認知症と診断されたから認知症?

ひまわり

認知症は、現在でも根治困難な病気です。正確に言えば、認知症は症候群です。なので、認知症をもたらす病気で発症し、症状がでると進行していくといった方が正しいです。

治らない認知症はそのまま放置していいのでしょうか。そうではないですよね。認知症を早期で発見することは様々なメリットがあります。

このお話はそんな早期に認知症を発見したAさんの物語です。

Aさんは若くに夫を亡くし、子供もいないため独居生活です。しかし、Aさんの周りには友達が沢山いて日々の生活を楽しんでいました。

ある日、Aさんは何となく思考に霧がかかるような、説明できない状態が現れるようになりました。

何だか覚えていないといった不思議な感じのようです。覚えていないといった状態ではなく、霧がかかっている感じです。覚えているような、覚えていないような感じです。

Aさんは思い切って認知症の詳しい人に相談するのです。その詳しい人は有無を言わず病院に受診しなさいと言うのです。

Aさんは忘れないようにメモをして、受診の予約も済ませ信頼のおける義姉と一緒に認知症外来を受信しました。

一通りの検査を済ませ、医師はAさんの顔を見ることなく「初期の認知症じゃないですか」と発言しました。認知症のお薬を処方され終了です。

Aさんは認知症という診断をされ「ほっとした気持ちになったそうです。その反面、診断されただけでこれからどうしたらいいのか不安になりました。

知り合いのケアマネージャーに相談しました。すると、ケアマネージャーはAさんの心配ではなく、認知症のことを心配し、「独居生活は辞めた方がいい」と言い放ったそうです。

認知は!認知は!無理だよ。認知は!とまるで呪文のような会話をされAさんは気持ちが沈んでいくのです。

Aさんは「認知症なんて診断されるんじゃなかった。私は私なんよ。認知症の人して生きていかなあかんの」と泣きながら話すのです。

このAさんの物語は失敗例なのでしょうか?何が問題なんでしょうか?認知症になると人生が終わってしまう。早期診断で早期絶望の典型例です。

早期に認知症を発見するとメリットは沢山あります。

①今後の残された人生をどう生きるか考えることができる

②他の認知症に類似した疾患の精査ができる

③今後に起こりうる症状の経過に備えることができる

④前もって、認知症に関連する専門家や支援者とつながることができる

メリットをあげれば沢山あります。

Aさんはこのままだと早期診断されたメリットを逃してしまいます。

このような悲しい物語にしてほしくはないと思います。

周囲の方が、認知症の正しい認識を持っていれば、診断された日から、何もできない認知症のAさんという認識にはなりません。

いずれあなたも認知症、それなら今のうちにそのような偏見は無くしていきたいです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?