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2024.03 見たもの読んだもの

備忘のため、読んだり見たりしたものをメモしていきます。
なるべく感想も。
3月15日記録開始。

【本】
・男同士の絆 イギリス文学とホモソーシャルな欲望
イヴ・セジウィック
ホモソーシャルって言葉について、改めて原点を学ぼうと思い読んだ。
世の中そうだったんだなぁ、といろいろ納得。文芸批評だけど、私には実践的な内容だった。
それから、映画『アラビアのロレンス』のモデルのT. E. ロレンスが引用されていた。そんな文章を書いているとは知らなかった。

・心にしみる皮膚の話
大塚篤司

・徒然草
兼好
現代語訳 嵐山光三郎
室町時代の世相がうかがえるようなところがおもしろかった。
兼好は仏門に入っていて、仏の教えを説いたりしている。その一方で、現世を捨て切ってもいない。
それに、徒然草にはいろんなお坊さんが出てきて、みんなお酒も飲むし殺生もするし、武器を取って戦いさえする。
いろんな矛盾がある中で、それでも進んでいくような印象を受けた。徒然なるままに。

・デリカシー体操
ヨシタケシンスケのスケッチ集

・方丈記
鴨長明
現代語訳 三木卓
乱世の具体的な描写が印象に残った。
後半、小さな庵での風流な暮らしの描写があり、「これではまだ俗世を捨てきれていないじゃないか」と思ったら、最後に、そんな自分を省みるくだりがあって、腑に落ちた。

・目で見る進化
息子が読んでいた図解本。
ダーウィンの研究や生涯は、いろんな本を読んでも、いつも興味が尽きない。最期はミミズに音楽を聴かせていた人。

・エドワード・ゴーリーの優雅な秘密
カレン・ウィルキンソンほか
訳 柴田元幸
2018年に見に行った展覧会の図録。
ゴーリーの絵には、雄弁な陰があると思う。

【映画】
・パームスプリングス
2021
監督 マックス・バーバコウ

・うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーズ
1984
監督 押井守
街がカメに乗って宇宙を飛んでるっていう想像力がすごいなぁと思う。

・マスク 
1994
ジム・キャリー
キャメロン・ディアスの映画デビュー作

・近松物語
溝口健二
セジウィック的に読むなら、茂平の「出世したかった」というセリフが鍵かなぁ。好意の裏には権力欲。
そういうふうに見ると、ラストで引きまわされる2人の晴れやかな顔は、あの世で一緒になるつもりというより、大経師の主人はじめ憎らしい輩を破滅させてやったからなのかもしれない。
茂平の1番の狙いは、おさんではなく、主人では?

・スパイの妻
2020年
黒沢清

・アネット
2022年
レオ・スカラックス
人生について、懸命に考えた結果の映画だと感じる。だから、丸く収まる結末はない。
ミュージカル映画。歌い手たちの内面を写した歌には、人間の弱さが滲み出ている。その犠牲になったのが、主人公ヘンリーの娘である幼いアネット。彼女は誕生の場面からずっと人形なのだが、終盤になってようやく、生身の人間(子役)になる。それは、ヘンリーがアネットを直視できるようになったということなのだろう。しかし、人間になったアネットはヘンリーに、「あなたにはもう愛するものがない」と言い、去っていく。
すでに起きてしまったことに対する後悔と反省と愛情を形にした作品のように思った。


タイトル画像は、今朝、南禅寺にて。
徒然草で兼好さんが、「花は咲く前と散ったあとがよい」と言っていたので、ほんの咲き初めの桜を見てきた。


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