見出し画像

【続編②〜第二章 「2.習慣に気づくためには」】これならできる!運動指導初心者の指南書〜特定保健指導、介護予防指導などで必ず役立つ!

2.どうやって自分の体からの声を聴くか?

 自動的に動いて問題ないことは、エネルギーを消耗する「判断」を省いて合理的に体を動かす。それはいわゆる「習慣」となっていきます。習慣とは「日常の決まりきった行い(広辞苑 第4版)」、つまりパターン化した行動になります。

 すると、局所的に使い過ぎてしまっていることに気が付かず疲労が溜まり、でもその疲労にも気が付かず、無意識の内に偏った体の動かし方、あるいは姿勢の崩れが起こり、それが局所的に負荷が積み重なって痛みとなって表出してくる。

 よく聞く肩凝り、腰痛、膝痛も加齢による筋力低下、関節の摩耗ももちろん原因として考えられますが、普段から自分の体に関心を持って、体からの声をよく聴いておけば事前の対策を取ることができ、医療機関にかかるほどまでひどくならずに済む、つまり予防することはできるはずです。

 では、「自分の体の声を聴く」とは具体的にはどうすれば良いのか?

 ここでまた少し動いてみましょう。座ったままで大丈夫ですよ。

 椅子、または床に座って、後ろを振り返る動作、つまり上半身を左右に捻る動作をします。まずは息を吸って、吐きながら右後ろを振り返るようにして軽く上半身を捻って3秒ほどそのまま維持してください(この時、数を声に出して行ってください)。その時の、痛みやひっかかり感、やりにくさなどの有無について確認しておいてください。

 では今度は反対側の左後ろに振り返るようにして体を捻ってください。先ほど同様に振り返ったところで3秒維持して痛みやひっかかり感、やりにくさなどを確認します。

 いかがでしたでしょうか?左右で差はなかったでしょうか?なければ左右のバランスが取れているので問題ありません。しかし、もし若干でも左右差があれば、そのバランスの崩れを今の内に修正しておきましょう。

 先ほど左右の上半身を捻る動作をして、左右差の確認をしましたね。では、その調子の良かった方に3回ゆっくり先ほどと同様に上半身を捻る動作をとっていきます。

 まず軽く息を吸います。息を吐きながら調子の良かった方にゆっくり捻り始めてください。息を吐き続けて5秒ほど捻ったまま維持します。正面に向き直して、そこで1回深呼吸してリラックスします。

 2回目です。1回目と同じように息を吐きながら、調子の良かった方に上半身を捻りますが、1回目の時よりはもう少しだけ強めに捻ってみましょう。5秒ほど維持したら正面に向き直して、深呼吸を1回。

 最後、3回目です。1、2回目と同様に調子の良い方へ上半身をできれば2回目の時よりもさらにしっかり捻って5秒ほど維持して正面に向き直します。そこで大きく1回深呼吸。

 では今度はこの3回捻った反対側、つまり、最初に調子が悪かったと感じた方に体を捻ってみてください。いかがでしょうか。最初に左右差を確認した時の違和感よりも楽になった感じがないでしょうか?

 あまり変わらない場合もありますが、多くの方が、3回調子の良い方に捻った後に調子の悪かった方に捻ってみるとやりやすくなったと体感されます。

 この実験の大切なことは、まだ痛みが出るほどではない状態の時に、少し体を動かしてみると違和感のあるところや左右差を感じることができる。つまり運動してみると「自分の体からの声を聴ける」ということです。

 そして、調子の悪いところを頑張って動かそうとするのではなく、まずは調子の良い方、動かしやすいところをしっかり動かすということがとても大事なことなのです。

 医師の指示のもとで行うリハビリなどでは痛くても我慢して動かさなくてはならない場面もあるかもしれませんが、各人が自分の判断で行う運動のポイントの一つは「気持ちよく感じる運動をしっかり行い、調子のあまりよくない方は良い方の半分くらいにしておく」ということです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?