システム素人がkintoneと仲良くなるまで

先日、Cybozu Days 2021のkintone AWARD 2021に登壇させていただきました✨

"AWARD登壇者"というと、何だか「kintoneを使いこなしている人」「システムに強い人」に思えますが…全くのシステム素人、kintoneもまだまだひよっこです。

せっかくの機会ですので、そんな私がkintoneと出会い仲良くなるまでをまとめてみました。                           *ちなみにnote初投稿なので、読みづらさ等は生暖かく見てやってください…

◆kintoneと出会う前

kintoneが導入される前、私は毎日げっそりしていました。hiveやAWARDを聞いてくださった方はお察しかと思いますが、当時はとんでもないお化けExcelとイタチごっこの日々だったのです。

私は人事部で主に新卒採用業務を担当していますが、関わりのある学生さんの情報をExcelで管理していました。1年度あたり約1000人のパーソナルデータから接触歴までを管理したそれは、250列×1000行のお化けとなっていました。                               *hiveの時にダミーデータ入りの実エクセルを見て「これは絵巻物Excel…」と称された方がいましたが、本当その通りですよね(笑)

お化けExcelの管理権を得てからは、絶対いらない項目をこっそり削りに削りましたが、それでも250列という手強さ…。申し訳程度の数式を入れたりもしましたが、到底太刀打ちできず…。

出社して、250列×1000行のデータがぐしゃぐしゃに混ざっていた時(Aさんの行なのにDさんのデータ、BさんにHさんのデータというカオス)は、本当に心が折れそうでした。心の中で泣きながら、2日かけて復旧させました。

いくら復旧させても、根治じゃない。それはわかっていました。でも、1人ではどうにもできない状態でした。

◆田中さんとkintoneとの出会い

一緒にAWARDに登壇した師匠・田中さんが、そんな私たちの状況を見かねてヒアリングを重ね、2019年1月にkintone導入を進めてくれたのです。

と言っても、失礼な話ですが当時の私はkintoneに対して懐疑的でした。田中さんがこの状況を変えようとしてくれているのは十分理解していました。

ですが「きんとーんって なに?」状態の私には、kintoneで変えられるイメージが全くつかなかったのです。

弊社の採用は、少し変則的です。6年制の薬学生の採用を行うため、最も長い場合は初接触から入社まで6年かかります。平均値は3年程度ですが、一般の採用に比べると長期間です。また、国家資格職ですから、国家試験に関する対応もあります。

当時、そんな疑問や不安を田中さんへたくさん投げてしまいました。ですが田中さんは、「何を目的としたものなのか?」「そのデータをどう活かしたいのか?」など 1つ1つ私に逆質問したのです。

また「これは本来の仕事じゃないし、この状態は我慢するようなものじゃないから一緒に変えよう」と真剣に言ってくれました。

ここで「これだけ変えようと動いてくれている。kintoneはよく分からないけど、やってみよう」と思ったのです。

◆はじめてのアプリづくり

”お化けExcelをどうにかしたい!”、”せっかくのデータをちゃんと活かしたい!”そんな思いはあったものの、実際どうすればいいのかさっぱりでした。

そこで、田中さんに手伝ってもらい、お化けExcelを無理やりカテゴリ別に分けて読み込ませ、14個のアプリを作りました。出来上がったのは、お化けExcelが14分割されただけに近いアプリでした。             *しかもこれ、1アプリを親にして、残りの13アプリをルックアップで繋ぐ形式でした

手間がかかりすぎ、スムーズに運用できる予感はなかったですが、これ以上減らせる気もしませんでした。しかも、この間にも学生さんの母数は増え、さらに日々お化けExcelは壊れます。正直、手詰まりでした。

◆ターニングポイント

「やっぱり無謀だったのかな」。そんな暗い顔をしていたのだと思います。田中さんから「kintoneのワークショップに行こう!」と告げられました。2019年3月のことです。

ワークショップでは「せっかくの機会だから」と、”ここを変えたい”、”こんなことがしたい”をとにかくサイボウズの社員さんに伝えました。

すると、笑顔で「このアプリもっとまとめられます!」の一言。さらには「大丈夫!絶対にもっともっといいものにできますよ!」。そして、いくつかのアドバイスをくれたのです。

お恥ずかしい話ですが、私がしていたのは、ただお化けExcelをkintoneに移植していただけだったのです。そりゃあ、いいものが出来るはずもないです。だって、kintoneの特徴や良さを理解していなかったのですから。「やってみよう」などと言いつつ、まだまだ本気で取り組めていなかったのです。

このワークショップがなければ、今の状態になるまでに何十倍も時間がかかるか、最悪諦めてしまっていたかもしれません。

また、この時田中さんが突然「3年後の2022年には、西川にhiveに出てもらいますので!」と爆弾発言をし、目を見開いて2度見したのは、今ではいい思い出です(笑)

◆kintoneと仲良くなるために

そこからは、とにかくkintoneを触りました。最初は、よく田中さんに質問していました。

*恥ずかしながら、調べようにも、当時の私には適切なキーワードすら解らず、なかなか調べられなかったのです…

悩みに悩んで田中さんのところへ行くと「何でもっと早く来ないの?時間がもったいないし、遠慮せずにどんどん来て」と。

また、質問に行くと絶対に間をおかず即対応してくれたのです(なんと最長の"後で"でも、たったの十数分…!)。

田中さんの主業務は当然、私の相手ではありません。忙しい中、間をおかずに丁寧に対応してくれ、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。田中さんがいなければ、今はなかったと思います。

基礎が理解できてからは、同じ項目を複数の違うフィールドで作成して書き出したり、様々なExcelデータをcsv読み込みさせてどのフィールドが当てられるのか確認したり、パッケージアプリの設定や構成を真似てみたり…。

そこで浮かんだ疑問を、Webでkintoneの先輩方の知恵を借りたり、サイボウズのサポートの方に尋ねたり、田中さんに相談して解決する…というサイクルを繰り返しました。

並行して、同僚や先輩と本当に必要な項目や、目的・フローを話し合って、ようやく何とか運用できるレベルの7アプリにまとめることができたのです…!

余談ですが、この7アプリを今見ると本当に粗削りで、"私も少しは進化できてるんだなぁ…”と何だか感慨深いです(笑)

◆作って使って、はじめて分かった

そうして出来上がった7アプリを、ついに実務で使用しました。

最初は「同時に複数人で編集できる!」「履歴が追える!」「簡単に壊れない!」など、感動しきりでした。(自分としては)苦労して作ったアプリですから、満足感もありました。

ですが、部署メンバーの一部の反応は少し鈍いものでした。

そう、kintoneをはじめて触るメンバーには、まだまだハードルのあるアプリだったのです。メンバーからすれば、”Excelよりは多少使いやすい”程度のものだったのかもしれません。

次第に、 ”多少使いやすい” は  ”使いづらいけど扱い慣れたExcel” に負けるようになりました。あまり触れてもらえない、kintoneアプリがあるのにExcelデータが作成される等の事態になったのです。

当然、悲しさと悔しさがありました。ですが、同時に目が覚めました。「まだまだkintoneの良さを伝えれていないし、活かせていない」と。

また、自分でも実際に使用してみて、改善点やもっと取り入れたいことが見えてきました。いい意味で、どんどん欲張りになりはじめた時期だと思います。

そして、改善点とやりたいことを盛り込んで大改造し、2020年の夏前、ついに2アプリにまとめることができたのです。このアプリは、反応の鈍かったメンバーにも喜んでもらえました。

アプリをはじめて作成してから1年半。ようやく、真の意味でお化けExcelから抜け出し、kintoneと仲良くなれた瞬間かもしれません。


今回はここまで…!次は、hiveとAWARDの話をできればと思っています。