フレームイン基金ご協力のお願い

2018年の年末に立ち上げた「フレームイン基金」。いつもこの時期になると奔走したことを思いだします。スタート時に法人Facebookにアップしたお願い文をnoteに転載させていただきます。

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いつもお世話になっております。パノラマの小川です。
この基金を立ち上げよう!という話は石井・小川の個人Fecebookでも時々投稿している、家探しをしてきた元生徒との出会いがきっかけとなっています。

本人への配慮のため詳細は書けませんが、彼女とのストーリーを少しここで紹介させていただくとともに、フレームイン基金のお願いをさせていただきたいと思っております。

最初に彼女の友人から相談があって、会うことになったとき。 どんな生徒が来るのだろう?何を話せばいいのかなとドキドキして緊張もしていました。

あの日リンゴジュースを飲みながらおしゃべりしている中で、親との関係によって家を出なくてはいけなくなったこと、これまでのこと、今自分がどうしたいのかを話してくれました。

児童相談所では年齢のことがありサポートを受けられず、その他の仕組みでも不信感等からサポートを受けていなかった彼女。唯一繋がっているのが学校でした。

彼女が様々な制度の仕組みのはざまにいることを感じつつも、まずは動き出してみようとシェアオフィスをしているアオバ住宅社さんの力も借りながら始まった家探し。

何度も家を見て、申し込みをしては断られ、みんなでもがき、打てる手が全てで尽くしてきた中で、未成年で保証人も保護者もいない状況で家はほとんど借りられない。

彼女にそんな厳しい現実を突きつけなければいけないのかなとも何度も考えました。

いろんな現実を飲み込んで妥協に妥協を重ねて「我慢」をすれば短期間滞在できる場所がないわけではないことを考えると、万が一の時のお金を多くの方から集めるのも、こちらの勝手な自己満足なのかもしれない、本当に彼女のためになるのだろうかということもさんざん考えました。

でも、彼女の経験は彼女の家族や彼女個人の「問題」ではまったくなく、児童相談所の年齢制限や未成年であることの壁といった制度のすき間の問題であり、もっと前に大人が彼女の手をしっかりつかんで向き合ってできたことはあったはず。

そして、それが十分にされないまま今に至り、彼女の人生を彼女と一緒に悩み、考え、そのために今時間を割く大人がいなかったからこそ今のような状況に置かれていることを考えると、彼女一人に負担や我慢を強いるのも変なのではないか。

最低限の衣食住を整えて、安心できる場所をつくってあげることが彼女にとっては今一番必要なことなのではないかと考えるようになりました。

「一個もいいことない」という憤りが入り混じり発せられた言葉。

その人のものの見方がゆがんでいるからでも、その人の努力が足りないからでもなくて。

自分の力ではどうしようもないことがたくさん起こって発せられている言葉だとしたら。

そんな社会になってしまっている一端は自分たちにあるのかもしれない、この言葉は自分たちに向けられているのかもしれない、そんな風に感じました。

そして、大人である私たちが、彼女の向き合っている現実という「社会課題」に目を向ける必要があるのではないかと思いました。

彼女の人生は家探しをして終わりではなく、ここから始まります。

制度のすき間に入っていてしまった彼ら・彼女らの手をつなぎ続けるには、そして次へとバトンを託すためにはたくさんの共に過ごす時間が必要です。

その揺れ動く心と一緒に揺れ動くことが必要なこともあります。

このような伴走は、高校生活を区切りにしない、パノラマだからこそできることだとも思っています。

「基本誰も信用していないから」そう初対面で言われた時に、意外と大人にもいいやつはいるんだ、世の中捨てたもんじゃない、そんなことを一度でいいから感じてみて欲しい、と思っています。

パノラマのフレームイン基金を応援いただけますと幸いです。
彼女に伝えたいこと。

「誰かに施されるのが嫌いと言っていたけれど、この基金は、あなたを可哀そうだと思ってるというのではなく、あなたが自分が安心できる当たり前の生活を送れない状況、そこに社会が何もできていないのが変だよねと思っている人たちがこれだけいるということの証だと思ってます。

今までは周りに敵ばかりがいるように見えて一人で戦ってきたのかもしれないけれど、ここから先の人生、大人って案外(?)頼りないところもあるけど、頼っていいんだ、そう思ってくれると嬉しいです。私たち大人だって頼られると、そしてあなたの笑顔が見れると嬉しいんです。

2018年12月27日
NPO法人パノラマ 小川杏子

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