見出し画像

初めてのマイカー、フィアット・チンクエチェントに1年乗って思うこと

昨年(最早一昨年になりつつある)の7月28日に念願叶って人生初のマイカー、フィアット・チンクエチェント(500ではない)が納車され、1年が経った(追記:2022年11月28日に手放しました。)ので振り返りも兼ねつつ色々書きます。7月中旬に書き始めていったい何ヶ月寝かせてるのやら。何事も投げっぱなしの中途半端なオタク人生。

フィアット・チンクエチェント 

そもそもこんな車を選ぶに至った経緯(検討~購入編)

“こんな車”って別に車そのものをDisっているわけではなく、“四半世紀前”の“左ハンドル”の“MT”の“並行輸入”の“イタリア車”という属性は世間一般じゃ『こんな車』扱いだよなあという意味合いです。異常者の選ぶ車。異常者いうてもTwitterのbioに「鈴菌感染者(グリーン化税制対象外のスイフトやアルトワークスに乗りながら)」とか「🦂(🐍)の毒にやられ〜」って書いてあるとかそういう類いの異常者ではありません。

まあそれはさておき、一応この車に行き着いたのには理由がありまして
まず初めてのマイカーの大大大前提条件としてあったのが

『親の車を譲り受けるにあたっての練習車としていい感じのやつ』

だったんですね。端的に言ってしまうとそのための踏み台。親の車を譲り受けるのは10歳くらいからの既定路線でした。誕生日毎に「あと◯年で免許取れるな!免許取ったら俺の車やるわ!」が口癖の父親。気長すぎか?

親の車。小学生の頃、友達の親のアルテッツァの方がすげ〜スポーツカーっぽい見た目で羨ましかった(実話)

それにあたって車に求めた条件が

  1. MTであること

  2. 左ハンドルであること

の2つ。つまり輸入車。
とんでもない金持ちとかの家庭にでも生まれてればリトモアバルトとか205GTIとか5GTターボみたいな7~80'sの王道ホットハッチ、なんなら新車のアバルト595なんて選択肢もあったでしょうがそんな金はない。ないので自ずと選択肢はググッと絞られます。
旧すぎず新しすぎず半端な年代のやつ……となるとこれが案外見つからない。なんでかっていうとウーノターボじゃちょっと古いし、ティーポは球がない、でもそれより新しいプントとかになると右ハンドルだし、106/サクソは高くなりつつあるし、パンダ1とかアルファロメオっていうガラでもない……
うーんうーんと無い頭で散々考えたのりたまδが最終的に試みたのはGoogleの検索窓に「90's fiat car」と打ち込みエンターキーを叩くこと。
そうして出てきたのはプント、バルケッタ、クーペ、ウーノ、ティーポ、レガータ、パンダにブラーヴォ(ブラビッシモ)と見慣れた面子ばかりで今更これといったものがあるわけでも…

あるわけでも……


あった!!!!!!!!!

名はフィアット・チンクエチェント。とはいっても500ではなくcinquecentoで、正規輸入はされておらず並行輸入オンリーで入ってたとか。中古車情報サイトを開いたところ3,4台ほどの中古車が見つかりました。グレードは色々あるけど基本的にはスポルティングか、そのスポルティングにラリーカーと同じスピードラインのホイールやツェンダーのエアロなどが奢られたスポルティング・アバルト(以下スポアバ)の2種が中古車ではもっぱらメイン。
でその3,4台ですが

  1. 赤。スポアバ。やすい。これだけエアバッグ付き。

  2. グレーメタリック。スポアバ。やすい。(後に別の店で特に状態変わった様子もなく倍の値段がつけられて修復歴がなくなる。魔法使いさんであられる?)

  3. 赤。スポルティング。たかい。走行2万キロだけどパッと見ほんまか?みたいな雰囲気。

  4. 黄色。スポアバ。お金も手もキチンと掛けられてそうな綺麗さ。ぶっちゃけ3よりたかい。

実は1が1番価格的に現実的だなあと思いつつバイトに励んでいたのですが突然掲載終了し絶望。正直この時点でチンクエチェントは半ば諦めモード、他の車について考え出していました。

  • 他の車リスト

    • フィアット・パンダ2 4×4クライミング(プラス):正規輸入でいてLHD+MT。個体数まずまず。価格帯も悪くなく、見た目も好み。ただもしスポーツ感が欲しくなってしまったら?

    • ルノー・クリオ2 RS:これまたLHD+MT。まだ安かった。強いて言うならフェイスリフト前が好み。逆にこっちはスポーツすぎる?

    • トヨタ・MR-S:もういっそ右ハンドルの国産にすれば色々安上がるのでは?という発想の元浮上した選択肢。これもまだ安かった。深緑/タン内装の後期はどストライク、しかし流石に本末転倒では?

と元々移り気な性格もあって出るわ出るわ。しかしどれもこれも一長一短で帯に短し襷に長しといった感じでこれといった答えを出せないままアレもコレもいいなあと思うだけ。
それを見かねてかなんなのか、25年以上昔に新車で買ったデルタに乗り続け、母親の足車という名目で押し通し中古でW124を買い、その代替には新車のジムニーを買ってイジり倒しては休日の度にキャンプに出かける100億%好みだけで車を選んできたような父親からありがたいお言葉を頂戴しました。

「1番好きなやつにしいや」

やかましいわ!!!
改めてカーセンサー、グーネットを見るとチンクエチェントは先程の2,3,4に加えて黄色のスポルティングが新たに出ていました。正直どれもなんか壊れればひっくり返る程度の価格差でしかなく、こうなると仕様の好みという理由で4一択になりました。

となると気になるのは4の程度。実はこの4の個体、免許取る前からあったんですよね。つまり最低でも3年以上の長期在庫。そこそこの値段で見た目に難もなさげとはいえ、中古車の値段なんて高いから安心というものでもないですし、なによりそれだけ長いこと在庫してるのはそれなりの理由があるのでは?と素人目にも感じ、なんか出てこないかとお店の名前をググるとアメブロとYouTubeが。幸運なことにYouTubeは半年以内にその車両の紹介動画があり、アメブロはほぼ毎日更新という形態だったので記事検索してみた結果、

  • 直近5年以上在庫

  • 問い合わせや商談自体はちょこちょこあった

  • 長期在庫といっても寝かされてるわけでなくちょこちょこドライブや通勤などにも使われていて放置という感じではない

  • 前オーナー(1年所有)所有時に結構色々やってある

  • YouTubeの動画では高速道路を走行。特に問題もなさげでエアコンも動作。

これだ!!!!!!!!!

…と、買いたい“モノ”が決まり、お次は直接現車を確認して……と言いたいところですが「どうせ買うんならその(現車確認)分の交通費が勿体無いでしょ」という母親の言葉で現車確認はなし。そういう問題?

ところで、遠方のお店から買った車の納車は一体どうするのでしょうか?調べてみました!

1.まず飛行機に乗り、電車を乗り継いで神奈川まで行きます!

ちなみに溝の口が最寄り駅だったんですが2回連続で停まらんやつ乗って通り過ぎました(照)

いかがでしたか?
そんな訳で直接取りに行って乗って帰りました。(父親同伴なのでなんとかなるの精神)
やっぱりまあ折角の初マイカーだし店にあるとこ見たいじゃんと思って……つい……

家に帰るとじんわりと実感がやってきますね

そんなこんなで何事もなく家まで帰り着き、待望のマイカーライフの幕が開きました。

納車1年で起きた事(些細なものも含む)

多少程度が良かろうが前オーナーに手をかけられていようが中古車は中古車なので、大なり小なり何かしらは起きるワケです。なんか書こうかと思ったけど大事件が起きたわけではないのでダイジェストでどうぞ

  • ルームミラーが落ちる(納車翌日)

  • マフラー(テールパイプ部後端)が落ちる(納車1ヶ月ちょっと)

  • オイル漏れ(納車5ヶ月くらい)

しかしまあミラーが落ちた程度のことすらここに書くくらいには絵に描いたようなイタリア車のトラブルらしいトラブルは顕在しなかった(ぱっと見見えない機関部で不動にならん程度の“前兆”に至っている可能性が全くないとは言えない)ということですね 壊れたのを嬉々としてTwitterのネタにできるタチの人間ではないので壊れないのが1番です。そもそも小さい頃から家にあった「巷で宇宙一壊れるだのなんだの言われてた車」がてんで壊れなかったもんで「イタリア車が壊れる」という実感って全くないんですよね。免疫もない。まあドアノブとか色々もげたりキーシリンダーすっぽ抜けたりプラがベタベタになるとかギアがめちゃくちゃとかそういうイカれた壊れ方する車が存在するのは事実ではあるので、そういう車を選ばなければ多分無問題です。

チンクエチェントの良かったところ、気に入ったところ

鮮やかな黄色、ジアッロ・ジネストラは日本でいうところのエニシダだそうな。ちょうちょみたいな花弁がかわいらしいお花。花言葉は「謙虚さ、奥ゆかしさ」

山ほどあります。それはもう山ほど。本当にいい車なんですよ。影薄いけど。だいたい番外編みたいな扱いだけど。110の65周年記念のフィアットピクニックじゃ顧客様の312はともかく600とか850ですらメイン会場なのにこっちは500Xとともに(まるでチンクエチェントでないかのような扱いで)端っこに停めさせられたけど。なんならスタッフには多分プントだと思われてたけど。

・街中を走るだけでも笑っちゃうくらい楽しい!

これはマジです。大マジです。
ろくに自動車を経験してきたわけでもない若造が言うのもアレですけどこれに関してだけはマジでほんとに誰にも譲れない部分です。どうしても、どうしてもオタクの戯言など信用ならないというならソースもある。イタフラ大好きおじさんには馴染み深い嶋田智之氏の記事(のアーカイブ)。どうだ、文句ないだろ。(???)

よく“その手”のスポーツグレードとかでアピールとして謳われる「走りが楽しい!」って大きく分けて2つあるんですよね。

  1. 「ワインディングロードをそれなりのペースで走って(もしくはサーキットでかっ飛ばして)初めて楽しい!」

  2. 「適当にそこら辺転がしてるだけで楽しい!」

の2つ。文面からしてもうバレバレだと思いますがぼくは1ではなく2こそが本当の「走りの楽しい」車だと思っています(チンクエチェントも2)。
ワインディングとかそういう道に行くにしても普通の道は絶対に通ることになるんですからその普通の道も楽しく感じられる方が個人的には幸せだと思うわけです。何が幸せかなんて人それぞれなのでどうでもいいですけど。
よく「短時間の試乗で何がわかる」とか言いますけどその車が1か2かはひとつふたつ角曲がってちょい乗るだけで判断できるので試乗は大事だと思います。アバルト595くらいしか試乗したことないけど。ちなみに595は[検閲により削除されました]

めちゃくちゃ話が脱線したんですけどチンクエチェントは走りが楽しいです。

何色でも素敵ですが、こと小柄なイタフラ車においてはこういった明るくて派手な色が似合う気がします

搭載されている1108ccの直列4気筒SOHCエンジン、通称FIREユニットはカタログスペックにして54馬力、8.5kgmとなんかもう健康で文化的な最低限度の生活くらいのレベル。軽の方がパワフルかも程度なそのエンジンはしかし全長3.2mで760kgの軽量コンパクトな車体によって……軽の方が軽くない?

早起きしてドライブ、至福の時。エアコンのよく効く車もいいですがこういう車で窓開けてドライブするのも季節の変わり目なんかを感じられていい気分なのでオススメですよ。

まあまあまあ何はともあれ、電動パワステや電スロが常識の今となってはそのダイレクトさ、素通し感が珍重される昔ながらのノンパワステ、ワイヤー式のスロットルやぶつかってもぶつかられても死ぬボディ、それに発進7秒足らずで4~5速なトランスミッションと回してパワーが出るわけでもないのに何故か無性に回したくなるエンジンの組み合わせで乗ってる本人はとても楽しい!側から見ればゆっくり走ってるだけなんですけど気分だけは一丁前にスポーツ。外装以外には別に特別走りに振った要素もなく、スペックも普通、まさに見せかけだけで普通の車なんですけどなんか無性に面白いんですよね。言語化できない良さ。不思議。ま、贔屓目と言われればそれまでですが。いい車なんですよ、チンクエチェント。

・見た目がいい

今回ご紹介するのはこの車!

そらもう車は見た目で選ぶモノですからね、見た目がよくなくてどうする。
デザインはあのアルファロメオ75も手掛けたエルマンノ・クレッソーニによるもの。次期チンクエチェントのデザイン案の1つにジョルジェット・ジウジアーロによってデザインされたIDチンクエチェント及びルッチョラがありましたがその案を退けて選ばれたこのクレッソーニ案。ちなみにルッチョラの方は後に大宇・マティス(GM・マティス/シボレー・スパーク)として販売されました。退けた案がああも育った当時のフィアットの心境やいかに。

角という角が丸められた見事なフォルム!

ダイハツ・ミラっぽいとかアルトとかトゥデイ、ミニカにレックスと散々な言われようの見た目ですが、じっと眺めているとこれがなかなかどうしてフィアットっぽい。日本車の並びにも溶け込めつつ、欧州車の並びでも分かる人には分かる(訳:知らない人にはイタリア車だと気付かれない)この見た目、ぼくはかなりお気に入りです。
もっとも、ツェンダーのF・Rバンパーにサイドスカート、リアスポイラーとオリジナルのデザインからは随分足し算をしてしまっている感が否めませんけど、それはそれ。

中にはなんとまんまるなハンドルが〜〜!見てくださいこの革巻き!

これまた全部オプションですが革巻きのモモステ、革巻きシフトノブ、アルミABCペダルと触れる部分はしっかりと“それっぽく気分のアガる”装備。まあぶっちゃけコレだって見せかけだけ、気分だけなんですけど。この車はハイパフォーマンスホットハッチとかではなく「気分だけスポーツな車」なので機能性に拘った装備よりもドライバーをその気にさせてくれる華美な装備の方が高得点です。華美っつってもしれてますけど、新車並行で200万するかしないかくらいだったと考えれば十二分すぎるくらい華美なんではないでしょうか。みすぼらしさとかは皆無ですね。

お買い求めは〜〜……神奈川県川崎市高津区のシーコネクションで!

チンクエチェントに乗って得られたもの

主題とダブってない?
まあしかし、実際に自動車を所有してみて、乗ってみて、初めて分かったこと、得られたものというのは結構ありました。

気負わないことの素晴らしさ

そもそも車を運転するにあたって何かと気を遣ったり考え事しなきゃいけない部分にしんどさを感じるタイプの人間なので、心構えだの走らせ方だの儀式だのそういったものを求められる車があんまり好きではないのです。どこかでしんどく感じる瞬間のある車はそのうち急にイヤになってくるんですよね。寝間着に靴だけ履いたくらいで乗り回せる気軽さがいい。「予定立ててたけどやっぱ引きこもるか〜」とか「今日なんもする気なかったけどやっぱ出かけるか」くらいの一時的な感情で動きがちなので。一時的すぎて文章の根っこがあちこちから生えてて何がなんだかわかりません。これ書くのももうめんどくさいです。なんでこんなん書こうと思ったんでしょうか。ここに至るまで半年経ってるんでもう書こうとした理由とか覚えてないですね。そもそも書こうとした時点では手放すつもりなかったし。

似たような車好き仲間

はい、妖怪・人の撮った写真を勝手に拝借太郎です まつさんごめんなさい。

買って3秒くらいはイタフラの集まりとか行きて〜〜って思ってたんですけど、よくよく考えるとイタフラの集まりって85%くらいアバルト500(同車種のついてる部品にしか興味がない)で残りのフランス車はだいたい洒落た感じなので居場所がないんですよね、オタクの。(倒置法)
あと、マジで、誰も知らん。具体的にどれくらいかと言うとバズったツイートに自信満々でプントかセイチェントとして認識しているリプが飛んでくるくらいには誰も知らん。まああんまり知られてる車はコンビニで厄介おじさんに絡まれそうなので良し悪しというところではありますけど。トゥデイとか。
そもそもこぢんまりと生きていたい人間が集まりに行くのが間違いではあるんですけど、そうは言ってもなんかちょっと「この車いいんですよ」を人と共有したいという気持ちはあって、似たような物好きの人がいないかなあ……と思っていたわけです。

🚥

割といました。ありがたいですね。(???)
ツイート柄、全て“車ありき”の縁みたいなところはありますが、車が変わってもよくしてくださると幸いです。そういうわけで、どうしても好きで欲しい車がある人は買ってみると同じような“好きな人”が「これ好きなんですよ〜〜」ってやってくるかもしれません。

自分が“自動車に求めるもの”、“自動車でやりたいこと”

「こういう車が欲しい!」っていうの、案外自分でもわからんもんで、それこそアレ欲しいコレ欲しいと思ってても実際それが自分の求めているもの通りなのか、そもそも自分が求めているものが本当に100%自分の求めているものなのかは所有してみるまでハッキリしないんですよね。ちょっと何言ってるかわからなくなってきた。例えば「アレやりたい!」って思ってて、けど実際やってみたら「いや別にそんなやりたくなかったな……」ってなることありませんか?無計画で無鉄砲なだけ?そうかも……
ぼくはスポーツ走行とかしてみたいと思う一方でお出かけしてなんか食べたり見たりしてみたいと思ったのもあって、迷った結果どっちもそこそこいい感じにできそうなこの車を選びました。まあどっちもロクにやらなかったんですけどね
ともあれ、そんななんでもそこそこにこなしてくれる車で色々やってみたおかげでなんとなく欲しい車の方向性、具体的に欲しい車なんかも割としっかりと見えてきました。そんなことより自分の将来考えたりやりたいこと探した方がいいと思うよ

最後に

やっぱ文章(文章といえる文章ですらないが)書くの苦手ですね。好きなことについてなら書けるかなとか思ったんですけどよくよく考えたら絵心ない人間がアニメ好きだからってキャラの絵は描けんわ。
ここらへんで切り上げます。もう年越しそうなので。何事も投げっぱなしの人生、車の手放し方すら投げっぱなしで車にはつくづく顔も向けられないですけど案外人生ってこんなもんなのかもしれません。自分に都合のいい諦観。
チンクエチェント、オタクのしょうもない自動車についてのツイートにいいね押せる人には間違いなくお気に召してもらえる確信があるいい車なので機会があれば乗ってみてくださいね。なんならアレ買ってください。一応ウチに左側通行用ヘッドライトユニットが2セットほどあるのでもしフォロワーさんが買った際には申し上げていただければ持っていきます、派手なやつで。
それではまたどこかで。

「車内で花の塔聴きながら泣いてそう」とか言うんじゃないよ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?