを撃つことはできないけれど、後攻1ターン目からガンガン充電して働いてもらっています。マリガンなしでスタートすると、相手がピジョット型リザードンexの可能性を捨てきれないまま動くことになるので勝機を生んでくれることもあります。

ピジョットV

 雪道がなくなったことで使いやすくなった1枚。自分の山札切れを防ぐだけでなく、相手の攻撃を(おまもりなど込みで)一発受けてからベンチに下がって、ダメカンごと消え去る役割もあります。ジェットエネルギー4投の足回りのよさが活きる場面でもあります。
 封印石の貼り先にもなります。相手の想定ダメージライン的にロトムVをどうぐで守りたい場合はとくに、ピジョットに封印石を貼ります。

ネストボール 4枚

 後1ペパーで持ってくるグッズ候補第1位。ロトムVを呼んで展開を安定させるために必須のカードです。
 マンタインやピジョットV+封印石の起動に備えて、終盤まであまり空撃ちすることはありません。相手のナンジャモでも基本は6枚引けるデッキなので、私は山札づくりよりも柔軟性・奇襲性を重視しがちです。

ヒスイのヘビーボール 2枚

 初手のペパーで持ってくるグッズ候補第2位。山札を確認後、ロトムVがサイド落ちしていたなら、ヘビーボールの1枚目を選択します。
 世のカビゴンLOの構築ではヘビーボールを1枚にしている例のほうが多いように見受けられますが、個人的に2枚は譲れない枠だと思っています。
 前述したように、このデッキはサイド落ちを割り切って54枚で戦うデッキです。一度ヘビーボールを使用してサイドに埋めたら、もう埋まりっぱなしになる。にもかかわらず、ヘビーボール自体のサイド落ちや、ピン挿しのポケモン2枚同時のサイド落ちをケアしない理由がよくわかっていません。ロトムVによる手札の安定に加えて、序盤のマンタイン起動に重きを置いた構築でもあるので、ヘビーボールは複数枚あったほうが安定します。

いれかえカート 1枚

 ペパーで持ってこられる入れ替え札。30回復が地味に相手の計算をズラしたりもできます。シンオウ神殿を積むならジェットエネルギーの4枚目をいれかえカートの2枚目にするところですが、シンオウ神殿によって自分のジェットエネルギーが止まるほうが嫌だったので、ジェットエネルギーでほぼ代用可能と考えて1枚に留めています。

カウンターキャッチャー 4枚

 相手にサイドを先行させたうえで、ワザを使えない相手ベンチのシステムポケモンを呼んでバトル場に縛るための必須カード。ペパーがボスの指令+どうぐに化けるというハイパフォーマンスを見せてくれます。問答無用の4枚採用。山札確認でとくに数えておきたいカード。シマボシで戻す候補第2位。

ポケギア3.0  4枚

 初手にペパーをサーチできると、多少手札が事故っていても世界が変わるカード。手札が事故っていたりロトムVを早期に倒されたりして次の番のサポートがないときに、ペパーでポケギアを持ってくることも稀にあります。サポートをたくさん積んでいるデッキだからこそ、高いバリューが見込めます。
 実際にシティでも1度だけ、初手大事故だったイダイナキバLO戦にてペパーでポケギアを選びました。で、次の番にポケギアを使って得られたのはペパー。
「ペパーで持ってきたポケギアで持ってきたペパー、使います」
 そう宣言したらお相手に笑ってもらえたのは救いでした。

ともだちてちょう 2枚

 サイド落ちしてしまうとサポートの枚数管理が大変で、できればサイド落ちしてほしくなく、3枚目を入れたい気もするけどそれは流石に過剰だなと感じてしまう難しいカード。エール団の応援がサイドに埋まってしまった場合はなおさら重要度が上がります。ちなみに、シティでは5戦中2戦、てちょうがサイド落ちしていました。
 このデッキは毎番のサポートが命なので、大事な生命線になります。シマボシで戻したい候補、圧倒的な第1位。シマボシのコインが1オモテなら、ほぼ迷いなくこのカードを山札に戻します。戻したあとにそくせきじゅうでんをするかどうかは、相手のナンジャモの可能性と、自分の山札に残っているリソース次第。
 基本的には、てちょうを使うのはシマボシを使う前にしています。野盗三姉妹やビワなどを山札に戻し、シマボシでてちょうを戻し、そのてちょうでシマボシ+1枚のサポートを山札に戻すようなサイクルを想定しています。

すごいつりざお 1枚

 おもにミミッキュを動かすプランを取るときに大事になってくるカード。ピン採用なので当然サイド落ちしてしまうと厳しい場面は想定されうるのですが、ポケモンについてはエール団の応援で山札に戻せるし、基本超エネルギーについてはサイド落ちケアで2枚採用しているので、その所在次第。2枚目を採用するのは過剰だと感じたため、1枚にしています。
 対面によってはマンタインを2回走らせることも想定して、つりざおを使うタイミングは慎重に判断しています。

勇気のおまもり 4枚

 これをつけることで、カビゴンがバーニングダークやダブルターボ込みトリニティノヴァといった180ラインのダメージを1発耐えます。
 ロトムVにつけることもあります。最近こだわりベルトの採用が減ってきているとはいえ、ベルトorハチマキ込みの190以上でロトムVが倒されてしまうとサイドを2枚献上するうえドローが不安定になってしまうため、安易にロトムVに森の封印石をつけるのは考えもの。
 ミミッキュにつけることもあります。
 ただ、まけんきチョッキとは異なり、おまもりはヒートタックルのような小さいけれど無視できないダメージを無効化することができないため、枠の一部をチョッキに譲ることも考えました。が、汎用性の高さを鑑みて、おまもりをフル採用としました。

ヒーローマント 1枚

 エーススペック枠はヒーローマント。ゴージャスマントの完全上位互換です。HPが100上がって、非ルールのカビゴンの耐久が250になるのはさすがに大きい。
 ジェットエネルギーとカウンターキャッチャーをそれぞれ4投しているため、プライムキャッチャーが欲しいとなる場面はさほど多くありません。もしプライムキャッチャーを入れるなら、この枠をゴージャスマントorまけんきチョッキにして、いれかえカートorジェットエネルギー4枚目の枠をプライムキャッチャーに替えるようなイメージではあります。

森の封印石 1枚

 最初の山札確認で有無を見ておきたいピン挿しトレーナーズ第1位。
 他のピン挿しトレーナーズは、

・いれかえカート⇔ジェットエネルギー
・すごいつりざお⇔エール団の応援やシマボシ
・ボスの指令⇔カウンターキャッチャー
・ヒーローマント⇔勇気のおまもり

 のように他のカードと役割が被っていて、ある程度の代用が可能だからこそピン挿しに留めているのですが、森の封印石だけは代用が効かないカードだからです。
 サイド落ちを考慮しない、シンプルでストレートな54枚デッキにおいて、1枚だけ異質な存在といえます。ピン挿しの4種のポケモンはそれぞれヒスイのヘビーボール2枚と併せて実質3枚体制なので、封印石だけが孤立している。かといって、対戦中1回しか使えないカードでもあるので、さすがに2枚採用は過剰だと考えています。

ペパー 4枚

 初手に使って盤面形成を安定させたいため、問答無用の4枚採用。ネストボールorヒスイのヘビーボールでロトムVを持ってきつつ、森の封印石でボウルタウンを持ってくれば、少なくともロトムVとカビゴン1体が場に並びますし、スタジアムを張り替えられなければ次の番以降の展開が安定し、山札圧縮にもなります。
 中盤以降もカウンターキャッチャー+どうぐ1枚に変わるので腐る場面がありません。いわば強化版ボスの指令。カウンターキャッチャーのサイド落ちと使用済み枚数のカウントは大事です。前述したように手札次第では、ポケギア3.0を持ってくる選択肢も頭の片隅には入れてあります。

野盗三姉妹 3枚

 はいどうも、野盗三姉妹、「野党三姉妹」とか「夜盗三姉妹」とか書き間違えられがち。どうも、ぬまくろです。
 当初は2枚にしていましたが、必要性を感じて3枚にした枠です。意図的に山札を削っていきたいのはグッズの多いパオジアンexやトドロクツキex、ロスト系統などですが、どの対面においても、こちらの盤面が完成していて暇さえあれば野盗を使ってます。この「ヒマ野盗」がけっこう強い。

ビワ 2枚

 このカードはかなり凶悪です。相手が勝機を窺っていれかえ系のカードを手札に貯め込んでいたとしても、問答無用でトラッシュに叩き落とします。
 そもそも相手の手札を見られる情報アドバンテージが大きい。次の番にエリカの招待を使うかどうかの指標になります。

ナンジャモ 2枚

 毎試合、初手にペパーを使えればいいのですが、10回に1回くらいは盤面にポケモンを展開できない手札事故を起こしてしまうものです。そんなとき、ペパーの次点としてポケギアで引っかかってくれると嬉しいのがこのカード。手札をリフレッシュして動くことができます。
 基本的にこのデッキは自分のサイドを取らないため、ナンジャモはつねに6ドローできる優秀なドローソースとなります。相手の山札の残り枚数次第ではありますが、相手のサイドが3枚や2枚のときに使って足止めしてロックを継続させ、そのあいだに再び相手のリソースを削りにいく、というようなこともあります。
 イダイナキバLOなど相手が相手自身の山札を掘りきるのが早い対面では、相手が先にピジョットVループに入った段階で、相手の手札+山札が6枚以下になるのを見計らってナンジャモを撃つと、ピジョットVがあっても相手を先にLOさせられるという小技もあります。

ボタン 2枚

 受けたダメージをチャラにする擬似回復+いれかえ札になるカード。
 ただ、カビゴンstallにおいてボタンを使う番というのは、相手のリソースを削れず守りに入ってしまうわけで、相対的に弱いと感じています。
 そこで着目したのがジェットエネルギーとの相性のよさです。おまもり系統と同時に貴重な入れ替え手段であるジェットエネルギーまで使い回しできれば、プレイの幅が広がります。54枚の有限のリソースを使って戦っていくデッキにとって、この足回りのよさは非常に快適。
 ジェットエネルギーで傷を負っていないカビゴンをベンチからバトル場に出して、ボタンを使う番を1ターン後回しにするという選択肢も頭に入れています。もちろん裏目を踏むことはあるものの、このジェットエネルギーによる受け回しで、なるべく早めに相手のリソースを削りにいきたいというのがこの構築の思想です。

エリカの招待 2枚

 相手の手札にロックすべきシステムポケモンがあるのがわかっていれば、最優先で使いたいカード。
 ただ、相手の手札が割れている場面は稀で、大抵はある種のギャンブルになります。
 こちらの手札にカウンターキャッチャーがあり、相手のベンチに呼びたいポケモンがすでにいる場合でも、その番にエリカの招待を使う余裕があるのなら、先にエリカの招待を使うようにしています。エリカで呼んだポケモンが縛れるポケモンであればカウンターキャッチャーを1枚節約したことになりますし、出てきたのが縛りたくないポケモンであれば、改めてカウンターキャッチャーで裏を呼べばいい。崩れたスタジアムやフトゥーのシナリオの存在を考えると、縛れるポケモンは場に2体以上いてくれるに越したことはないからです。
 起死回生の一発を狙える強力なギャンブルカードですが、当然ながら空振りもあり得ます。できることなら使わずに相手を詰ませにいきたいもの。だからこそ、このデッキではトラッシュという公開された領域を参照するマンタインの安定起動に重心を寄せています。
 まぁ、相手が上手ければ上手いほど、トラッシュに無駄なポケモンなど送ってくれないものなのですがね。しかし、どんなに上手い人であろうとも手札の巡り合わせというのはあります。相手視点、どうしても仕方なくトラッシュに送ったポケモンを、こちら視点、咎めたくても咎められない――という状況を作ってしまうのが嫌だったのです。
 サポート権を使う前に相手の手札を探る手段として、ルアーモジュールやスナッチアームの採用も検討していましたが、枠の都合で抜けてしまいました。とくにスナッチアームは、相手の手札にポケモンが1枚だけだった場合、山札に戻したくなくても強制的に戻さなければいけないという裏目があります。

スナッチアームのテキストには「のぞむなら」といった文言がなく、書いてあることには可能な限り従う=指定の数を必ず選びます。プレイヤーの意思で指定された数より小さい数字(この場合は0枚)を選ぶことはできません。

シマボシ 2枚

 実質54枚デッキにおける、貴重なリソース回復手段。
 多くの場合、ともだちてちょうを戻すカードになります。
 もちろん、次の番に早急に相手のベンチポケモンを呼び出したい場合はカウンターキャッチャーを戻すなど、臨機応変に対応していくことになります。
 どこまで行ってもコインに左右されるので、25%の確率で収穫ゼロのクソカードと化します。ただ、そくせきじゅうでんとの相性が非常によく、2回オモテが出た場合には好きなカードを2枚、確定で引き込むことができます。そこがエール団の応援との大きな差別化ポイントです。

エール団の応援 1枚

 ともだちてちょうの3枚目であり、すごいつりざおの2枚目。スタートデッキ100にしか収録されておらず馴染みの薄いサポートですが、じつは非常に器用なことが書いてあります。このデッキでは、サポートを2枚戻しつつ、状況によってマンタインやミミッキュを戻したりもします。シマボシと違ってコインに依存しないところも手堅くて安心。
 サイドに落ちると途端にリソース管理に気を遣わなければいけなくなり、シマボシのコイン2連続ウラがだいぶ痛手となるので、エール団の2枚目が欲しいとも感じます。シマボシ2枚目をエール団2枚目に替えてもいいかな……とは思っています。しかし、エール団の応援では、同名のカード「エール団の応援」を山札に戻すことができないのがネック。残念ながらサポートを循環させる永久機関は作れません。終盤に使いたいサポートを引き込めるよう強い山札を作っていくには、どこかでシマボシのコインに頼らざるをえない。となると、コインの上振れ込みで自在性と即効性の高いシマボシのほうが優先度は少しだけ高くなるのかな、と考えています。

ボスの指令 1枚

 カウンターキャッチャーの5枚目。
 状況によっては、カウンター状態でなくとも序盤から相手のベンチポケモンを呼んで縛り、展開の遅延を企図することもあります。
 手札に相手ベンチポケモンを呼ぶ手段がない場合、ポケギア3.0でペパーかボスのどちらかが引っかかれば呼べるようになるので、当たり札の嵩増しにもなっています。
 サポートなので、ともだちてちょうやエール団の応援を使えば確定で山札に戻すことができます。そこが、シマボシでしか山に戻せないカウンターキャッチャーとは異なる優位点。サポート権が余る場合には、カウンターキャッチャーよりも優先してボスの指令を使うようにしています。

ボウルタウン 3枚

 欲をいえば4枚入れたいカード。泣く泣く3枚にしています。
 10回に1回くらいはカビゴンが並ばない事故を起こしがちなデッキなので、たとえ改善する確率が微々たるものだったとしても、序盤の安定札はなるべく減らしたくありません。
 スタジアムなので、当然、相手の展開を助けてしまうこともあります。
 頂への雪道がスタンダードから消えてスタジアムの重要性が下がった現環境において、あえてスタジアムを使ってまで自分の動きを通そうとするには、相応の理由が必要となります。
 いつも一緒に調整してくれている友人の言を借りれば、ボウルタウンは「自分がプラスマイナス0、相手がプラス1になるカード」です。
 そんな難しいカードですが、ことカビゴンstallに限っては、意味合いが少し変わってきます。
 相手に相乗りを許すものの、相手視点、ボウルタウンで持ってこられるカードは限られるからです。システム系のポケモンは、出したくても出せないことがある。自分は自在に動ける一方で、相手は窮屈なわけです。
 また、序中盤にはコンセプトであるマンタインの急襲にも使えます。
 ビーダル型のように意図的に手札を減らしたりする必要がなく、そくせきじゅうでんで縦引きしていくデッキなので、3投していて手札に「詰まる」感覚はさほどありません。
 そしてコントロールの初心者視点、意外と重宝しているのが、ボウルタウンの「山札を見る」という効果。最初の山札確認で可能な限りサイド落ちは調べるし、どこかのタイミングでヒスイのヘビーボールを引いてサイドを直に見る機会はあるのですが、それでも「あれ? 山札にまだカウンターキャッチャーあったっけ」とか「つりざおあったっけ」と不安になる瞬間があります。そんなときは、ボウルタウンで山札を見て、サーチ対象が山札にあることを確認してから、ペパーなどを使うようにしています。若いうちは必要ないかもしれませんが、歳には敵いませんね。脳のリソースを節約し、石橋を叩いて安心材料を増やして、ストレス軽減を図っています。結果的にそれがスピードアップにもつながります。
 このデッキでは手札を多く抱える都合上、相手のナンジャモで必要札が山札の下に埋まってしまうことがよくあります。相手のナンジャモの返しに、ノーコストで山札を混ぜる手段としてもボウルタウンは重宝します。

ジェットエネルギー 4枚

 このデッキのアイデンティティー。前述してきたように、早期のマンタインの起動を実現させ、ボタンで使い回しつつ、ベンチに超エネをつけて待機していたミミッキュを急発進させていきなり殴り出すことも可能という、マルチファンクショナルな1枚です。
 カビゴン以外の4枚が逃げエネ1なので、にげるエネルギーとして使うことも。とくにピジョットVをジェットエネで前に出して1発攻撃を受けて、次の番に逃げて山札に帰るというプランは頭の片隅に置いています。CLの配信でイダイナキバLOを使っていた四天王バツローグさんがこの動きをしていて、強いなぁと思っていたのでした。

基本超エネルギー 2枚

 サイド落ちをケアして2枚。滅多なことがなければミミッキュにしか貼りません。山札確認で早めに見ておきたいカードなので、視認性を上げるためにVSTARユニバースのSRを採用しています。

今後の課題

 初めてということもあり、今回は使いやすさと安定性を重視してノイズとなるカードを外しましたが、今後はテンプレートを参照しながらイーユイexやピジョットex、オンバーンexなどのギミックを組み込んで試していきたいと考えています。テンプレは強いからこそテンプレなわけで、さらなる研究と練習が必要ですね。

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