つたない
おおきなかべに いどうするものがいる。
くろいふくろうが みている。
おおきなめがねをかけた にんげんが そばにいる。
ふくろうは にんげんを みて くちをあける。
にんげんは ふくろうを みても わからない。
でも、ふくろうは にんげんを みている。
にんげんは いつか わかるかもしれない。
ねこがとなりでなきました。となりをみると、そこには何もいません。でも、なにかがかんじられます。おおきなはりがこころをうつします。ねこのなきごえが どんどんおおきくなってきます。でも、なにもないのに、どうしてねこがなくんだろう?ぼくはなんどもうしろをみましたが、どこにもいません。ねこはもうここにいないのでしょうか?でも、いまだになきごえがかんじられます。ぼくはなにがおこっているのかわかりません。でも、となりでないねこのなきごえは、まるでぼくをからかっているみたいにきこえます。
窓辺には木綿の帽子。濃い緑色、巨大な顎鬚の男が被っていた。彼は昨夜、背中に独り言をのせ、山道を歩いてきた。その男は何かを探しているようだったが見つからないまま、この家に泊めてもらうことになった。彼の謎めいた言動には、誰もが引き込まれていった。それでも、夜が明け、男がいなくなった後、あの木綿の帽子だけが残されていた。どこかで、その男が笑っている気がしてならなかった。