全国1800自治体のITシステム共通化へー背景とその大きなメリット

政府は、全国約1800地方自治体が使うITシステムを共通化する方針を固めました。6月に策定する「国・地方デジタル共通基盤に関する基本方針」に盛り込む予定とのこと。

今回はこのニュースを解説します。

現状どうなっているのか…?

都道府県や市区町村などの自治体は現在、それぞれ個別にシステムを構築しており、なんと300を超えるシステムを保有する政令市もあるそうです。

新たな制度によって、それに関する新たなシステムが必要となったら、自治体が個別にシステム化の検討をし、開発・運用・保守まで担うことになります。

自治体横断で同じサービス、同じ業務も多数あるであろうことを考えると、かなりもったいないことになっています。

ITシステムに関わる人材確保の問題も出てきました。この30年で、自治体の職員は50万人減少しており、情報システム担当の人員不足はより顕著になっており、抱えるシステムの維持が困難になる自治体が出てくる恐れがあります。

情報システムの担当者が1人以下、つまりひとり情シスorゼロ情シスの自治体が300にも上るとされています。

そこで、今回のシステム共通化が動いているのです。

「ガバメントクラウド」と呼ばれる政府クラウドの基盤の上に、自治体が共通で利用するシステム、たとえば給付金支給システムや、学校事務システムといった各システムを政府主導で構築整備します。

その各システムを自治体が利用する形に変えていくというものです。

「みんなが使うものはひとつのシステムに集約してみんなで使う」という、まさにクラウドの基本にある考え方で、縦割りで重複しているプロセスをデジタルで横串で共通化するというのは、まさにDXのお手本のような動きです。

そのメリットを3つ挙げます。

・システムの効率化
ひとつの巨大なシステムに集約することになるので、システム関連費用が1/1800になるという単純なものではありませんが、少なくとも各自治体でのITシステム関連人材の負担と、自治体が個別に依頼しているITベンダーへのコストはかなり低減されます。

・システムの均一化
自治体ごとに規模感、ITベンダー、仕様なども異なっていたシステムを共通化することで、自治体によるシステムの差異がなくなります。サービスの機能、利便性、改善スピード、セキュリティの強度などが均一化されます。

・データの活用
自治体でバラバラになっていたデータが集約されることで、より多量のデータを統合・分析でき、それをもってサービス向上やシステム改善にいかせるようになります。

今回、給付金支給や学校事務が共通化の対象で、保育や介護業務も候補と伝えられています。

しかし、「地⽅公共団体情報システムの標準化に関する法律」では、それ以外の自治体業務の20の業務について、2025年末までに標準化とガバメントクラウド準拠システムの移行を完了することが義務付けられていました。

自治体側からは期間が短すぎると反発の声が上がっているのを受けて、自治体と協議しながら段階的に共通化を進めていくとのことです。

規模の大きなプロジェクトではありますが、自治体で働くみなさんの仕事がスマートになり、我々の日々の生活がよりよくなるであろうことを大いに期待できます。

このプロジェクトがうまくいくことを願います!

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