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ほんま全然エモくなかった、だがそれでいい。Creepy Nuts ANN 最終回。

ごめん、白状する。エモ泥棒でした。

ちょうど1年前、ほとんど聞いたことなかった菅田将暉のANNの最終回だけ聞いて、菅田君がぼろぼろと泣く姿を見て(聞いて)もらい泣きした。それまでの経緯なんてなんも知らなかったし、スタッフやリスナーとの関係性なんかも知らなかったのに、人が泣く姿を見て自分も泣きたかっただけだったんだと思う。エモい空気に飲まれて、勝手に自分自身のもやっとした部分を発散させたかっただけだったんだと思う。

そんな姿を思い出させた、Creepy Nutsの最終回だった。過去の自分を恥じた。

最終回である冒頭から、R-指定さんも松永さんも、「おい最終回だからって初めて聞く奴ら!」と吠えた。「野次馬根性」「エモ泥棒」「なにか言及すると思うな」というような言葉をまき散らす。散らばった言葉が私に刺さる。やべ、1年前の自分じゃんって。

ちなみに、この言葉は土曜日のオードリーのANNの視聴者にも投げていたんだろうなと思った。春日さんがとあるテレビ番組で炎上して、それについて何か触れるかなって普段聞かない野次馬どもが群がっていた。その人たちにも向けてるんだろうなって。(ちなみに先日のオードリーのANNは東京ドーム公演発表直後だったのもあって、ふわふわうきうき、2人の関係性がより近くなっていたように思う。2人で野球見に行こう、とか尊すぎる。そんなラジオ聞かされたら、野次馬も好きになっちゃうと思う。狙ってたんだったら天才だと思う)

…話がそれてしまって申し訳ない。エモ泥棒の私、今回はしんみりしないぞと背筋を伸ばした。ただ、よくよく考えたら、今回に関しては私はエモくなって良いのである。少なくとも2年近くは聞き続けたし、違法アッ……も聞いたし。けど、全然、Creepy Nutsの2人からしんみりした空気が一切出てこないのである。本当にいつも通りのラジオだった。来週も、ありますよ、って感じに。てっきり泣くだろうと思っていた松永さんも、最後まで泣くそぶりを感じなかった。ラストも「あれ、時間余ってもうたな」って持て余してて、本当にただただ賢者タイムだった。笑った。

ただ、いつも以上に楽しそうなはしゃぎかたをしていたなという印象を受けた。私も楽しかった。松永さんのハガキ読みも磨きがかかって、イタいファンややべえファンを演じきっていた。ハガキも”いつも通り”で、狂っていた。もちろんこれは誉め言葉である。

みんな敢えていつも通りを過ごしていたように思う。リスナーも、ハガキ職人も、ハガキを選ぶスタッフも、それを読むCreepy Nutsも、湿っぽさがにじまないようにしていた。それがエモい、と言えばまあそうでもあるのだけど、最後の最後までエモさは全然感じなかった。

だけど、さすがに、「ここまでは、R-指定と」「俺」と聞いた瞬間、嗚咽してしまった。試合に負けた高校球児のように、腕を目に押し付けて泣いてしまった。自然と「うう~」と声が漏れていた。あまりにもいつも通りに終わったけど、来週からは聞けないのかと思うと涙が止まらなくなった。(加えてその直後のフワちゃんANN0で、フワちゃんと佐藤栞里ちゃんが優しい天使な言葉を投げかけてくれてより泣いた)
ニッポン放送のサブスクに入ればいつでも聞けるんだけど、そうじゃなくて、新しい2人のエピソードだとか、ふざけた掛け合いとか、HIPHOPの真面目な話とか、新曲の話とか、謎の小芝居とか、ド下ネタとか、Disとか、リスペクトとか、Rさんの父親宣言とか、松永さんの結婚報告とか、もう全部リアルタイムに聞けないじゃん。
それに、Creepy Nutsについてたハガキ職人とも会えなくなる。ハガキ職人っていろんなところに顔を出しているから、もう会えなくなるわけじゃないけど、パーソナリティによってテイストを変えていたりするから、『Creepy Nuts ANNのハガキ職人』ではなくなるわけで。それも寂しい。

番組の終了って、解散って感じなんだな。
秘密基地に集っていたパーソナリティ、スタッフ、リスナー、散り散りに去っていく。”聖地”に手を振りながら。

1つの拠り所がなくなった、それだけの話だった。私にはいろんな拠り所があるから生きていけるけど、どうしようもなく名残惜しいのだ。楽しかったあの場所に、時々思いを馳せるんだと思う。

音楽活動に注力すると言ったCreepy Nuts。ファンとしてそれを全力で応援する。だけど、時々でいいから、この秘密基地に遊びに来てね。その日が来ると信じることで、私は生きていける。

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