生成AIを使うと人はバカになっちゃうのか?

2022年、ChatGPTの登場により全世界に衝撃が走りました。こと、高等教育の教育現場では生成AIとどう向き合うか議論が白熱しました。

生成AIは革新的技術。ビジネスをはじめ社会で浸透していくのは確実であり、不可逆。それであれば積極的に活用して使いこなすべきだという意見がある一方で、学生たちが生成AIを使って論文やレポートを書いてしまう…それでは教育になりません。

東京大学の生成AI利用に関する指針を一部抜粋するとこのように書かれている。

「現状では生成系AIを用いて作成した論文・レポートであることを高精度で見出すことは困難な状況である。」

「論文やレポートなどの書面審査だけでなく、対面でのヒヤリング審査・筆記試験などを組み合わせ、本人が本当にその論文を作成したのかについても吟味する必要が出てくる」

こういった指針を定めつつ、教員・学生が正しくそれを理解し、ていねいに運用していくことが求められています。

さて、この件に関連して「生成AIを使うことで、人のスキル習得に悪影響を及ぼすのではないか?」ということについての研究があります。

アビリーンクリスチャン大学の研究者らが、21人にコーディング授業を受講中の大学生を対象に実験を行いました。学生たちは初心者レベルです。

ChatGPTとGitHub Copilotを使える環境であるプログラムの開発をお題として与えます。その取り組むようすを以下のように調査しました。

・アイトラッキング装置でコーディング中の視線の動きを記録
・考えていることを口に出して作業をするよう指示
・課題終了後にインタビューを行った

生成AIがスキル習得の妨げになったかどうか、その答えは「人による」でした。その分かれ目となったのは、コーディングが得意かどうかでした。

コーディングが得意な学生は、AIの提案を適切に取捨選択しながら効率的に課題を解きました。そしてAIを使いながらも知識を深めることができました。

一方で、コーディングが苦手な学生は、AIの提案に頼りすぎ、自分で考えるプロセスを飛ばしてしまう傾向にありました。それによって、自分の力でプログラムを書けなくなる危険性があると伝えられています。さらに、「自分はうまくやっている」と錯覚しがちだったそうです。

優秀な学生にとっては生成AIの活用は開発の効率も上がるし、学習にもなる。一方で、そうでない学生にとっては、かえって学習から遠ざけてしまう危険性がある。つまり、メリットとデメリットの両面性があります。

「何が優秀かどうかを決めるか」という疑問が残ります。その点は、生成AIをどういう姿勢で使うかがポイントになりそうです。

生成AIを部下にたとえるとわかりやすいかも知れません。

できる部下に丸投げしてその仕事についてわかろうとしない上司と、わからないながらも理解しようとする上司、どちらが仕事をうまくさばき、かつ上司自身も成長するのか…そう考えると後者だということになるでしょう。

当たり前といえば、当たり前の話ですが。

便利な生成AI、どのようなスタンスで使っているのか、一度振り返ってみると良いかも知れません。

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