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百 色川武大

退役軍人の父親や、弟との関係を中心に描いた私小説4編からなる短編集。

父親との親子関係を契約ととらえた『永日』、父親とのズレた会話が印象的な『百』など、淡々としたなかにリアルかつ冷静冷淡な展開がなんともいえない。
色川さんのことはよく知らなかったので(考えてみたら坊や哲も流し読みしかしてなかった)、どこまでリアルな部分と重なっているのか分からなかったのだが、ネット上の感想などを読んでいると、どうやら相応にリアルな私小説のようである。

小説の本論とはズレるのだが、『連笑』の中の競輪に関する部分(32頁あたり)の解像度の高さはさすが。
淡々とした部分に、突如として熱量のこもった競輪話が登場するのがなんともいえない。色川武大の中に突如として阿佐田哲也が登場する、という方が表現としていいのかもしれない。
ほかの色川作品も読んでみたくなるな。

ノミ屋のことはドリンク業と呼んでいたらしい
このあたりは阿佐田哲也感ありますね
後楽園競輪の帰りに能を見に行っていたらしい
今の宝生能楽堂のことだろうか?

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