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自動車に必要とされるもの、実はいらないもの、本当に必要なもの(ダイハツ・ミラトコット)

こんにちは。いつもワケ知り顔で「分かったようで分かってないちょっと分かった」気になっているなんもわかってないのりたまδです。3年ぶりに我が家に新車がやってきました。(現行ジムニー以来)真っ当で極めて日常的な自動車がやってくるのは実に20年近く前の初代ホンダ・フィットまで遡りますでしょうか。JB64で使い勝手に難癖付けようもんならもっと不便なジムニーに乗ってる人間からの非難の嵐は避けられないでしょうが、ジムニーはいくら乗り心地が良かろうがジムニーなので常識的な自動車にはなり得ないんですよね。
いやそれはどうでもよくて。


最新!普通の軽自動車、ミラトコット

側面にドア4枚あるの、やっぱり便利です

何故か売れてないぜ、ミラトコット

ご存じミラトコットは2018年にあの[どの?]ミラココアの実質的な後継として発売され、ジーノやココアに比べて可愛くないだのミライースと比べるとあからさまにデザイン料が載ってて高いだのCMがアレだのなんだの言われ、それを表すかのような運転手の年齢層やなんか売れてるんだか売れてないんだかみたいな遭遇頻度の軽自動車。ちなみに2022年12月の月間販売台数、及び2022年の年間販売台数のデータはこちら。一見「タフトより売れてんじゃん!」と言いたくなるところですが、ミラという表記の通りミライースと合算なんですねえ〜〜!
いい車だと思うんですけど、ライバル的なスズキのラパンと比べるとわかりやすい可愛さとか色々イマイチひと押しに欠けるのか、あんまり売れてません。内装がラパンの方が可愛いという意見を見かけたことがありますが、あんだけベージュで揃えといてよく触れるステアリングスイッチとかウインカーレバーは黒ってどうなのよ、と思っています。

全高が低いぜ(?)、ミラトコット

馴染みのないものを基準にしても何も伝わらないという例

まあ普通の軽自動車なので別になんも取り立てることもないんですが、しいて普通の一般第三者目線から言うなら全高が低い。いや全然低くないんですけど、同社の軽自動車で比較すると

ムーヴ、タフト…1,630mm
キャンバス…1,655mm
タント…1,755mm
トコット…1,530mm

とトコットは結構低め。いや全然低くないんですけど。でもGoogle検索したら「トコット 低い」って出てきたり調べ物はしないけど他人の口コミはめっちゃ見る系の人が参考にしてそうな後悔だの短所だのを論ったブログを見ると「加速が悪い値段が高いダサい低い狭い」とこれまた散々。広いに越したことはないでしょうが、あの走る冷蔵庫の如き背の高さをどうやって活かすのか、その辺体操座りでこぢんまり座るのが好きな自分がまだたどり着けていない世界ですね。N-BOXとかタントなんて満員電車みたいに立ったまま乗れそうですよね。

ターボがないぜ、ミラトコット


そうそう加速が悪いって言われてますがターボ付きのグレードがないんですよね、この車。720kgの車体に52馬力の3気筒NAエンジン(KF-VE型)の組み合わせ。非力かっていうとそんなこともない気はしますが、人は強欲な生き物なので金銭でもパワーでも余裕はあればあるだけ嬉しいものです。トコットはその辺「ちゃんと走るならそんな余分なもんはいーのよ」って人にオススメできる感じの車ですかね。リミッター当たってもまだ行けそうな雰囲気はしますがどうだか。
よくターボMTがあれば……と言われますが、ターボがあればはともかくMTがあってもその投資に見合う売れ方をするとは……思えないなあ……だってよく引き合いに出されるエッセとか中古になってから人気出たタイプじゃないですか。結局MT出せ党の皆さんの大半は所詮「中古で安くなったらおこぼれに与ろう」という考えでしかないので出したとて新車の販売台数にこの人達の分は微塵も乗ってこないんですよね。MTしか乗ってこなかった世代の方々には多少売れるかもですけど。
出さなきゃ売れませんが、数売れなさそうなものを出すのはコペンで精一杯なんではないでしょうか。というかコペンよく続いてますよね。ロードスターもそうですけど継続は力なりってやつですかね。

安全装備が微妙だぜ、ミラトコット

最新の車といえば安全装備ですが、例に漏れずトコットも衝突軽減ブレーキなどのスマートアシスト付き。ただし車線逸脱は警告のみで逸脱抑制制御はなし。我が家には車線逸脱警告装置による勝手な操舵制御に対する憎悪が並々ならない人間が住んでいるため、これが無いお陰で選択肢に上がったとも言えます。よかったね
トコットのスマートアシストは「スマアシⅢ」と呼ばれるものですが、現行のダイハツでの採用車はトコット以外だとイース、キャスト、ムーヴ、ムーヴカスタム、ブーンの5車種。一方タフト、キャンバス、タント、トールはACCやレーンキープアシスト付きの新型「スマアシ」を搭載。つまりスマアシⅢ搭載車はダイハツにとって最早そこまで重要視していない車種という意思の表れとでも言ったところでしょうか。 ムーヴはそれでも売れてますが。

ココがいいトコ、ミラトコット

いいトコって言ってもまあ普通の車なんですけど

燃費がいいぜ、ミラトコット

これ、2~3Lくらいかと思いきや実はまだ7Lくらい残ってます 

基準が低いというのはありますが、それにしてもよく走ります。少なくとも20km/L、WLTCは言うまでもなく、流れのいいトコを行儀よく走る分にはJC08モードの公表値すら見えてくるレベルの燃費。一応イースがベースではありますが、燃料タンクは2駆でも4駆でもイースの4駆と同じ30L。35くらいは……と思わないではないものの、燃費を考えれば十分。

シートがいいぜ、ミラトコット

不快に感じる硬さや使い古した低反発枕のような柔らかさはなく、欧州小型大衆車のようにしっかり中身の詰まったシートといった趣 フランス車よりはフィアットの方が近いかも

シートは本当にいいですね。布シートです。車停めてから1時間半くらいそのままTwitterやってられるくらいの布シートです。“素”のイタフラ車というのが好きな人はきっと気に入りそうな“い〜い感じ”の布シートです。素晴らしいですね。日本人は〜とか言うとアレなんでやりませんけど、そもそも「革」は高い車に使われているので高級で、高級なのだから安い車にも使われているような「布」より優れているもの、みたいな刷り込みが過剰にあるように思えるんですよね。布は安っぽくて革だから安っぽさがないだの高級感があるだのなんだのと、ファッションの一部に近く見栄えを気にするようなスペシャリティカーであるならまだしも、実用の道具の極みである軽自動車に対してもそういうまやかしにまんまと引っかかった価値観で評価を下しているのを見るとなんとも言えない気持ちになります。材料が高けりゃいいってもんではない。かつて我が家にあったW124でさえ布だったので、こうして革シートの必要性や意味がわからないまま成人を迎えました。革はステイタスってとこでしょうか。もしくは「オシャレは我慢」とかそんな感じか。教養があれば革の必要性も分かるんですかね。
ちなみに生涯座った中で1番心地よかったシートは前席がルノー・クリオウイリアムズ、後部座席はシトロエン・ヴィザです。シートは布であれ。

何が必要なのか、というか本当に必要ですか?


一般の方や顧客から出てくるトコットに対する不満の中には、スーパーハイト系の軽自動車やリッターカーの隆盛によって生まれたものが多くあると思います。
荷物と人をより多く、余裕を持って快適に乗せるための広大な居住空間、衝突軽減ブレーキに誤発進抑制機能やレーンキープアシストなどの先進安全装置、備えあればなんとやらと言うように素晴らしいと思いますし決してそれを「いらないから安くしろ」などとは言いません。言いませんけどこう……ありませんか?買ってから手放すまでの間にほとんど使いもしない装備、使いもしない空間。でもないよりはあった方がいいよねと積もり積もって余分なものがいっぱい“充実した”車。走った方がいいからとターボを付け、あったら役に立つ時がくるかもだからと色んな警報や安全装備を付け、広い方がいいからと室内高を高くし……もちろん余裕があるに越したことはありませんし、「不便を享受しろ」などとは天地がひっくり返っても言いませんが。
よくよく考えればなくても困らないようなものさえ過剰なまでにあれもこれもと詰め込みに詰め込んだ果てに出来上がったそんな“充実装備の自動車”は、その詰め込み技術に敬服こそすれども、あんまり褒められたものではないのではないかと思いますがねえ。

みんな軽でも三車三様の在り方。


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