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競馬場のマリリン 瀧澤陽子

中山競馬場の窓口でアルバイトをしていた著者が優駿のエッセイ大賞を受賞したことを契機に馬三郎にコラムを連載するようになり書籍化に至ったという、すごい経緯をたどった本。
なお、この本とは無関係であるが、自分的には映画に関する記事でベトナムの違法賭博を取り扱った「走れロム」について書かれているのが印象に残っていたりする。

この本における瀧澤さんは、ミスターシービーの血を引く馬の成績に一喜一憂し、テイエムオペラオーの年間無敗やタニノギムレットの走りを見ていたことなど、時代的に自分と重なる部分が多く、共感できるストーリーも多かった。90年代後半~00年代前半の競馬にはまっていた人間なら楽しめる作品となっている。

5章立てになっていて、テーマ別に収録されているため、時系列がバラバラで読みづらい部分はある。
ただ、おかげで名馬の思い出が次々と語られる5章がなんとも気持ちのこもった出来になっていて素晴らしい。ミスターシービーの最期についてのお話などは、なんともいえない感傷的な気持ちにさせられた。
競馬エッセイとして、素晴らしい一冊。


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