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関西演劇祭2023全上演感想/劇団イン・ノート『KAN・KON・SOU・SAI

劇団イン・ノート『KAN・KON・SOU・SAI』ゲネプロ。

これはエライもんを見ました。
かん・こん・そう・さい にまつわるいろんな景色を、
ピカピカの演技と演出で、タコ殴りにしてゆく45分。
是非ご覧いただきたい!

劇団イン・ノート『KAN・KON・SOU・SAI』初日。

冠(成人式)、婚(結婚)、葬(葬儀)、祭(盆)にまつわる4つの物語を、つぎつぎに演じてゆく、演劇と命の喜びに満ちた素晴らしい45分。

ひとつひとつの物語の発想、俳優の演技の力強さ、演出のキレ、全てが素晴らしいのですが、
もっとも素晴らしいのは、それらがピタリと組み合わさって機能することです。

例えるなら、
一つ一つの細胞や体液や神経回路がぴたりと合わさって機能したとき、
突然すべてがつながった一個の生命体となり機能し始めるような。

そんな、生命誕生の奇跡そのままの喜びが、
45分間ずっと行われる、
そんな舞台でした。

私達は客席で、ひとつひとつの物語を楽しむと同時に、
すべてが見事に機能するという生命活動の輝きと喜びを、
浴び続けることになります。

その結果、
「冠」も「婚」も「葬」も「祭」も、すべてのエピソードが
生命の祝福に満ちた人生讃歌としての結末を迎えるのでした。
意外にも、「冠」が、孤独な闘いを描くエピソードなのですけれど、
それも、強く輝く生命を感じさせます。

冠婚葬祭の要素は4つ。
出演者の数が4人。
それはDNAを構築する塩基の数と同じなのでした。

素晴らしい舞台でした。

私にはまだ解きたい謎がありまして、
それは、4人の出演者による4つの物語であるにもかかわらず、
4人の衣装の模様が「月」と「太陽」の2種類なのです。
きっと何かメッセージがあるはず。
あと2回みて、その謎を解き明かしてみたいと思っています。

劇団イン・ノート『KAN・KON・SOU・SAI』2ステージ目。

2回見てもますます面白い、
ピカピカで熱く切なく哀しく面白く、あっという間の45分。
明らかに、もっとずっと、いつまでも見ていたくなるように作られています。

おそらく人生も、
何度生きても面白くて熱く切なく哀しく面白く、あっという間で、
いつか終わるとわかっていても、
それでももっとずっといつまでも生きていたくなるのでしょう。

なぜ4つの要素の物語を、2つの要素の衣装デザインで演じているのか、
私にはまだわからないですが、
それはそれとして素晴らしいデザイン。
月と太陽、白と黒、陰と陽、
そのふたつの組み合わせで、無限の多様性が生まれているからかなあ。

あと1回、
私達観客は、『KAN・KON・SOU・SAI』の宇宙を生きることができます。

劇団イン・ノート『KAN・KON・SOU・SAI』3ステージ目。

ゲネプロから数えて4回目の観劇に至っても、
隅から隅まで面白いという天国感。
見ている間、全ての1秒において、ずっと幸福な時間が続く。
切ない時も、悲しい時も、なぜか幸福なのです。

その魔法のような芝居を堪能しました。

話が進んで「ああそういう筋書きなのか」と理解したり、
見終わって「いい結末だった…」と感動したり…
という風に楽しんだ要素もありますが、
それよりなにより、常に見ながら、どの瞬間も面白い。

1秒前の出来事から、今の1秒へと移り変わる、
その移り変わりが面白くて幸福な、
まるで最高のご飯を味わっているような演劇です。

すごいきっかけの量ですから、もちろん
演じるのは簡単ではない。
稽古場での作業も、間違いなく簡単ではない。
なのに、演じている演者たちが、
疲労や苦痛に耐えている様子は全くなく、
ミスしないように緊張している様子も全くなく、
ここまで仕上げてきた膨大な努力を誇る様子も全然なく、
ただただひたすらずっと、
演じる瞬間の楽しさと幸福を味わっているのです。

新しい世代の光を見ました。
いいなあ。

イン・ノート、餓鬼の断食、KIMYO の代表たち。未来を歩く輝かしい3人。

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