11月30日
この一週間わたしは明らかに落ち込んでいて、思ったよりも堪えていて、生活がぐうぐうになっている。幸い特に忙しくもないので、ぐうぐうのまま無理せず過ごしている。きのうは目が覚めたら12時前で、慌てて準備をして家を出てなんとか時間に間に合う電車に飛び乗ったけれど、乗り換えの駅で電車が遅れて待てど暮らせどやって来ず、隣のホームに来た急行が先に来て、このまま快速急行を待つより乗ってしまった方が早そうだと体の向きを変えたけれど、「遅れている快速急行の方が先に参ります」とアナウンスが流れたので半信半疑でホームに留まった。けれど、結局快速急行が来たのはそれから5分以上経ってからで、それはつまり急行に乗った方がよかったということで、そうしてわたしは少し遅刻をした。
3日前の夜、束の間上京していた姉とそのパートナーに会いに実家に帰った。お腹の大きな姉の写真はたびたび見ていたけれど、実際に見るとやっぱり出ていて、でもあまり違和感や驚きのようなものはなく、おうおう、という感じだった。元気そうだった。お腹の形を見て、女の子っぽいね、と言うと「そんなのわかる!?」と言って驚いていた。わたしの友人達のお腹に男の子がいたとき、切り立つようなしゅっとしたお腹の出方をしていて、それを見てみんながこれは男の子だ男の子だというので、そういうものなのらしいということを知った。
おとといの夜、姉のパートナーのイベントが下北であると聞いて、仕事帰りに行けるなと思い、元気があったら行くねと言って、仕事が終わってみてわたしは明らかにあまり元気ではなかったけれど迷った末足が向いたので逆らわず行くことにした。下北に着いてからよくよく調べてみると、彼が勧めていたアーティストのライブは21:50〜で、彼のDJはさらにその後だった。まだ一時間以上あった。どこかで一杯飲んでから行こうと思い立ち、CCCにダメ元で行ってみたけれどやっぱり閉まっていて、煩くなくてゆっくりソファに座れるような店が良いと思い、マルサンに行った。21時ラストオーダーなんですけど、と言われ、構いませんと言って窓際のソファ席に座り、生ビールと冷菜の盛り合わせを頼んだ。
本を読みながらちびちび飲んでいたビールが空になって時計を見ると21時半で、まだ少し早かったけれどそれ以上そこに留まる理由もないように思えて店を出た。別に少しくらい早く行って他のDJの音楽を聴いたって構わない。そう思っていたのだけど、結局わたしは吸い寄せられるようにヴィレッジヴァンガードに入り、文庫本を6冊も買っていた。最近はいよいよ活字を読むために本を読んでいるようなあんばい。
イベントはとても良かった。床に御座が敷いてあり、みんな靴を脱いでのんびりしながら真っ暗な空間で音を聴いていた。呼び名を知らないがアンビエントとノイズが混ざったような感じだった。彼のDJをわたしは初めてみたけれど、わたしがこれまで見てきた音楽をかけるDJの類とは大きくその性質を異にしていて、彼は音楽を流しているというより完全に作っていた。なんのレコードをかけているのかはまったくわからなかったけれど、どの曲も原型をとどめていないように思われた。とてもとても、真摯で誠実なプレイだった。その様にわたしは感動した。姉にLINEで感想を伝えるととても喜んでいるようだった。
終電までのイベントだと聞いていたので、23時を少し過ぎたところで終わりを待たずに外に出た。マルサンでビールを一杯とライブハウスで赤ワインを一杯(飲み切れなかった)飲んだだけなのにわたしは酔っ払っていた。身体が疲れているのを感じたし早く家に帰りたかった。
ぎゅっと詰まって鋭角に尖った空気が頬に触れてとても寒かった。
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