異常豪雨キャンプ第一クール終了、新人野手私的構想など(24.02.02~02.04)

監督の好みというのは、チーム構成にそのまま出るものである。前任の原辰徳は、自分と感覚の近い右投げ右打ちを集めていた。巨人軍は昨シーズンからオフにかけて、中島・石川・廣岡・中田・ブリンソン・北村・ウォーカーと7名の右の中長距離打者を放出したが、その補填はウレーニャのみ。新生巨人軍においては、右投げ左打ちの阿部慎之助の意思が反映され、ドラフトで泉口と佐々木、外国人補強がオドーアといずれも右投げ左打ち。

近年の技術的な変化もあり、ボトムハンドが強くなりがちな右投げ左打ちの打者でも、トップハンドを上手く使い、カット&ツーシームなどの高速変化球や、違反球レベルのコロナ低反発球をオーバーフェンスできる打者が増えてきた。阿部慎之助以外の右投げ左打ちが事実上壊滅した2011,12年の旧違反球時代を思うと隔世の感がある。

筆者の私的な好みに刺さるのは右打者だが、前述の内容を踏まえ、トータルベースボールにおける日本野球的な作戦を遂行するうえで、打撃の基本である引っ張りが進塁打になる左打者が重要と言えるだろう。

その中で、大卒社会人ルーキーとしてドラフトされた佐々木・泉口という左打ちの傭兵は、新戦力におけるキーマンとして活躍できるだろうか。

佐々木は、構えからトップに入る際のグリップをスッと落とす動きに優れているが、グリップが背中側に入ってしまうくらいトップが深いゆえ、軌道がアウトサイドイン気味になる。実戦においては逆方向には強い打球が打てていたが、引っ張りにかかる時に引っ掛けるような形になり、最初は打球が上がらず、内角やファストボールにも差し込まれるかもしれない。その際に、いかにポイントを前に切り替えて引っ張ったライナーが打てるか否かの適応力が、レギュラー及び5番打者を任せられるかのポイントになるだろう。日本人にしては珍しくトップハンドの手首を立てて(背屈)構え、ポイントを下げて短い距離でヘッドを加速させるパンチャー要素が強い。

泉口は、トップに入る際に前肩、グリップ共にそれぞれ捕手側・背中側に入らない。ヘッドステイバックも佐々木と同程度に大きい。後ろに残す意識がより強い佐々木とは逆に、軸脚の抜重が上手く両股関節が強くぶつかる。ゆえに骨盤の回旋範囲が広いが、それは開きやすさも意味する。逆方向への打球と左投手への対応がポイントになるだろう。昨年のドラフト記事において、門脇並みのフルスイングと称したが、トップハンドを立てない構え、見逃し方、レッグアップの早さ・長さなど日本的なスインガー要素もあり、門脇には及ばないという印象。

まとめ

癖がなく無難なのは泉口。癖はあるが天井が高そうなのは佐々木。前者は三塁・遊撃のバックアップ、動きが逆になる二塁は保留で吉川のバックアップは中山。チーム編成的にもまずセンターのレギュラーに定着してほしいのは、後者の佐々木。


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