【遠藤誉】 第2のCIA=NEDを使い中国転覆をたくらむ米国

遠藤誉著「秦剛前外相は解任されたのに、なぜ国務委員には残っているのか?」(2023/08/02)より抜粋:


◆NED(全米民主主義基金)の中国における暗躍

台湾や香港を含めた「中国」において、NEDがこれまでどれだけ暗躍してきたかに関しては拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』の第六章で詳述した。ここで「CIA」と書いたのは、NEDが「第二のCIA」と呼ばれているからで、「NED」と書いたのでは知名度が低く、日本の読者には伝わらないかもしれないと危惧したからだ。

第六章の【図表6-2 「第二のCIA」NEDが起こしてきたカラー革命】や【図表6-8 「第二のCIA」NEDの活動一覧表】をご覧いただければ一目瞭然なように、NEDは何とかして中国政府を転覆させるべく、中国に深く潜って「民主化運動」を支援してきた。

それらのデータは、すべてNEDのウェブサイトから拾い出したものだが、実はこのたび新たにNEDが出している年次報告(Annual Report)があるのを発見したので、既に削除されているものもあるが、何とか見つけ出して新たなデータを入手することができた。

その中の中国に関する2021年版のデータによれば、
NEDのプロジェクト対象は「中国本土、香港、チベット、新疆ウイグルおよび中国全域」となっており、

「中国本土(mainland china)」には5,576,268米ドル、
「香港(hong kong)」には434,450米ドル、
「チベット(tibet)」には1.048,579米ドル、
「新疆ウイグル(xinjiang)」には2,578,974米ドル、
「中国全域(china regional)(各地域をつなぐもの)」には600,000米ドルが、

それぞれ民主化運動資金として注がれている。2021年の対中国プロジェクトの合計は10,238,271米ドルだ。

このNED年次プロジェクト費用合計は習近平政権になってから増えており、特に2020年における香港やウイグルでの民主化運動支援金が多い。

民主化運動支援金は、今から民主化運動を起こして現存の政府を転覆させるために使われるものなので、台湾に関しては、むしろ2003年にNEDにより「台湾民主基金会」を設立したので、台湾に資金を出させる形でアメリカ寄りの政権を誕生あるいは維持させるためにNEDと共同で大会を開催したり、アメリカの政府高官を派遣したりするなどの活動を行っている。


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