思考内幻想
思考は、その時行っている思考が絶対的な視点からなされている、という幻想によって維持される。
思考によって思考を扱う時、この特性が最も顕著に現れる。「思考とはこのようなものだ」(1)という言明が、まさに思考そのものであり、そこには再帰的な構造があるが、1という思考はその構造から自らが逃れているということを前提としている。
これを思考内幻想とよぼう。
生活の中に思考内幻想を信ずる時間と信じない時間がある。
我々は常に未知のなにかに突き動かされて行動している。思考内幻想はこのことを否認する。思考は常に自らが無謬の一地点にたっている、という幻想を必要とする。
哲学はそれをすることが正しいから行われるわけではない。