日記 #94 2021.03.19 「ゴーカイジャー」

「海賊戦隊ゴーカイジャー」が好きだった。

あれ、過去形なんだ? 何があった? みたいに気を引く文章の冒頭、しゃらくせーなというか使い古されすぎてて今やる? 今それやる? という感じあるけど実際そうなんでして仕方ねーんだよこれはよ。

で、なんで「だった」のかというと、最初に見はじめた数年前「すっげすっげおもしろ!」てなってたんですけど、そのあとで本当にたった1個だけ気になることがあって、でもそれきっかけで無理になっちゃって見るの止めてたんですね。だからねぇ、それがある前の最初の十何話はやっぱり好きで、アマプラで第1話を見返しては泣く(酔っ払い)ということを度々していた。

まずそも「海賊戦隊ゴーカイジャー」とは何か、というのを簡単に書いておくと戦隊モノです。なんか日曜の朝やってるでしょう、いわゆる「ニチアサ」と呼ばれる時間枠で、本来なればお子さま向けの番組であるがなんかいい大人も見てるんだって。あらやだわ。何がおもしろいのかしら。

で、ニチアサといえば仮面ライダー555みたいな仮面ライダーモノとかプリッとキュアキュアみたいなアニメモノとか色々あると思うんですけど中でも「戦隊」というのは3人ないし5人くらいで集団行動していてそれぞれ非常にカラフルな全身タイツのようなスーツとフルフェイスのヘルメットを被っては物騒な得物や重火器、時には巨大人型決戦兵器をも用いて集団で怪物をボコにしていく、ということを毎週繰り返す人たちです。これを大体50回やると番組卒業となって、また新しいカラフル全身タイツマン&ウーマンに引継ぎとなります。そういった営みがざっと40年以上続いているようです。文化的に独特が過ぎる。

で、ゴーカイジャーもその連綿と連なるカラフルな人たちの一貫であったわけです。しかもスーパー戦隊35周年記念作品という、言ってみれば記念碑的な作品でもありました。それはどうでもいいんだけど。

で、わたくしにそもそも戦隊を見る習慣はあったのかというと、なかった。見たことはある。小さい頃にではなくて、小さい頃はむしろ全然興味がなく見てなかった。多分。なんでだろ。でも本当に全然記憶がないんだよな。むしろポワトリンとかは見ていた気がする。あとライダーは見ていた。

しかし大人になっていわゆる「オタク」的な趣味にふれるようになり、そうすると自然と「特撮」というものも観測範囲に入ってくるので、じゃあいっちょ見てみるかということで当時やってた戦隊(一番最近※の忍者のやつ)を毎週録画して見たこともあったが、まったくハマらなかった。自分にとって新しい文化だったので、そういう意味で興味深く見てはいたが。(※忍者は人気のモチーフで過去の戦隊シリーズで幾度も繰り返されている。)

じゃあなんでゴーカイジャー見たのというとツイッターで緑の人のめちゃくちゃなアクションシーンの動画が流れてきたり、あとなんか「ジェラシット」というキャラクターがおもしろい、といった話が流れてきたりして、ほう、どうやらこのゴーカイジャーというのがおもしろいらしいなとなって、それならまぁ見てみるかとdvdを借りたのだった。

そしたらねぇ、第1話からおもしろかったのよ。すんごいおもしろかった。

緑の人のアクションは確かに無茶苦茶なんだけど、緑だけじゃなく全体的にアクションがやったら派手だったんだよね。それはねぇ、でも第1話だから、最初にちょっとがんばんないと、ということでわかる。わかるんだが、なぜそれがすごかったというと「こいつらめっちゃ戦い慣れとる」て思って。めっちゃくっちゃに余裕ぶっこいてんですよ。

なんか戦隊モノ(も色々あるだろうのですごい詳しい人からするとハーン? てなると思うんですけど見逃してください)のセオリーとして、第1話で初めて変身するパターン多いと思うんですよ。それまでまともに戦ったことなんかない人たち(ex.絵を描くのが好きな高校生とか車工場の薄給整備士とか)が、変身する能力を突如得て、初めて敵怪人と戦って、みたいな。それがゴーカイジャーは最初から強い。めっぽう強い。変身慣れてるし敵を前にまったく怯むことがないどころか舐め腐っている。傲慢不遜とはこのことか。何より大人の余裕を感じる…子供向けではなかったかこれ。

とにかく第1話始まる時点で、この人らは既に相当戦ってきてるってことがわかるのよ(特に好きだったのが確か第2話で黄色が敵を倒した後に空を仰いで「だっる…」みたいな仕草をするところが本当に好き)。それでなんか「これはちょっと違うぞ」ってなって。

あと好きだったのが、こいつら地球のこととか割とどうでもいいんだな、というところ。実際そのスタンスはかなり明確に描かれていて第2話では「お前ら地球守る気あんのか!」ていう善良な一市民の問いに「ないね」て言ってる。ワオ。ないんか。めっちゃいいじゃん(認知の歪。

この人たち、海賊で宇宙人(地球外生命体)なんですよ。だから地球のこととか心底どうでもよくて、じゃあ何でいるんだっていうと地球になんかすげぇお宝があるって聞いたから。とはいえ基本はいい人たちなんで、強奪なんか絶対しなくて普通にスーパーでお金払って買物するし、目の前で善良な一般市民が襲われてるとつい戦っちゃう、という感じであるのですが。でも「別に助けたわけじゃねぇ」とか言う。カレーが食えなくてイラついてただけだ。

そしてまたゴーカイジャーは寄せ集めの集団でもある。落ちこぼれとまではいかないし、スネに傷があるとも言わないが、それぞれが何かしらの挫折(それも割とデカめの)を経て今ここにいる、という状況なんですよ。そういう人たちを船長たるキャプテン・マーヴェラス(赤)が旅する中で集めた4人。だから基本的に癖が強い。いや戦隊の主人公で癖が強くないやつはいないだろうが、その方向性がちょっとあれ。ルカ(黄色)に至っては割と真摯に金の亡者。ブラックジャックかよ。

そういうのが自分は本当に好きで、つまり第1話時点でメンバーの一人ひとりにちゃんと「過去」があって、回を追うごとに少しずつ明らかになっていって、という流れが。そしてゴーカイジャーと敵対するのが「宇宙帝国ザンギャック」ていう宇宙の星々を軍事力でもって制圧してきた極悪集団なんだけど、ゴーカイジャーのメンバーはみんな何かしらの因縁がザンギャックとの間にある。つまりは物語が進むにつれて、現在と過去が複層的になりながら話が展開するということ。第1話時点でこんなにも既にドラマを背負ってる戦隊モノなんてあるんか全然知らんかったわ。なんだよめっちゃちゃんとしてんなと思ってですね。

なので第1話を見て泣くというのは、何話か見たうえで第1話を改めて見るとみんながすごく強く戦っているのに感動しちゃうんですね。マジでこの人らね…これまで本当に大変だったんだから…アイム(ピンク)とかもうきっついよあんなの…それが今ではこんなにしっかりして…ハカセ(緑)はよくわからんけど…最後までよくわからない…なんなんだハカセ…。

という感じで「大人(自分が「大人」かどうかは別として便宜上)の鑑賞に耐えるわ…」という思いで見てたわけ。噂のジェラシットも観測できました。実際、めちゃくちゃな話だよジェラシット回。2回あります。両方ひどいが2回目の方が特にひどい気がする。「子供向けの脚本書く気あんのか?」「ないね」とか言ってても納得できるレベルでひどい。

まぁなんかそういうわけでね、ここを書いているのは冒頭書いた半年後くらいなんだけど、ズラズラ書いたはいいものの最終的な落とし所が全然見えなくなってしまった。とはいえこれ以上書くことも思いつかないのでいいや、投稿しちゃえ。

ということでありがとうございました。ゴーカイにキラめこうぜ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?