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三密を避ける総会(NPO)

3月決算期の会員様から、新型コロナウィルス禍の中での総会開催に関するご相談をいただく機会が増えています。「三密」(密閉、密集、密接)を避けるにはどうすればいいか、というご相談です。

次のように、4つの工夫が考えられますが、それぞれに課題もあります。

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課題をクリアする方法がないか、という視点でもう少し考えてみます。

1.みなし総会

みなし総会の位置づけは、NPO法第14条の9に定める形態です。無人で開催できる総会と受け止められがちですが、総会の代わりに「みなし総会」を開催するのではなく、当初は総会になるかどうかが分からない取り組みです。理事又は正会員による提案に全員が同意すれば「総会決議」とみなします。一人でも同意しない場合は不成立です。その場合は通常の「会議形式の総会」をせざるを得ません。いわば「試してみる」という位置付けであることを理解しておく必要があります。

みなし総会は、テーマによって適性があります。通常総会は、議案の性格上、議論を交わし理解を深めた上で決議を行う場と考えられます。提案事項の正確や質・量によっては、質疑応答や議論なしに賛否を問うことの妥当性に疑問符がつく場合もあり得ます。また場合によっては、自分が賛成しないと皆に迷惑がかかるのでは?という心理的な負担感も考えられます。定款の形式的な変更など、誰もが容易に同意できる提案には適した総会形態ですが、テーマによっては、全員の同意という条件が重荷になる場合もあり得る制度です。

「みなし総会の開催の手順」

2.web会議

web会議は、内閣府の見解に基づき、既に多くの法人で総会に実用されています。内閣府の見解は、次の通りです。

「社員が実際に集まらなくても、さまざまな新たなIT・ネットワーク技術を活用することによって、実際上の会議と同等の環境が整備されるのであれば、社員総会を開催したものと認められます。その場合、役員のみならず、社員も発言したいときは自由に発言できるようなマイクが準備され、その発言を他社や他の会場にも即時に伝えることができるような情報伝達の双方向性、即時性のある設備・環境が整っていることが必要です。

3.書面表決・メール表決

書面表決をする場合には、定款と関係します。通常の会議形式による総会に参加できない場合などに、定款で書面表決を可とする法人は多く、また「電磁的方法(電子メール等)による表決」を可能と定めている法人も少なくないと思われます。こうした法人は、この表決方法を活用し、全正社員が事前に表決書を提出することにより、無人の総会が可能になるという考え方があります。なお、みなし総会提案に対する同意の意思表示は、法に「書面または電磁的方法」と明記されているためメールで可能ですが、総会欠席に伴う表決は定款で定めない方法で行うことはできません。

総会の「場」の設定は必須です。定款に基づく招集手続きを行うことが前提の書面(メール)表決です。つまり会議の日時・場所・目的及び審議事項を決定し、所定日までに通知することが必要です。そのうえで、不参加の場合褒めん(メール)での表決を受け付けるという手順になります。

ただし、会場への出席者を無くすることを目的に、会場を準備しない、出席の意向をもつ正会員に表面表決を勧めるなどは本末転倒であり、あってはならないことと言えます。

出席者3人は必須です。一般的に定款で、議長と署名人2人が議事録に署名うことが定められています。したがって、ほぼ全員が書面(メール)表決を選択した場合も、その3人は出席し、議事録に署名することが必要です。

4.委任

定款と関係します。代理人への委任を通じて表決を行うことについても、多くの法人で定款に定められていると思われます。その場合は、誰に委任するかを明らかにして、事前に届け出ることが必要です。

書面表決書の記載例

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どの形をとるか、しっかり議論して決めましょう!


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