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アドリブ・ブルースが現代人を救うとき。2

アドリブ・ブルース=デザイン思考を効率的に高める最善の方法


ぼくは毎日30分以上のアドリブ演奏に取り組んでいる。

目的は、自分のクリエイティビティの開発のため。

世の中には他にもたくさんのクリエイトのチャンスがある。ウェブにはビジネスのクリエイト事例が星の数ほど紹介されているし、クリエイティビティやデザイン思考についての書籍も山ほどある。

だから、クリエイティビティを身に付けようと思うなら、巷にチャンスは溢れていると言って良い。そういったチャンスを捕まえて学べば良いのだろうけど、おそらくアドリブ演奏の体験者は皆口を揃えて言うだろう。


「アドリブ演奏で生まれるヒラメキの瞬発力に比べれば、ビジネスの企画発想なんて、もたもたしてて退屈だ。」


アドリブを行うにはいくつかのファクターをデザイン思考によって同時的に結合する必要がある。

①コードに乗るスケールは何か
②自分の持っているフレーズ(手グセ)
③リズムから導かれる、生み出したい曲調

ぼくの場合はこの三つの要素が主なものだ。

これらがリズムという時間的な規制の中で瞬発力をもって展開されるのがアドリブ・インプロビゼーションだ。

この特殊な思考訓練を毎日続けた時、脳では何が強化されているのだろうか。

明確に言えるのは、そこで高められているのが音楽スキルに留まるものではないということだ。

アドリブ演奏を可能にする知識は、コードとスケールのごく基礎的な知識だけだ。ところが、この知識を身に付けたとしても、満足いくアドリブ演奏が可能になるのではない。逆に、コードとスケールの知識がまるでないとしてもアドリブ演奏可能だ。

実際、みらいびらきLabo.で行なっているブルース・セッション・セラピーでは、コードとスケールの理論なしに初心者に開始後20分ほどでピアノでアドリブ演奏を行う音楽セラピー・プログラムを開発している。

つまり、アドリブ演奏を行う時、そこで主に働いているのは音楽理論に関する知識ではなく、訓練によって獲得された特殊な思考プロセスなのだと言える。

そしてその思考プロセスこそ、瞬発力を伴ったデザイン思考だ。


音楽インストラクターの中には、これに反対する方もいるかもしれない。なぜなら彼らは音楽の言語でアドリブ演奏について説明しなければならないという足かせがあるからだ。

彼らは、アドリブ演奏をするときの思考プロセスについての術語より、音楽の術語で現象を説明しなければ、自分の専門性を証明できないと考えていることがどうやら多いようだ。そのため、ブルースのアドリブ演奏の必要とされるシンプルな知識を敢えて難解に語りたがる方が多い。みらいびらきLabo.では20分で済むことに月単位の時間をかけるのはそのためだ。

それはさておき、ぼくはデザイン思考を高めるためには、アドリブ演奏よりも効率的なトレーニング方法はないと考えている。

では、このようにアドリブ演奏を、瞬発力を伴ったデザイン思考の訓練と見たとき、どのような脳力が強化されているのだろう。

次回はそのことを考えてみよう。

参考: みらいびらきLabo.のBlues Session Therapy

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