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クロスが壊れてからが本番です

市原さん:

聖闘士星矢,懐かしいです。弟と奪い合うようにコミックスを読んでいました。

当時のわたしの目には,かなり新奇な作品にうつりました。きっと多くの読者にもそうだったのではと思います。その独創性が「不協和音」として消え去るどころか,少年漫画の王道のひとつにまでなったのはいつ頃だろうか……と,先日からNetflixで新たにアニメ化&配信が始まったのを横目に,ぼんやり考えたりしています。

ふとググったら,最初のアニメ化は1986年ですって。
……33年前? うわ。

話題を変えましょう。

お手紙にあった「脳の脱臼」で,数年前の不思議体験を思い出しました。

歩道を歩いていたときのこと。あれっなんだか急に歩きづらいぞと思ったら,充電ケーブルよりやや太めの黒いワイヤーのようなものが左足に絡まっています。よほどうまく絡んだものか,足を軽く振ってもはずれません。んん? はずれないなと何度か足を振っているうちに,どうしたことか,このワイヤーに対して,まるで蛇と対峙しているような恐怖がじわじわと込み上げてきたのです。

これがもう,本当に怖かったのですよ。

だって,足に絡んでいるのはただのワイヤーだと,わたしは「すっかりわかっている」のです。なのに,何層か離れた場所から,別の私が「蛇!?」と声をあげ続けている。その声のボリュウムがだんだんと上がってきて。わたしの「これはワイヤー」という認知を脅かすほどに大きくなって。

まるで足に蛇が絡んだ人のように『うわぁっ!』と声をあげワイヤーを振りほどいたのは,果たしてわたしだったでしょうか。

わたしが私に乗っ取られたようだった,というと,ちょっとオカルト的というか病的な気配が漂いますね(自分でも「脳に何か……?」とヒヤヒヤしました)。「錯視」にも少し似た,脳で起こったエラーの類だったかと思っているのですが,「恐怖が追いかけてくる」とでもいいますか,物の認知と感情の処理が噛み合わないという,たいへん不思議な体験をしたのでした。

それにしても,蛇への恐れは本能だ(という説もある)そうですが,わたしの生存本能はこんなに周回遅れで大丈夫なのでしょうか。そもそも普通に歩いていて足にワイヤーが絡まっている時点でサバイブできる気がしませんけども。

いちはらさんにも,脳のエラーは起こっていますか。

追伸:そういえば聖闘士星矢でいちばん好きだったキャラクターは,へびつかい座のシャイナさんでした。いま思い出しました。

(2019.8.13 西野→市原)