親知らずを抜くのお話(2009年11月)

フォロワーさんが親知らず抜いてるから、昔のブログ記事発掘してきましたた。2009年の記事です。



この話は、基本ぬるいお話ですが、 痛い話が嫌い、歯医者が嫌い、将来親知らずを抜く予定がある という方は読まないことをお勧めします。 無駄にだらだら長いので、お暇な人だけ追記へGo。


そもそも私が左下奥にある親知らずを認識したのは一年以上は前。 当時は「うわああ、ついに噂の親知らずが」と思ったものですが、親知らずを抜く原因の多くが「虫歯のなりやすさ」であるのに対し、私は虫歯にならない体質。歯もかなり頑丈なんです。 なのでたかをくくって放置。そのつけが回ってきたのはつい先日のことです。

「なんか腫れてて痛い」 親知らず周辺が熱をもって膨らんでおり、しかも痛い! 気づいた時には既にかなりの痛みを持っており、膨らんだ歯肉が歯と歯の間にあたって満足に咀嚼ができなくなっていました。酷い時は喉も腫れ、風邪の時のように唾液を飲み込むと激痛が走ります。 これは不味いと思った私は歯医者を調べて予約を取ることに。

ちなみに親知らず処置のポイントは「口腔外科」を取り扱っている歯科医に行くことです。 まず初診でレントゲンを。そして見せてもらった歯は、見事に真横でした。 しかも上に歯肉が覆いかぶさり、先端だけが斜め下から隣の歯を押し上げていました。頑張りすぎだろ。

ここで教えていただいたのは「親知らずで大変なのは下の歯の抜歯。上は楽勝」なんだそうです。 ただ私の歯は非常に頑丈で、根元が下顎神経近くまで行ってまして 「これ、破れるとぴゅーって噴水みたいに血が出て死んじゃうから(笑顔)  普通の歯医者さんじゃまずやってくれないね。大学病院に行ってって言われるレベル」 と説明されました。

先生がいい笑顔なので私も笑顔で「あっははははー」と相槌を打ってみた。先行きが怪しくなってきたぞー。 しかし嫌なことは先にしてしまう主義です。先生がここでやれると仰ったということもあり、その日のうちにお願いしました。

「やると熱でて腫れて物とか食べたりできないし、完治まで二週間かかるから、何か予定があるならその後にした方がいいよ」 って言われましたが「今日お願いします」って笑顔で申し込みました。 さて、抜歯の始まりです。

まずは麻酔。3回に分けての麻酔でしたが、1回目の麻酔がちょっと痛かった。 よく氷を食べるとキーンときますが、あれを「もうやめてー」って思ってるのに氷を口の中に押し込まれ続けるような感じです。 実際そんなことをされたら死にかねませんが、注射なので死にませんでした。

麻酔が効いたかな、というところで次に親知らずの先端部分を砕いて取るという作業が開始。 なんというか、工具としか思えない万力的存在が歯をがつっと。 痛みはありませんでしたが、何かががっしり歯を捕らえるという感触はぞっとくるものですね。 歯ってやっぱ骨の一部って気がするよ! 骨を直接なんかが掴んでる!

そのまま何かでガツガツガツとアタックが始まりました。うわー、彫刻作ってるみたい。 正直、かなり気持ち悪いです。 この時点では目を閉じてなかったので、看護士さんが時折突っ込むガーゼがすごい勢いで血に染まっているのが見えます。 しかも痛みはないけど衝撃は伝わる。ガツガツガツと上から横から何かが刺さってくる。こえーよ!

「早く終われー」と念じていたところで、喉に割られた歯が飛び込んできました。 ぐえっと思ったところを先生がピンセットで拾い上げて前半終了! 「5分後残りの半分取るからねー」と。 この間に看護士さんに「私、血塗れですか?」と聞いてみました。 私の顔に飛び散った血を拭っていた看護士さんは「そうですねー」といい笑顔で。ありがとうございます。 先生の手袋も血塗れでした。

しかしこれ、出血がひどいと麻酔がどんどん解けちゃうらしいんですよ。 それに気付いたのは後半戦開始の時。 歯肉を切開して、埋まってる根元半分を砕いて取り出す時のことです。 再びやってきた先生。ここから私は目を閉じました。 そしておもむろにペンチのような道具を口の中に・・・・・・残り半分をがつっと掴み、捻ります。

あああああああああああああああ、何これえええええええええええ!! 気を失えるならその方がいいと思いました。 神経が通っている骨を、掴んで捻って引っ張り出す。これ感覚できるとすげえ! 痛いなんてもんじゃない! ピンポイントで歯の根元に成人男性の全力がかかってるわけですから。

痺れに似た痛み、痛みに似た痺れ。 それらが渾然となって、剥き出しにされた神経を直接ぐいぐいひっぱられているような激痛に襲われました。 生理的に泣いてごめんなさいしたくなるレベル。痛いし、場所的に「あってはならない」気がする。 まだ麻酔が残っててこれですからね。本当はどんだけ痛いの。

しかし私、歯医者の経験がほとんどないので「痛いです」って弱音を吐いちゃいけないと思ってたんです。 えー、耐えました。もう無理かもって思って耐えました。 でも明らかに顔が歪んだらしくて先生が「痛い?」と。すんません、実はありえんほど痛いっす・・・・・・。 ここで麻酔を一本追加してもらいました。

再開時、同じがつっとした感触があったんですが、今度は痛みがありませんでした。 そして凄い勢いでガツガツしていく先生。阿修羅像か何か彫ってるんですか、って聞きたくなるくらい。 もう首を押さえている手がめちゃめちゃ食い込んでいるんですよ。 ああ、絞殺される時ってこんくらい強い力がかかるんだろうなーと妙にしみじみしてしまいました。

それにしても痛みがないだけで、がつっと掴まれ引っ張られる感触はそのままです。肉がぶちっという感触もそのままです。わーい。 私、なまじ歯が頑丈なので抜くの大変なんですよね。がっつり生えてるから! ともかく残り半分も何とかもぎとってもらった私は、傷口を縫ってもらって完了!

みるみる血が出てくるのでガーゼ噛んでてね、と。何かハッスルすると太い血管がプチーんといくんで、安静にしてなさいといわれました。 そう、親知らず抜歯の地獄はこれからなのです。

麻酔が切れるのは術後1-2時間後。 痛み止めを貰って飲みましたが、まず喉が痛い。死ぬほど痛い。唾液が飲めない。 それに付随して舌の根元もじんじんと腫れてます。当然縫われた周辺も。 目を閉じると口内を血液がドクドクしてるのが分かるんですよね。しかもすげー痛いよ! 穴がある! っていう感じ。

抜いたほうを下にして寝ると血が溜まってしまうので、 横向きで寝ながら、ティッシュペーパーに血が混じった唾液を吐き続ける、というのを半日やりました。 顔は外も内も熱を持って腫れ、顎を触るとしこりのようなものが感じ取れます。 気持ちも悪いし、何も食べれない。その日は薬とコーラだけしか取りませんでした。

痛み止めが効くのは約4時間。それが過ぎると泣くほど痛みが襲ってきます。 が、基本的に先生の腕がいいんでしょうね。時間の経過と共に痛みが和らいできて、今は痛み止め飲んでればほぼ無痛です。 いやー久しぶりに痛い思いした。 もう8月は前半ひどい風邪だし、後半これだし何と言うか、はい。すごい夏だった。 ともあれ、そろそろ通常営業できそうです。 先生、看護士さん、そして温かくもぞっとする体験談をお寄せくださった皆様、ありがとうございました!


読み返したら妙なハイテンションだった。抜歯ハイ。
投稿時間が11:54:09だったので、翌日昼には痛みが引いていたようです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?