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コロナ禍による出会いの消失と僕らの見えないタイムリミット

みなさん、ステイホーム時代を無事サバイブされておられますか。僕はまあまあ限界です。

在宅仕事だしもともと友達が多い方じゃないしで、さほどコロナの影響を受けないかと思ってたんですが、同じような立場だった先輩方がなんかお金のこととか政治のこととかで殺気立ってしまい、話し相手にカウントできなくなってしまったんですよね。以来なかなか人と接する機会に恵まれず、内心非常に寂しい気持ちを抱きながらこの一年を生きています。

価値観が変わったのは仕方ないけど、それで社会が分断されるのは良くないと思うんですよ

最近「こんなご時世なのに会食したがる人達って群れないと何もできないんですかね…?w」みたいな空気をTwitter民が出しすぎてて、けったくそ悪いんですよ。一人でも平気で飲み会が元々嫌いな俺たちオタクは生存する、群れなきゃ何もできないウェイは淘汰されるのだみたいなことを、適者生存論となぞらえてぶちあげたりしてるのも見たけど、お前ら本当にウェイが楽しいって言ってることを全く楽しいと思っていないのか?お前らだって職場のめんどくさい先輩にお酌しながらの飲み会じゃなくて気心知れた仲間内との飲み会だったら楽しいと感じるんじゃないのか?

世の中が急な方向転換を起こして、これまで非とされていた一人行動やインドア的行動が是となったことがうれしいのはわかるけど、でもそれでこれまで是とされてたことが非になっちゃった人を足蹴にするのは違うでしょう。「ざまあみろ」じゃないんですよ。立場が違う人間を雑に敵認定して「俺たちはあいつらとは違う、俺たちが国軍であいつらは賊軍」とかやってたら、コロナ収まった時復讐されますよ。世界の分断に加担する行いはぜひ謹んで頂きたい。

ごめん急にキレちゃった。ああいうのマジで嫌いなので。(感染対策そのものはきちんと行われるべきだと思いますよ)

コロナによって人と人が会うこと全般が禁じられ回避すべきこととして広く認識されてしまったけど、なぜそんなことも我慢できないのかと揶揄されがちな会食には「人と出会う」という重要な効能があります。本来僕らは人と出会い、交流し、信頼関係を築くことで、2020年だって公私ともに発展できるはずだったんです。それは中止になったコミケが行われていたら色んな人や本と出会えていたはずだった、世に産み出されていた作品があったはずだということからも理解できると思います。

飲み会が新しい仕事につながることもあるし、恋愛や友人関係に発展することもある。仕事をすることも恋愛も交友も不要不急ではないしそれ自体はコロナ禍の今も制限されていない、だけどそれにつながる行為が現在制限されているとなると、結局間接的に必要火急な行為が制限されてるに等しいと思うんですよ。(不思議なもんでオンライン飲み会ってそのあとにつながらないんですよね…飲み会で一番芯食った話して次会おうとかにつながっていくタイミングって、実は会場がお開きになった後駅に歩いていくタイミングだったりするんだけど、オンライン飲み会って終わった後個別チャットとかちょっとしにくいじゃないですか…)

人と出会う機会がはく奪されたまま時間が過ぎていく。これがどういうことか。

僕らの頭上にある、半透明のタイムリミット

僕は今28だけど、10代のころから何度も「30超えたら現実見ろ」と言われてきました。僕らは常に半透明なタイムリミットを抱えている。求人の年齢制限、社会からのまなざし、「30代ならこれ位の収入無いとダメ」という物差し。そのリミットが、果たしてコロナがあるからといって止まってくれるでしょうか?

もし今後の感染状況の拡大で東京五輪の開催ができなかった場合、アスリートの人は加齢で肉体のピークを逃すことになり、あるいは引退する人もいるでしょう。だけど、世界大会の出場権という巨大で誰の目にも明らかなものでなくても、きっと僕らも今コロナによって大切なものを奪われつつある。

この毒はこれから数年後に一気に、ほぼすべての人に対して顕在化すると思う。そうなったとき僕らの社会が、コロナによってタイムリミットを逃してしまった人たちに対してどの程度寛容な態度を取ってくれるだろうか。

形の無い抑圧なんかなければいい

僕らはどんな時代であっても、誰かと出会い、平和に生きる権利がきっとあるはずなんです。それがたとえこんな伝染病が蔓延した世界であっても実現してほしい。

「あいつ30にもなって結婚してないんだぜ」「あいつ年収が~」「子供が~」という、形はないけど確かに生きている間見聞きしたことがある抑圧が、僕らをじりじりと苦しめている。だけど、そういうものを振り切る力だったり、他者にそういうものを向けないでいようという自制心があれば、世の中もうちょっと生きやすくなるんじゃないのと思っていて。(さっき言及した分断ウンヌンは、こういうのを想起するから強く批判したいと思っていた)

それと同じで、「あいつオタクだぜ」「あいつウェイだ」みたいなのもなくなって、別に誰も誰かのことをチクチク嫌味で刺したりしないようになれば。それが実現したら、これから数年間僕らが何かを失い続けても、今からやり直そうって思えるんじゃないかと思うんですよ。タイムリミットを超えてしまっても誰かと出会い、人生を変えていくことをあきらめないで良い世界があってほしい。

こんなろくでもない時代であっても、どうか僕らに素敵な出会いがありますように。分断なく多くの人がともに苦難を乗り越えられることを祈ってます。


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