見出し画像

賭けとイギリス人 小林章夫

小林章夫さんは上智大学などで教鞭を執られた英文学者。
小林さんは2004年に「イギリス人は何にでも賭ける」という本も書かれているようなのだが、とりあえず1995年のこちらの新書を読んでみた。

ギャンブル大国イギリスの賭博の歴史から始まり、その取締り、サッカーを通じた今のイギリス人のギャンブル観、と進んでいく。

やはり興味深いのはギャンブルの歴史で、誰もが思い浮かぶサイコロ・トランプや今の競馬・スポーツベッティングだけでなく、動物いじめが広くおこなわれていたというのは衝撃であった。熊いじめなどは人為的な流れ星銀の世界だし、ライオンいじめなどもよくもまあ、という感じで、武芸のための犬追物をやっていた日本とはえらいちがいである。なお、熊いじめは日本語Wikipedia項目がある。そこから英語に飛ぶと、詳細なBear-baitingの記事がある。日本では「競馬はブラッドスポーツである」と言うが、こちらは正真正銘、血が流れるという意味でのBlood sportであり、Wikipediaには多数事例が載っている
さらに、日本では大流行している富くじが、イギリスでは当初は流行らなかったことなども興味深かった。

取り締まりを巡るすったもんだも興味深い。日本では博徒を強引にしょっ引いた印象だが、権利意識が強い国で取り締まるのは容易ではない。

動物いじめの話などは血なまぐさく、本来は非常に重いテーマなのだが、新書ということもあってスムーズに読むことができた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?