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恋愛の偶像化

これはとある恋愛の話だったりする。
たとえばインスタにストーリーを上げたとする。自分が活動している緑マークがつかないようにわざわざ調べて設定までする。そして、ある人が自分のストーリーの閲覧者にのるまで何回もインスタを開いては確認する。そしてのったら安堵して眠りにつく。
その人とはもう何か月も会っておらず、もはや好きなのかもわからないのに、なぜかその人が頭の中で美化されていって忘れることができない。

お互いに好意を伝えていない。ご飯を食べに行くという約束すらしてない。けどお互いが恋愛をしたことがない。自分たちが知っている恋愛と言えば映画とかマンガとか物語上の世界。現実世界では恥ずかしくて自ら行動に移すことができない。

自分はなぜ行動に移すことをしなかったのか。せっかくインスタを交換するまで行ったのに。
社会人となってしまった私には付き合う=結婚のイメージが今は強い。大学生なりたての時はそんなことなんてほとんど考えてもいなかったのに、就活が頭によぎり始めた頃からはその印象がだんだんと湧いてきてしまった。今まで付き合ってきのは告白されて何となく付き合う。けど結局私が相手のことが好きではなくて相手に愛想尽かされていつの間にか別れていた。という感じだった。相手からしてみれば私の行動は失礼極まりないけど、相手も相手でインスタのフォロー欄に異性の名前が増えていく一方ではあったので、お互いに非がありなんとまあ幼稚な付き合いをしていた。

そんなことがあってから、私は新しいバイトを始め、彼に出会ってしまった。完全に一目惚れだった。出会った瞬間、私の鼓動はすごく高まり、後日話しかけられた時なんかは人間の心臓はここまで跳ね上がることがあるのかと思うほど強く打っていた。今まで一目惚れなんてしたことなかったのに。完全に一目惚れだった。その人がいるだけで自分の作業の効率は落ちるし、今まで気にかけてもいなかった「女の子らしい」行動もするようになっていった。メイクも始め、服にも気をかけるようになった。ここまで人に恋をしたのは人生で始めてだったから、当時は彼に恋しているのか、恋に恋しているのかすらわからない状態だった。

月日がたってお互いが仲良くなり始めた頃、チャンスはたくさんあったのにどうして私は行動に移すことをしなかったのか。実はほんのり、どこかで感じてはいた心のざわめきがあったから。これ以上彼のことを知っていったら私が彼に持っているこのときめきが消えてしまう。話していくうちに自分の中で作り上げられてしまっていた彼への理想像がパラパラっと崩れていく音が聞こえることがたまにあった。あ、もしかしたらちょっと価値観合わないかも。とか、結局彼が好きなタイプは私とはほぼ真反対なのかな。とか。

結局必要以上に彼との関りを深めることはなかったので、未だに自分の理想な状態が細々と保たれている。一人暮らしをし始めて彼に会うことがなくてもインスタの活動しているのを見るとちょっとトクンっとなってしまうし、投稿にいいねなんてしてくれると嬉しさで叫びたきなっちゃうぐらい。けど、今後一緒にご飯に行ったり、遊びに行ったり、そんなんだから、付き合うなんてこともない。おそらく、付き合ってしまうと今は無意識に蓋をしている相手の粗が見えてしまい自分が長年片思いしてきた時間を返してくれ、と、もはや相手を恨み始める私が想像できてしまう。私の片思いは消えることなくただ薄れるだけで終わってしまう。

昔のように彼のことが頭から離れず、何においても手つかず状態にはならないものの、私はいつまでこの無意識の固執に耐えればいいのか。それとも、彼以上に好きになる人は今後現れないのか。

果たしてこれは恋愛、恋と言えるのかそれとも単なる傲慢さから来る固執なのか。

人生いろいろ😌


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