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関西演劇祭2023全上演感想/劇団カチコミ『賽』

劇団カチコミ  表彰式オープニングアクト公演 『賽』ゲネプロ。

今年の夏、関西演劇祭の参加劇団よりもさらに若い「あらびき」な劇団たち4団体によるフェスティバル
『関西演劇祭ネクストジェネレーション』が開催されたのです。
その参加劇団のひとつ 劇団カチコミ による上演作が、
関西演劇祭2023の表彰式オープニングアクトとして上演されました。

私はスーパーバイザーとして、審査員の皆さんが受賞劇団を決める審査会に同席していましたので、上演本番は見られなかったのですが、
ゲネプロを拝見いたしました。

母親ロボット(後ろ)と、それをつくった若きエンジニア。

最高に面白く、思い切りわらってドキドキして、心から楽しみました。

人間を改造ロボットにする技術が発達し、そして禁じられた時代。
違法改造によって母を延命させようと試みるも、
その母の心までは復活させることのできなかった主人公。
彼は違法改造を行った重犯罪者として当局に逮捕され、6000年(⁉)の刑を受けて収監される。
しかし持ち前の技術で、監視のわずかな時間の隙をついて自分の体をバイク形態に改造して脱獄。
逃亡かなわず追手につかまり絶体絶命となったその時、心をもたぬはずの母親ロボットが自発的に起動し、自爆によって主人公を守るのでした。

──というSFアクションなのですが、
途中の真剣な闘いを「お題をもとにした即興劇で拍手をたくさん貰ったほうが勝ち」などで描写し、随所にとことん自由な展開が守られていて、
すごく楽しいのです。

改造バイクになった主人公と、それを操縦して一緒に逃げる協力者の囚人。
追ってくる当局の男、3人によるチェイスバトル! すごく良いです。

この若い作品が、
表彰式のために正装してあつまった10劇団の前で、上演されたのです。
なんとファンタスティックな祭りでしょう。

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