大学受験の当日に、IQがあがる薬を飲んだ話

Xのタイムラインにて、大学受験のトピックがちらちら見えるようになってきました。なんだか受験の季節って感じですね。

私の受験の思い出は、タイトルの通り。IQがあがる薬とやらを塾講師にもらって、当日摂取してのぞんだことです。
結果としてはちゃんと合格したので、その薬のせいかもしれないし、まあそうじゃないかもしれないんだけど、急に思い出したので書いてみます。

僕は当時、河合塾に通っていました。わりといい意味でネジが飛んでいる先生が多くて、どの授業もそれなりに楽しかったのを覚えています。

そのなかでも、僕が好きだったのは、やまぐち健一先生の物理の授業。高校3年生の夏ぐらいまで遊び呆けてた僕は、急激にいろいろな教科の能力をあげなければいけなかったのだけれど、そのなかでも壊滅的だった物理が最終的には偏差値65-70ぐらいになったのは、まちがいなく山口先生のおかげだと思う。
常にユーモアに溢れた授業を展開しながらも(下ネタも多かった)、そのひとつひとつのユーモアがちゃんと記憶だとか知識に結びつくような設計がされていて、楽しみながら物理を学べたのはいい経験でした。

そのあと東進でも活躍されたらしく、こんなwikiがあったので貼っておきます。(亡くなられていたのも、存じ上げませんでした)


さて。
受験の時期が近づくと、通常の授業というよりは、受験に向けてのマインドセットの話だったりとか、当日までどう過ごすか、という話の方が多かった気がします。
そして、1月最後の授業。ちょっと普通の授業をしたあとで先生は急にヘッドマイクをオフにして、いつもよりもはるかに真面目なテンションで、声を張り上げずに、しゃべりはじめました。

「これからする話は、誰かにばれると非常にまずい話です。なので、マイクもオフにします。あまり声も張りたくない。誰が何を聞いているかもわからないから。なので、近くにこれますか?
ただ、ここにいるみんなも、誰かにこの話をしたら、僕の命が狙われます。みなさん、口外しないと約束できますか?」

もう18年ぐらい前だから記憶は曖昧だが、こんなん

あまりにもいつもの先生のテンションと違ったので、教室の空気がちょっと重くなったような感覚がありました。いつもは疎になっていた教室が、そのときだけは先生の指示で、前半分に生徒が集まったのを覚えています。
生徒が集まったのを確認して、先生は話を続けました。端的に書くと、

  • みんなは知らないと思うが、ヒトのIQを一時的にあげるという研究が世界で行われている。

  • 社会に大きな影響を与えるため、表沙汰にはならない。

  • 日本ではその研究の第一人者がいるのだが、こないだ亡くなった。理由は不明だが、誰かに殺されたと思っている。

  • 実は、その研究者は私の昔からの友人で、IQをあげる薬を実はほぼ開発し終わっているという話を聞いていた。そして本人が誰かから命を狙われる危険があると言っていたことも聞いていた。

  • もし自分に何かあったら、そのときは指示した金庫に行ってくれと、遺言のようなものを受けていた。当時は間に受けていなかったが、実際に亡くなってしまったので、その通り金庫に行った。

  • すると、そこにはIQをあげる薬の研究の詳細と、どのように作用するか、どうやって作るかという情報が細かく記されている資料があった。この薬は「ボーシラフ」と命名されていた。

  • つまり、私はそのボーシラフを持っている。実はすでに何人にかは使っていて、効果はテキメンだ。

  • みんなには、どうしても受かって欲しい。周りにばれにくいチロルチョコの形にして人数分持ってきたので、第一志望の日の試験の2時間前に食べて欲しい。

  • 見た目はチロルチョコなので、冷蔵庫などにいれたら親や兄弟に食べられてしまう可能性もある。その場合、パニックになってしまうかもしれない。ちゃんと自分で管理してくれ。

  • 繰り返し言うが、私は危険な橋を渡ってしまっている。この薬がなくても、みんな第一志望にも受かると思う。でも、不安だったらこれを食べてくれ。

という内容でした。そして、ひとりひとりにそのボーシラフが入っているというチロルチョコを「頑張れよ」って言いながら、手渡ししていました。

まあ、いま考えるとおかしなことはいっぱいあるんですが、そのときの先生の迫真の演技力というか、謎のストーリーの深さというか。そして、高校生の未熟さみたいなことも相まって、半分ぐらいの生徒は割と真剣に信じていたような気もします。

僕はというと、全く信じてはいなかったのですが、ちゃんと受験当日にもらったチロルチョコを食べました。もちろんIQがあがるとは思ってはなかったですが、単純に先生が(作り話だとしても)試験に集中できるようにしてくれた優しさは嬉しかったんですよね。
ずーっと勉強していても、最後の最後はメンタルの勝負になるというか。その最後で「やまぐちがくれたからしょうがなく食べてやるか」みたいなちょっとバカにしつつも、試験に笑顔でのぞめたという意味では、ボーシラフの効果はあったのかもしれません。

(というか、いまわかったんだけど、ボーシラフって逆から読むとフラシーボ、プラシーボだよ、っていうメッセージになっていたんですね・・・。)

まあ、そんな受験の思い出話でした。
受験生、落ち着いてがんばれー!


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