「イノベーション全史」を読んで

同書の著者 木谷哲夫氏が言っていることの一部を紹介します。
日本の高炉メーカーと東京製鐵のようなミニミルの闘いの行き着く先は高炉メーカーの終焉とミニミルの成長のどちらが先になるかは『鉄』と言う素材から他の産業界が離縁できるかにかかっている。これまでは自動車、造船、橋梁、高層建築、家電等の厳しい要求に高炉メーカーは応えて来た。
その過程で高炉メーカーは技術開発に励み、本家の米国鉄鋼メーカーを衰退させて来た。日本製鉄㈱はUSスチールを買収・子会社化することができるようになった。私が新日本製鉄㈱に入社した頃はUSスチールやアームコ社等に出来て、新日鉄に出来ないこともあったので隔世の感ありです。然し、カーボンニュートラルが高炉メーカーの前に立ちはだかった。その壁を乗り越える技術としてミニミルメーカーの技術が不可欠と言う説もある。
わが国の重厚長大産業は品質を高めることに夢中になり、過剰品質体制に気付かず、データの改ざん等の不正行為が蔓延している。
名古屋製鉄所で働いている頃、熱延加熱炉の熱量原単位が向上せず、製鉄所の燃料バランスに齟齬が生じていた。その原因を調査すると製鋼部門と熱延部門の間の生産前提に不一致があることを突き止めた。それを両部門の管理者は無視し、所の管理部門も見過ごしていた。「日本製鉄の転生」と言う本に橋本社長(当時)が徹底的な調査分析をして高コスト体質を改めたと書いてあったが、私が気付いた点を抉り出したのかな??
名古屋製鉄所に2700億円もの投資を行い超ハイテン製造拠点にするようですが問題点のあぶり出しは中途半端であると危惧しています。橋本社長には何度となく問題点の指摘をしたが、一度もヒアリングをされないのがその証拠だと思っています。その責めは橋本会長や今井社長に帰するので楽しみにしています。

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