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膝のスポーツ外傷のお話

膝の大きな怪我の代表枠で業界では「不幸の 3 徴」とも呼ばれるほどの怪我があります。スポーツ時に多く出現し、複合損傷により日常生活で著しい機能制限が見られます。
そもそもなぜ「不幸の 3 徴」ともよばれるのかについてですが、
膝の内側靭帯、内側半月板損傷、前十字靭帯損傷は、痛め方が同じ形で
「ニーイン・トゥーアウト」と呼び、膝が軽く曲がった状態で内側に入り、脛に対しては外側に捻りの力が加わることで起きると言われています。
今回は一挙、側副靭帯、十字靭帯、半月板の損傷を解説していきたいと思います。



膝の内側・外側側方靭帯損傷


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膝関節の動きは本来曲げ伸ばしの前後方向の動きがメインになります。
そして膝関節の横の動きを制限し保護しているのが内側、外側の靭帯になります。比率としては内側が外側に比べて痛めやすいと言われています。

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どのような人に多い怪我かというと、ラグビーやサッカーなどの相手選手との接触プレー時に転倒し起こるもの(接触型)やバレーやバスケなどのジャンプ着地時に不安定な状態で着地(非接触型)した際に起こることが多いと言われています。
上記の通り、ラグビーなどのコンタクトスポーツでは相手が外側からタックルをした際に膝が内側に入りそれを我慢しようとこらえる際に足が外側に向くことで膝関節に側方+捻りの力が加わり損傷するケース。

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ジャンプ着地の際に膝が内側に入り、前・後十字靭帯損傷・内側側副靭帯損傷・
内側半月板損傷・軟骨損傷の負傷。(元バレーボール日本代表:清水邦広選手)


バスケやバレーボール場合、特に多いのが女性で骨格的に X 脚の方が多く、膝が内側に入りやすい状態でジャンプの着地の際に膝が内側に入っていくことで損傷を起こすことがあります。
上記の痛め方は、この後の記事でも紹介する、半月板損傷、前十字靭帯損傷も同じ状態で起こるので是非覚えてほしい内容になります。



側副靭帯損傷の場合、膝を曲げた際に痛みが見られることが多く症状がひどい場合、歩行中や曲げた時に抜けるような感じがすると訴える方もいます。

内側側副靭帯損傷の場合
 内側関節部に一致した圧痛、腫張、熱感、
 荷重にて外反動揺性(X脚のような)が認められます。
 受傷直後は関節血腫が、慢性化すると水腫が存在します。

 I度:動揺性(健側と比較して)はなく、靱帯部の圧痛が主である
 II度:伸展位の外反動揺性(-)、30°屈曲位で外反動揺性(+)
 III度:伸展位の外反動揺性(+)、30°屈曲位で外反動揺性(+)


外側側副靭帯損傷の場合
 膝外側側副靭帯損傷は単独で損傷することは少なく、膝後十字靭帯損傷や 
 膝外側半月板損傷などの怪我を合併損傷
していることが多いです。
 また、膝後方関節包と呼ばれる関節を覆う組織も同時に損傷することが
 あります。

重症度が高いものでは顕著な不安定性を訴えることがあり、場合によっては半月板、前十字靭帯損傷などの合併症も見られることもあります。
患部の状態としても靭帯部分を押すと痛みが出現し、腫れや内出血が確認取れることもあります。


当院で行う「側副靭帯損傷」の治療は、問診等で体や患部の状態をチェックし、内側靭帯損傷のテストや、そのほかに考えられる合併症の検査を行い病態の判断をしていきます。
症状の度合いによっては、患部のストレス軽減を目的としてテーピングやサポーターなどによる固定を行い、重症度が高い場合は荷重がかからないように松葉杖による免荷歩行の指導を行います。
その後、痛みや損傷部分修復の度合いによって筋力強化や運動動作指導を行い改善を目指します。

※重症度が高い完全断裂の場合(特に今後も競技を続けるアスリート)は手術による治療をお勧めいたします。



前十字靭帯・後十字靭帯損傷


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前十字靭帯は関節のなかに存在し、大腿骨の後ろから
脛骨の前側にそってくっつく靭帯 になります。


引き続き「不幸の 3 徴」である膝(前・後)十字靭帯損傷の解説をしていきます。
前十字靭帯は関節のなかに存在し、大腿骨の後ろから脛骨の前方にそってくっつく靭帯になります。脛骨(すねの骨)が前方向にずれることを防いだり、膝のねじれを制御したりするなど、膝の安定性を保つうえでの重要な役割を担っています。
前十時靭帯損傷は非接触プレーでのジャンプ着地時や急な方向転換時に膝関節の捻りの度合いが強い事で起きやすいと言われています。


サッカーの試合中、味方にパスした後、方向転換をしようとし右足を着地した際に
膝が強く内側に入り負傷。(元イングランド代表:マイケル・オーウェン選手)


前十字靱帯損傷が起きた直後は、激しい痛みで動けなくなることが多いです。その際、「ぶちっ」という鈍い断裂音(ポッピング音)が聞こえることもあります。
受傷後は、膝関節内血腫が約70%に生じるため、受傷直後に動くことができていた方であっても、時間が経つにつれて痛みや腫れが強くなり、だんだんと動くことができなくなってきます。

ただし、損傷の程度によっては出血が起こらないこともあります。
このような場合には、検査をしても診断がつきづらく、前十字靱帯損傷が見逃されてしまうケースも少なくありません。
受傷から約2〜3週間が経過すると、膝関節内に溜まっていた血液が自然と体内に吸収されてくるにつれて、痛みや腫れが治まってきます。
歩くことも可能となり、日常生活に支障がない程度にまで改善することもあります。

しかし、症状が改善したからといって、前十字靱帯損傷が治ったわけではありません。
放置すると膝が安定性を失い、頻回に膝崩れなどが起こります。

冒頭でもお話しした通り、前十字靱帯は膝の安定性を保つために非常に重要な役割を担っています。そのため、前十字靱帯を損傷したまま放置しておくと、膝の緩みが残った状態になります。
前十字靱帯は関節内に浮いた状態であるため、血液が供給されづらく、生体自身の力で修復することは困難です。そのため、一度損傷した前十字靱帯は、手術で新しく作り直さない限り治ることは難しいといわれています。


当院で行う「膝の十字靭帯損傷」の治療は、問診等で体や患部の状態をチェックし、患部のストレステストや、そのほかに考えられる合併症の検査を行い病態の判断をしていきます。
症状の度合いによっては、患部のストレス軽減を目的としてテーピングやサポーターなどによる固定を行い、重症度が高い場合は荷重がかからないように松葉杖による免荷歩行の指導を行います。
その後、痛みや損傷部分修復の度合いによって筋力強化や運動動作指導を行い改善を目指します。

※重症度が高い完全断裂の場合(特に今後も競技を続けるアスリート)は
 手術による治療をお勧めいたします。


半月板損傷


次に「不幸の 3 徴」と呼ばれる怪我の 3 つ目になる半月板損傷について解説していきます。
半月板とは膝関節の中に内側と外側に存在し負荷を分散しクッションとしての緩衝する役割を果たすものになります。
半月板の構造として半月板は内側と外側に1枚ずつ存在し、内側が薄く、外側が厚くなって います。
断面をみると三角形になっていて、上から見ると内側の半月板はやや大きく、 アルファベットの”C”の字のような形をしています。外側半月板は幅が広くほぼ円形の形を しているのが特徴です。

また半月板損傷は痛みや動きが改善されたとしても損傷した半月板自体の自己修復がほぼ不可能と言われています。
その理由として半月板は、血液の流れにくいというが特徴で、縁(ふち)に沿っての損傷であれば多少の修復の見込みはあると言われていますが、完全に修復されるわけではありません。
また、高齢者では加齢などにより明確な受傷機序がないにも関わらず損傷が 起きていることもあります。

組織の修復は炎症(出血)がおきることで回復されますが、
半月板は30%ほどしか血行が存在しないため、修復されにくい。


半月板の損傷は単独での損傷が珍しく、前十字靭帯損傷や内側側副靭帯損傷の合併症で起きやすいと言われています。
症状の解説として上記でも記しましたが、 半月板は主に膝の緩衝作用(クッションの役割)を担っています。その部分で損傷が起きると損傷している半月板部分に荷重がかかるために痛みが発生します。
半月板は軟骨の損傷になるため出血量はそこまでひどくないため、膝の腫れ自体もそこまで目立つものではありません。

原因が様々であるため、損傷の形も様々で形態により変性断裂(加齢による影響)、水平断裂、縦断裂、横断裂に分類されます。損傷の状態によっては放置すると、さらに関節軟骨を傷めることもあります。

半月板損傷の分類

半月板損傷の特徴的なのが膝の屈伸にてコクンと膝か引っかかるような音(クリック音)が 確認できるほかに、 症状がひどい場合、膝をある程度曲げていくとある角度によって鍵がかかったように ロックされる症状も見られます(ロッキング症状)。
そして、前十字靭帯損傷と同じく膝崩れ現象も見られます。

通常の外側半月板


円盤状半月板

その他に、人によって生まれつき外側の半月板の形が違い円盤状型になっている人もいます。 そのような場合、通常の半月板と比較して損傷を受けやすい特徴があります。


 当院では半月板損傷が疑われる場合、徒手検査、およびその他の合併症の損傷レベルを確認いたします。
損傷レベルが軽度、あるいは日常生活の制限が軽度の場合は保存療法にて介入開始としていきます。徒手療法による筋肉・関節に対するアプローチや筋力強化、身体動作指導など で改善に努めます。

尚、合併損傷の可能性や受傷度が高いと判断した場合は 精密検査(MRI)を行える病院に一度受診していただきます。
治療の経過途中で定期的に関節内に水が溜まる状態が続き、ロッキング症状が度々みられる場合は手術をお勧めいたします。

前述記載のとおり、本症例は血流循環が乏しい組織のため、損傷した場合、自己修復が困難と言われております。
局所的な腫れや痛みが改善されてもロッキング症状が残ってしまうと、その後、変形性の膝関節症に悩まされることになります。


当院では「不幸の 3 徴」と呼ばれる症例に対して、受傷後の予後ケアも含めて治療と考えております。
これらの症例は、変形性の膝関節症に移行しやすく、局所症状の改善後も予防を念頭にしっかりケアをすることでその後のADLの支障を少なくすることができます。
膝関節は、立位時・歩行時に多くの負荷を支える重要な関節となります。
その支えが弱まったり、無くなった場合、その他のカラダのパーツで補わなければなりません。
カラダのバランスや姿勢の悪化により腰痛や肩こり等を引き起こすことがあるかもしれません。そのようになる前に当院でしっかりケアしていきましょう。


当院では局所的な症状をクライアント様のカラダ全身を診て、日常姿勢の修正から症状の改善を目指しております。
そのために、必要な運動や日常生活でのカラダの使い方などをアドバイスいをしております。
ご来院の際は、当院独自の治療メゾット「施術×トレーニング」でお身体の変化を実感して くださいませ♪


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