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「世の中を知らないサッカー選手」

J2の水戸ホーリーホックでGMをしている
西村卓朗です。

このタイトルにある言葉は、正確に伝えると、
自分の
「現役時代の悩み」
と、
「引退直後のコンプレックス」
だったということを先に告白しておきます。
また結論はこのタイトルとは違う内容になるということも、先にお伝えしておきます。
興味がある方は最後まで読んで頂けたらと。
長い文章は読めないわーという人のために結論に至る過程で大事になることを簡潔にお伝えすると
「多様性」と「交流」
になります。

まずは嬉しい出来事をひとつ紹介。
水戸ホーリーホックでは2018年からトップチーム選手向けの学ぶ場(  Make Value  Project  )
を企画して昨季で4シーズンが過ぎ、行った研修の数は100回を超えた。
その中で今季の大川精螺工業株式会社様のパートナー契約における大川社長のコメントは、非常に嬉しい出来事だった。

研修については素人の自分でしたが、
現役中、引退後を通じて感じてきたことを、
2018年より Make Value Project  という形で毎年ブラッシュアップさせながら、
ひとつの形を見つけて、ここに辿り着けた事は、
4年間この研修事業の内容を議論し、
運営をサポートしてくれた社内外のメンバーの
大きな功績だと言える。
この研修の本質は、
~自分の業界を~
~自分の仕事の価値観を~
~自分の仕事の使命感を~
相対的に理解することにある。
数年かけて、作った研修事業に対して、
その価値をスポンサー様に見出してもらえたことが、何よりも嬉しかった。

自分がしていることを多面的に理解するには、
当たり前だが自分の角度から見るだけでなく、
違う角度の人たちを知り、その視点を踏まえ
「相対的」に見ることが有効だ。
自分がやっていることを深く知るには、
自分の角度、視点からだけではどちらにしても、不十分だということ。
自分は大好きなサッカーの事をもっと、もっと
深く、知りたかった。
その一心で試行錯誤の中、今のやり方にたどり着いたのだが、さらに深く掘り下げたり、
様々な視野、視座をもつための取り組みは
この先もおそらく永遠に続いていく。

引退直後の自分の心境はというと、
世の中とか、社会とか、広い範囲の事を括られて、そこでの出来事を汎用的に語られても、狭い世界の中で、ずっと生きてきた自分からすると、当然実感値としては分からず・・・、
「知らない」ということにある種の恐怖すら感じていた時期があった。
だからある時までは自分の知っている範囲の中だけで動こうとしてしまう。
きっかけはVONDS市原で、今だから白状すれば
営業を目的に市原青年会議所に入会したことが、

「世の中を知らない」

という、この「なぞなぞ」を解くための入り口に入るきっかけになったと今では思う。

とにかく「世の中」、というものが分からないなりにも、入会したからには飛び込むしかない。
同世代、また年下の経営者のみんなと、
日中は、委員会での活動で、ご一緒し、
夜はお酒を飲み交わしながら、
お互いの業界のことをああでもない、
こうでもないと当時は語り合った。
自分の選手が、まさしく、さまざまな業種の方々にお世話になる中で、その会社の社長や、
人事の方に、呼び出されて怒られたり、
逆に褒められたりしながら、
そこでの特異性と、汎用性を少しずつだが、
時に温かく、
時に冷たく、
まさに温度感を持って「知る」機会が増えていった。
怒られるようなシュチエーションだけでは
なかなか気付かなかったが、仲良くなり悩みを
お互い本音で話しだすと、なぜか、共感できる。
「そう!」
悩みの種類には法則とも呼べる共通のキーワードがあったんだ。

「うちの若い社員たちは」、
「うちの頭の硬い中間管理職は」、
「うちの会社のお偉いさんは」、
という様々な階層の人たちに対して

「うちの業界しか知らない…」

という悩みにまつまるキーワードをよく聞いた。最初は、
「やばい、自分もだ・・・」
と肩身を狭くしていたが、
逆に、どんな業界も、立場も、
知っててその中で誰からも評価されている人なんているのかな???
という疑問が湧いてきた。
様々な業界でコンサルをやっている方にも、
その立ち位置からだとなかなか提案が刺さらないとか、人が動いてくれないということも良く聞いた。様々な業種で、ビジネスを一から立ち上げて成功しているごく一部のスーパーな人を除いた
大半の人は皆、
「自分の業界しか知らない」人たちなんだ。
自分もVONDS市原で監督とGM(営業、運営、広報、アカデミー、施設整備)をやったが、
規模が違う水戸ホーリーホックに来れば、
活かせるものもあれば、当然スケール感が違うから、マッチしない経験もたくさんある。
つまり同じ業種によっても、カテゴリーや、規模によって、極論で言えば「知らない」ということになるのだ。
なので、選手の立場で大事にするべきことは
「知ろうとすること」、
マネジメントの立場で言えば、
「知るということに触れる機会を構造として作ること」
そこで考案したのが、「交ざり合う場」を定期的に創出することだった。

先ほど伝えた、選手目線で大事な
「知ろうとすること」
というのは、具体的に何かというと、
他の業界(他の部署を含む)で、
違うものと、共通するもの、またそこに関わる方々の想い。
また自分の職務においては、今やっている事を日々、追求することに尽きる。日々変わらない、そのままの姿勢ではダメだ。
とくかく日々、高め、深め、広げようとする姿勢こそが、他の業界と違う次元でも繋がれることになる。他の業界を知ろうともせず、自分の職務で低く、浅く、狭いところにいては、なかなか共鳴は生まれない。
他の業界を、知るべき背景にはJリーグには多様な産業、職種のスポンサー様がいることで説明はつくはずだ。

結論としては、「多様な背景を持つ方々」と、
これからも「交流の場」を数多く作っていければ「世の中との連なりを実感値として知る選手」
を増やしていけるのではと!
今季もそれをしていけることに、
今はワクワクしている!!!

水戸ホーリーホックは1月27日から沖縄でのキャンプが始まりました。サッカー漬けの日々。本当にありがたい!キャンプ中はサッカーについて、色々な考えが巡ります。また何か考えがまとまったときには、noteを更新していこうと思います!



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