シン・ウルトラマン 感想

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今年の注目作であり公開以降賛否両論の映画シン・ウルトラマン観てきました。鑑賞直後の感想は「面白くないわけではないけど、ちょっとこれは・・・」という感じ。議論の余地がかなり多くある映画だなという印象でした。

良くなかったポイントは多くの人が挙げているような登場人物の描写というのもあるのですが、一番は画面から透けて見える製作費のなさ。「シン・ゴジラ」の大ヒット、庵野秀明のネームバリュー、アジアを中心とした海外で人気を持つウルトラマンという素材、ここまでの要素がそろっているにもかかわらずぎこちないCGやシーンによって大きく異なる画質など画面からはお金がかかったようには見えず。ここにお金をかけなければ他にかけるところはないだろうと期待していただけに、日本映画のどん詰まり感をまざまざと見せつけられたような気がしました。

お金という根本的な部分が目立ち、なにやら世知辛い気分になる映画でしたが、もちろん良かったところもありました。
一番のこだわりといえるウルトラマンの造形。無駄のそぎ落とされたしなやかなボディラインとそれを際立たせるメタリックの質感、アクション面でも空中での回転蹴りや夜の街上空の飛行など、怪獣のある種の暴力的なアクションでは見られないものになっていました。また、今作で再認識したことが〝人間がいきなり巨大になる〟という映像的な面白さ。ウルトラマンなのだから当然であり、そもそもの根源的な魅力なのですが、劇場でウルトラシリーズを観たのが初めてでテレビでしか見たことのなかった僕にとって大画面でそれを体験できるというのはこれまで感じたことのなかった感覚でした。
怪獣についても良かったところが。それは、設定を加えることで既存の怪獣を新鮮に見せているところ。例えば、「シン・ゴジラ」ではゴジラに〝形態変化する生物〟という設定が追加されたことで、これまでのゴジラシリーズファンでもゴジラをほとんど知らない観客と同じように楽しむことができました。同様に、今作では元の「ウルトラマン」でのガボラとネロンガの着ぐるみを使いまわしている、というエピソードを〝体の一部をアタッチメントのように付け替えることができる生物兵器〟という設定として付け加えることで、すでにウルトラマンを知っている観客でも新しい感覚で楽しむことができるようになっていたと思います。

全体でみると少し残念な印象の映画でしたが、部分ごとの良さはしっかりとあり、嫌いにはなれない作品だなと感じました。予告が発表されている「シン・仮面ライダー」や、今作の興行次第で製作されるかもしれない「シン・ウルトラセブン」に期待できる内容だったと思います。
あとはしっかりした制作体制と十分な制作費ですね・・・



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