半角カナ入り原稿を校正する日も近い

いちはらさん:

最初だけアコギを弾いたあと、「unpluggedはここまでだ」と言ってエレキギターをつないだ回です。確かロゴの"unplugged"の部分に、血文字のようなバツが付けられ……


た,楽しい。ライブで見てたひとは「ジーザス!やってくれたぜ!」って大盛り上がりだったでしょうねえ。

でもこれって「企画の大前提」を(初手から)吹っ飛ばしてるわけですよね。すごく強烈で面白いシナリオだけど,演者と番組スタッフは視聴者から「”Unplugged”だっつってんだろ」みたいな否定的な意見が出ることも込みで,この台本にGoを出したんだろうな……そう思ったら,ブルース・スプリングスティーンとMTVを応援したい気持ちが強烈に込み上げてきました。

我ながらチョロいです。

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半角カナといえば,先達から聞いたこんな「都市伝説」があります。


むかしむかし,とある編集者が専門書を作っていたときのこと。制作を進めるうち,全体のページ数が企画時に想定していたものを大幅に超える可能性がでてきました。このままではコスト増により,かなりの高額商品になってしまいます。

購入者のためには価格を抑えねば,かといって本文を削るわけには……悩みぬいた担当者は,ここで「禁じ手」とも言える技に出ます。なんと書籍中のカナ文字をすべて半角カナにし,1ページあたりの文字数を稼いだのです。

結果,ページ数と価格を企画時から「やや上回る」程度に抑え発刊できた,とのこと。

とっぴんぱらり。


……本当にあったことなのか,今となってはわからないのですが,カナ文字の頻出する分野の専門書なら効果的のありそうな荒技です。しかし発刊当時は「多少の違和感」で半角カナも受け入れられたかもですが,いま手持ちの教科書に ショック  とか書かれていたら,結構モニョりそうな気がします。

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かつて学んだ「脳の分業制」仮説に疑問符がつきはじめる感覚,わかります。最近わたしが「ええっ!」っとびっくりしたのが「フィニアス・ゲージ氏」のエピソードです。

仕事中の事故で鉄の棒が頭を貫通したものの,氏は一命をとりとめ,言語を含む高次機能にも障害は残りませんでした。しかし事故後,他者を思いやる優しさに満ちた「性格」が一変。あまりの粗暴な様子に「まるで別人だ」と評されるようになり,仕事もクビになってしまう……というお話。

初めて教科書で読んだとき,脳の,いわゆる「社会的機能」を司る場所が壊れてしまったからには,さもありなん,と納得していたのです。

ところが。最近でた脳関連の本を読んでいたら「その後,徐々に本人らしさを取り戻し,社会復帰を果たした」と氏が紹介されているではないですか。 ままままじで?!? そこ担当してる脳の構造が壊れたのに? なんで??  

「生存戦略上,機能は分散させたほうがよい」というロジックには合致する気もしますが……

神経回路,神経再生,神経可塑性

どうやら「脳機能」というやつは,自分が思い込んでいたよりも,ずいぶんと「ゆるやかな」「ネットワーク」で成立しているのだなあと,最近の「脳の話」を実に興味深く眺めています。


あっそういえば。むかしお世話になったラボの方々が毎年 “Human Brain Mapping” という国際学会に参加されていたことを,いまようやく思い出しました。最近の「脳地図」界隈ではその辺どういう話になっているのか,今度ぜひ聞いてみたいと思います。


*最後になりましたが「いっけん読書術」の本,こちらです。

お楽しみいただけたら嬉しいです。

(2020.3.5 西野→市原)